休日を振り替えたのか、それとも代休なのか
休日に勤務したとき、振替休日で対応するか、それとも代休で対応するかによって取り扱いが違うことは知られているかと思います。「明日休みだけど、出勤してくれる? 代わりに明後日は休みにしてくれていいからさ」というように、出勤日と休日を入れ替えるときがありますよね。
振替休日も代休も、休日と勤務日を取り替えるという点では同じです。他方、割増賃金の取り扱いでは違いがあるわけです。
しかし、実際の現場では、振替休日と代休はゴチャ混ぜになって取り扱われる場合があり、振替休日なのに実質は代休だったり、代休として処理したものの振替休日で処理すれば足りる場面だったりするのですね。
振替休日と代休は、法的には違いがあるものの、実際の効果はほぼ同じですので、ゴチャ混ぜになってしまうのも無理からぬことなのかもしれません。ホント、違いが分かりにくいですから。
振替休日と代休は法的には違うが実質は同じ
概して、会社側は振替休日になるようにバイアスをかけるし、一方、社員側は代休になるようにバイアスをかけます。なぜならば、振替休日だと休日労働の割増賃金が不要で、代休だと割増賃金が必要だからです。
ただ、振替休日か代休かの判定が微妙な場面があると困ります。振替休日と代休を分ける境目は、「事前に休日のスケジュールを設定すれば振替休日、設定しなければ代休」という点でしかなく、法的に違うだけで実質はほとんど同じです。つまり、土壇場で休日出勤させて、後から休みを入れると、それは割増賃金が必要な代休になるわけです。
ここで、「事前」というのはどのくらい事前であればいいのかが問題です。どれくらい事前にスケジュールを決めれば振替休日になり、どの段階で振替休日の締切りがあって、その後が代休になるのか。
休日出勤の3日前までなのか、1日前でもいいのか。当日に振替の連絡をするという方法でも振替になるのか。この基準が不明なのですね。
どの時点までが"事前"で、どこからが"事後"になるのかがハッキリと分からないので、振替休日が代休になったり、代休が振替休日になったりするわけです。両者の違いを理解できない原因はここにあります。
割増手当の有無が問題ならば、休日労働が発生したら無条件に割増賃金を支払っておくのも一つの方法です。代休と表現しても、振替休日と表現しても、休日を出勤日に変えたら休日割増賃金を支給する。
そうすれば、振替休日で処理しようとも代休で処理しようとも問題にはならないでしょう。2つの処理を分けたときに問題が起こるのであって、処理を分けずに統一してしまえば良いというわけです。
他の解決法としては、先に振替休日を取ってもらい、後から休日出勤をしてもらうというものです。
具体的には、
月曜日:出勤
火曜日:出勤
水曜日:出勤
木曜日:出勤
金曜日:出勤
土曜日:休日
日曜日:休日
という勤務シフトを予定していたが、日曜日に出勤してもらうように変更するなら、日曜日よりも前に振替休日を持ってきます。
月曜日:出勤
火曜日:振替休日
水曜日:出勤
木曜日:出勤
金曜日:出勤
土曜日:休日
日曜日:振替出勤
この例では、火曜日を振替休日にして、日曜日に休日出勤をしています。休日出勤よりも先に振替休日を取れば、自ずと早めにスケジュールを決めなければいけませんし、いつまでも振替休日を取れないという問題も起こりません。
休日出勤にはすべて割増賃金を支払うのもいいですし、上のように先に振替休日を取る形で振り替えるのも良いです。
給与は、基本給だけを計算すれば足りるものではなく、割増賃金、つまりは時間外労働に対する割増賃金や深夜労働の割増賃金、休日の割増賃金といったものを計算しなければいけませんので、計算を間違って未払いにならないよう自動で給与を計算してくれるソフトを使うほうがいいでしょう。