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卒業後3年でも新卒という無理な理屈
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卒業後3年はすでに新卒ではない
リーマンショック、世界金融危機の影響により、学生の内定率がよろしくないので、卒業後3年間は新卒という肩書きを維持しようと政府が動いているようです。これは、ニュースや新聞でも知る機会があるかと思います。
しかし、企業サイドはあまり歓迎していないのではないでしょうか。卒業したての、いわゆる「白い人材(独自のカラーに染まっていない人)」が欲しい企業にとっては、やはり「新卒=卒業してすぐの段階」と考えたいはず。
とは言え、卒業する学生の立場を考えれば、「新卒」というある種のパスポートを利用して就職したいはず。新卒の立場には不思議な力があって、既卒ならば受け入れてくれない企業でも、新卒ならば選考の対象になったりします。例えば、金融機関だと、新卒で入社し、一度でも金融機関での就業経験がないと、中途採用はされないようになっています。つまり、新卒で金融機関に所属していないと、金融機関での就業経験を得ることができませんので、金融機関以外に就職した人はおそらく中途採用で金融機関に入るのは難しいはず。
本来は、卒業年度だけが新卒であって、その後はいわゆる既卒として考えるのが通常です。
ただ、現在は、卒業年度で就職できない人が増えているので、新卒のパスポートを一定期間を維持できるようにして、就職する機会を増加させようとしているわけです。
「本物の新卒」と「そうでない新卒」は判断できる
もし、卒業後3年までの人を新卒として扱うことを政府が決めたとしても、企業がその人を新卒として扱うかどうかは分かりません。
企業サイドでは、エントリーシートや履歴書を見れば新卒か既卒かは分かってしまうことでしょう。卒業年と現在年でギャップがあれば既卒ということになる。例えば、2009年の3月に卒業した人が2010年に応募してきたとすれば、それは新卒ではなく既卒です。
おそらく、「卒業後3年までの人を新卒として扱う」というのは、応募者が既卒であるということは分かっているけど、あえてその点を考慮しないようにして、その人を新卒として扱いなさいということなのでしょう。
ただ、政府が上記のように求めたとしても、「純粋な新卒」なのか、それとも「なんちゃって新卒」なのかはやはり分かってしまうわけです。
はたして、政府が企業の人材採用に介入することは可能なのかどうか。
例えば、男女雇用機会均等法でもって、ある程度は政府が人材採用に介入しているものの、企業の採用基準(美人を採用するとか、笑顔がステキな人を採用するとか)にまで介入することはありません。「美人だけを採用するのはダメ!」とは指導されないはずです。
新卒を採用するか、既卒を採用するかは採用基準であって、企業ごとの裁量で決めることができます。ただ、考えようによっては、新卒と既卒で分けるのも差別採用とも判断できますが、今現在は問題になっていません。
そのため、新卒だけを採用する方針で採用活動をしても構わないのですね。さらには、「純粋な新卒」だけを採用対象にすることも構わないと判断できるはずです。ゆえに、「なんちゃって新卒」は採用の対象外になる可能性もあるわけです。つまり、内部的に排除されるかもしれないということ。既卒者(卒業後3年までの人)を書類選考で振り分けても、政府はどうしようもないですからね。
もちろん、「卒業3年までは新卒」という基準を強制することも政府には可能でしょうが、ここまでやると企業の採用担当者も困りますよね。カッコイイ男性だけを採用することはダメと指導できないと同じように、卒業後3年までは新卒として扱わなければダメという指導もできないのです。
性別や人種による区別については政府は介入できますが、採用基準まで介入することはできません。ちなみに、判例も、企業には独自の基準で人材を採用できると判断しています(労働判例百選の24ページになる11番目の判例、三菱樹脂事件)。
その人を新卒として扱うかどうかは企業が決めるのであり、また、新卒を優遇するかどうかも企業が決めることであって、政府が決めるというわけにはいかないのです。
新卒採用を特別扱いしなければ、労働市場のリスクは減る
もし、現状よりも新卒を優遇すれば、新卒以外の人が困るでしょう。おそらく、中途採用の人の立場は今よりも厳しくなるのではないかと思います。
卒業後3年までは新卒になるということは、新卒への優遇度をさらに高めることになるわけです。となると、新卒で正社員になれなかったらというリスクはさらに高まることになるはず。
もし、フルタイム社員のラインに乗れなかったら、二度とそのラインに乗れないという恐怖を与えるのではないでしょうか。新卒を優遇すればするほど、新卒段階で卒業しなければいけないというプレッシャーは強まるのですね。
また、新卒者本人にとっては上記のような扱いは良い気分かもしれませんが、新卒の肩書きは就職したら無くなりますので、今新卒であるその人も、後で転職するときに困る立場に追いやられるでしょう。つまり、中途採用段階で得られるはずだった効用を先取りしていると考えることができます。
なぜ妙なほど新卒が優遇されるのかはハッキリと分かりませんが、職探しのリスクを下げるには、新卒優遇をヤメるのが良いと私は考えています。
新卒にポートフォリオを集中させるのではなく、他の就労形態にも分けるという発想です。
これは、自分が新卒の立場である時には理解できない感覚かもしれないけれども、いずれはその人(今は新卒の人)も新卒優遇の壁に阻まれるのですからね。
「今は良くても、後から困るよ」ということです。
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【仕事のQ and A】
決まったことを決まった手順で処理するのは難しいものではありません。例えば、給与計算。毎月1回は給与が支給されるので、その計算作業も毎月ありますけれども、頭を悩ませるほどのものではありません。
他には、雇用保険や社会保険への加入手続きもちょくちょくと発生しますけれども、これも必要な書類を揃えて出すだけですから難しくない。
労務管理ではルーティンな業務があり、それらを処理するには特別な能力や知識は必要ありません。
しかし、時として、普段は遭遇しないような問題が起こります。例えば、休憩時間を1回ではなく何回かに分けて取るのはいいのかどうか。有給休暇を半日や時間単位で細かく分けて取ると便利なのかどうか。仕事着に着替える時間には給与は支払われるのかどうかなど。答えが1つに定まりにくい問題が労務管理では起こります。
- Q:会社を休んだら、社会保険料は安くなる?
