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「弱きを助け強きを挫く」という言葉があるが、この言葉は誤解されているのではないかと思える時がある。
以前も書いたかもしれないが、民主党の樽床伸二氏が街頭演説か選挙カーで話していたとき(衆議院議員選挙のとき)に、「弱きを助け強きを挫く」という言葉を使っていた。
この言葉を聞いて、私は違和感を抱いた。もっとも、以前から「弱きを助け強きを挫く」という言葉の誤解があるのではないかと感じていた。
「弱きを助け強きを挫く」という言葉の意味は、弱い人(定義が不確定)を助けて強い人(定義が不確定)を挫くわけではなく、「弱きを助け"悪き強さ"を挫く」のが本来の意味だと思う。
まず、弱い人とは誰なのかが分からないし、強い人とは誰なのかも分からないのだが、体力の高い人とか経済力の高い人、また心身とも健康な人を強い人と考えると、この人達は挫かれるべきだろうか。おそらくそうではないはず。
単に強いだけで挫かれるのはおかしいのであって、何らかの基準で信義則に反するような強さをもった人ならば挫かれる可能性があるかもしれないが、強いだけで挫かれるのは変だろう。
変な解釈が入り込む余地がある言葉には気を付けないと、妙な価値観を持ってしまうかもしれない。
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ハローワークは職業紹介機関ではない?
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■職業紹介はセルフサービス。
ハローワークは公共職業安定所であって、職業紹介を主体とする行政機関であると一般には認知されているかと思います。公共職業安定所という名称なのだから、人の職業を安定させるための組織であると考えるのは当然ではある。
しかし、実際にハローワークに行ってみると、職業紹介の業務はセルフサービスであって、設置されたパソコンから求人情報を探し(ちなみに、個人のパソコンからも求人検索は可能)、目当ての求人情報を見つけたら、求人登録コードのようなものをメモして、そのコードを窓口で伝えると紹介状を作ってくれるという仕組みになっている。その後、紹介希望のあった企業に担当者が電話連絡し、紹介状を持って面接に行く。つまり、職業紹介はセルフサービスであって、コンサル的なことはしないのですね。
求人サイトでも派遣会社でもハローワークでも同様ですが、情報提供が主体なのであって企業と人材を摺り合わせるところまではできない。中には簡単な能力テスト(私の経験では、WordやExcelの確認テストのようなものを行っているところがあった)を行い、人材を振り分けるところもあるが、仕事というのは実際にやってみないと自分に合うかどうかが分からないので、上記のような外部機関ができることは限られる。
私が考えるに、ハローワークは職業紹介機関ではなく「雇用保険事務を担当する機関」と捉えるのがより実態に合っているのではないか。建前では職業安定所だが、本体業務は雇用保険関連の手続き(基本手当や助成金など)であって、職業紹介は付随的に行なっているだけなのではないか。パソコンで求人情報を探すとなると、ハローワークでなくてもできる。一般の人材サイトで検索すれば同じことができるはず。ならば、「職業紹介ならばハローワーク」と考えるのは必ずしも唯一の判断ではないわけです。
個人的な経験ですが、私もハローワークの職業紹介を利用してみたことがあります。雇用保険や公共職業安定所について知識として知っているだけでは分からないこともあるでしょうから、自分でも経験してみたのですね。
私の場合、ハローワークの端末ではなく自分のパソコンで求人内容を調べ、ウェブページに記載されている求人コードをメモして、そのコードをハローワークの窓口の人に伝えると、紹介状を発行していただけました。紹介状が欲しいと伝えると、窓口の人が求人票を出した企業に電話連絡し、相手先と調整の上で面接日を設定します。あとは、紹介状(A4サイズの横書き用紙で、雇用条件や簡単な地図が掲載されたもの)を持って、相手先に訪問するわけです。
紹介状があるという点がハローワークと他の組織との違いですが、違いはこれぐらいではないでしょうか。もし、紹介状無しで直接に求人に応募するとなれば、他の求人システムと同じです。
ただ、求人を出す側に立てば、民間企業の媒体とは違い、ハローワークには無料で求人票を出せるので、「とりあえずハローワークには求人出しておこうか」というインセンティブを抱くはず。企業のサイトや雑誌などの媒体に求人情報を掲載すれば数十万円の費用が必要ですから、まず最初にハローワーク経由の求人手段が頭に浮かぶ人も多いかもしれない。
では、ハローワークは潤沢な求人情報を持っているかというと、意外とそうではありません。求人情報検索(https://www.hellowork.go.jp/servicef/B01020.do?action=initDisp&screenId=B01020)で情報を調べることが可能ですので、自分の条件で検索してみると分かるはずです。「意外と、、、ないなぁ、、」と思うのではないでしょうか。