- Q:伊達マスクを付けて仕事をするの?
- Q:休む人が多くて勤務シフトに穴が開く。対処策は?
- Q:休憩時間を分けて取ってもいいの?
- Q:残業を許可制にすれば残業は減る?
- Q:残業しないほど、残業代が増える?
- Q:喫煙時間は休憩なの?
- Q:代休や振替休日はいつまでに取ればいいの?
このような問題に対して、どのように対処するか。それについて書いたのが『仕事のハテナ 17のギモン』です。
【1日8時間を超えて仕事をしたいならば】
毎日8時間の時間制限だと柔軟に勤務時間を配分できないので、月曜日は6時間の勤務にする代わりに、土曜日を10時間勤務にして、平均して8時間勤務というわけにはいかない。
しかし、仕事に合わせて、ある日は勤務時間を短く、ある日は勤務時間を長くできれば、便利ですよね。それを実現するにはどうしたらいいかについて書いています。
残業管理のアメと罠
【合格率0.07%を通り抜けた大学生。】
私が社労士試験に合格したのは大学4年のときで、いわゆる「現役合格」です。けれども、3年の時に一度不合格になって、ヘコんだんです。「たかが社労士試験ごときにオチたのか」って。
どうすると不合格になるか。どんなテキストや問題集を使えばいいか。問題集の使い方。スマホをどうやって社労士試験対策に活用するか、などなど。学生の頃の視点で書いています。
社労士試験というと、社会人の受験者が多いですから、学生の人の経験談が少ないんですよね。だから、私の経験が学生の人に役立つんじゃないかと思います。
合格率0.07%を通り抜けた大学生。
【学生から好かれる職場と学生から嫌われる職場】
高校生になれば、アルバイトをする機会があり、
過去、実際に経験した方、
もしくは、今まさに働いている学生の方もいるのでは。
中には、
「学生時代はアルバイトなんてしたことないよ」
という方もいらっしゃるかもしれません。
そういう稀な方は経験が無いでしょうけれども、
学生のアルバイトというのは、
何故か、不思議と、どういう理屈なのか分かりませんが、
雑というか、荒っぽいというか、
そういう手荒い扱いを受けるんです。
若いし、体力もあるし、
少々、手荒に扱っても大丈夫だろうという感覚なのでしょうか。
それ、気持ちとしては分かりますけれども、
法令上は、学生も他の従業員と(ほぼ)同じであって、
一定のルールの下で労務管理しないといけないのです。
もちろん、
18歳未満は夜22時以降は働けないとか、
8時間を超えて働けないとか、
そういう学生ならではの制約は一部ありますけれども、
それ以外のところは他の従業員と同じ。
週3日出勤で契約したはずなのに、
実際は週5日出勤になっている。
休憩時間無しで働いている。
採用時に、1日5時間働くと決めたのに、
実際は1日3時間程度しか勤務させてもらえない。
「学生には有給休暇が無い」と言われた。
テスト休みを取って時給を減らされた。
など、
やってはいけない労務管理がなされてしまっている
という実情もあるようです。
何をやってはいけないかを知らないまま、
間違った対応をしてしまうこともあるでしょう。
(知らないからといって許されるものではありませんけれども)
このような労務管理をすると、学生から好感を持たれ、
辞めていく人が減るのではないか。
一方で、
「これをやってしまってはオシマイよ」
な感じの労務管理だと、
ザルで水をすくうように人が辞めていく。
学生から好まれる職場と嫌われる職場。
その境目はどこにあるのかについて書いたのが
『学校では教えてもらえない学生の働き方と雇い方 - 35の仕事のルール』
です。
「学生が好む職場」と「学生が嫌う職場」 その違いは何なのか。
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