ハローワーク経由の求人には費用がかかりませんので、企業の採用意欲も高くなりにくいのではないかと想像できます。費用を負担して求人すれば、「掲載期間の間に2人は採用しよう」などと積極的になりやすいでしょうが、費用の負担がなければ「採用できても、できなくてもどちらでもいいや」といわゆる"とりあえず求人"という姿勢になりやすいはず。
ハローワーク経由の求人でも、例えば1ヶ月で1件5万円というように有料化すると、企業も本腰を入れるでしょうし、ハローワークもキャッシュを稼げるでしょう。「気持ちを乗らせる」という点がポイントですね。
■学生がハローワークに行く奇妙さ。
近頃、大学生でハローワークに行く人がいるようです。2011年時点では、大学生の内定率は70%を下回っているようで、ハローワーク経由の職探しも選択肢に入れているのかもしれません。
しかし、どうして学生がハローワークに行くのかと不思議に思っている人も多いのではないでしょうか。「学生ならば、求人票が学校に届くのだから、その中から選べばいいじゃなか」と思うわけです。高校でも大学でも就職担当の部署があって、そこには毎年、企業から「その学校の生徒を採用したい」と指名で求人情報が集まります。ハローワークに行ってしまうと、学生も一般の人もゴチャ混ぜになりますから、学生特有の有利な環境を利用できないのですね。そのため、学生は学校経由の求人に応募するほうが賢明なのです。
高校だと、求人に合わせて学生を割り当てるシステムになっていて、例えば2人募集する企業には2人しか応募させないようになっています(私の出身高校ではこの方式でした)。この仕組みを守ることで、就職できない人が発生しないようにしているわけですね。人数割り当てで就職するため、就職率を限りなく100%に近い水準で実現することが可能になるわけです。
私の出身高校は工業高校で、就職には随分と強いようでした。就職希望の人はすべて就職していたと記憶しています。高校のウェブサイトを見ると今でもほぼ同じようで、就職希望の卒業生を全員カバーできる求人はあるようです。工業高校ですから、9割程度の人は就職を希望する環境で、私は進学でしたので例外でしたね。特に、理系ではなく文系志望でしたから、例外さは際立っていました。理系の大学や学部だと推薦枠があるのですが、文系学部になると一般入試ですから、自分の中の気持ちにちょっとしたギャップがありましたね。
卒業生よりも多い求人がありますので、余程のことがない限り企業に入れるようです。「えぇっ? こんな人でも就職出来ちゃうの?」という人でも就職してしまうのですから新卒ってすごいもんです。
就職を希望するならば、「新卒+学校経由の求人」という組み合わせで仕事を探すのが高校生であれ大学生であれ王道ではないかと思います。
■経歴よりもコネ。
転職や再就職するときは、いわゆる「コネ」を利用する人が有利になっていると感じています。資格や学歴、職歴で再就職する場合よりもコネを使ったツテで再就職するほうが早いのですね。
一般的には、職を変更するとなると、求人雑誌を見る、新聞の求人欄、求人チラシ、人材サイト、ハローワークなどを利用するかもしれませんが、手段はこれらのものだけではありません。
人によっては縁故や自分のコネクションで仕事を振ってもらうこともあり、すんなりと次の仕事を得ている人もいるのですね。
仕事を得るときは、「どれだけその人を知っているか」という要素が大きなウェートを占めていて、知らない人よりも普段から知り合っている人を人は受け入れる傾向があります。他人よりも知り合い、知り合いよりも友人、友人よりも親友、親友よりも親族というように、より関係が密であればあるほど人は相手を受け入れやすい。
転職時には、職歴や資格などの要素も評価されるでしょうが、人となりを事前に知っているかどうかで評価は変わるはずです。仕事上で知り合った人をツテに仕事を得ることもあります。
職業上の能力を高めるのも大事ですが、いざという時のコネを普段から作っておくのも大事です。コネというと、ズルイ、卑怯、不公平、汚い手段と考えている人もいるかもしれませんが、私たちはコネ無しで人と接触することはあまりないはず。他人同士でいきなり合うというのは比較的少なくて、知り合いの友人とか友人の友人とか後輩の弟とか母親の姉とか、コネを繋げて繋げて人と接触していることが多いはず。
経歴や資格などで就職する人とコネで就職する人を別の言い方で言えば、履歴書を書いて就職する人と履歴書不要で就職する人の違いでしょうか。もしかして、履歴書を書いている時点で既に不利なのではないかと思うこともよくあります。事前に自分自身を他の人に知ってもらっていれば、すでに自分自身の情報は知られているので、自分を知らせる書類が不要になりますよね。
実力をつけることは確かに大事だが、人と人のコネクションも同じぐらい大事というのはココなんですね。コネを軽視する人はちょっと惜しいことをしているのではないでしょうか。
「履歴書が要らない人」になることを目標にしてみるのもいいかもしれませんね。
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