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消費税よりも国民年金の逆進性の方が強いとき



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■消費税よりも国民年金の逆進性の方が強いとき◆◆◆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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逆進性を持っているのは消費税だけじゃない。
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「逆進性を持つ制度=消費税」という認知。



2ヶ月ほど前でしょうか、参議院選挙が行われ、そのちょっと前ぐらいから消費税が話題になりました。消費税は、最初の導入時に話題になり、次に5%に税率を変更するときに話題になり、そして今回は5%からさらに税率を引き上げるという点で話題になった。

消費税の税率は所得に応じて変化するものではなく、全ての人に対してフラットであるため、制度を調整するときには必ずといってよいほど「逆進性」という税の性質が話題になる。

税には逆進税と累進税があって、逆進税は課税標準(単に「所得」と考えてもいい)の増加に従って税率が次第に低くなる税。一方、累進税はその逆で、課税標準の増加に従って税率が次第に高くなる税だ。ちなみに、消費税は上記の逆進税に該当するもので、所得水準の低い人ほど負担感が強くなる傾向がある。

一般に、消費税は逆進性を持つ制度の代表と考えられているようで、消費税と同じように逆進性を持つ他の制度ではあまり逆進性が指摘されない傾向がある。

消費税以外で特に逆進性がある制度をあげるならば、国民年金でしょう。


ニュースや新聞でも、「国民年金に逆進性がある」という話はほとんど聞かないのではないでしょうか。「逆進性という言葉が出てくれば消費税」というほど逆進性と消費税はリンクされていますから、消費税以外が話題になりにくいのかもしれませんね。

しかし、消費税や厚生年金と国民年金で比較すれば、意外と国民年金の逆進性は強いものだと分かるはずです。






厚生年金よりも国民年金の方が負担になることもある。



国民年金の掛金(国民年金は"保険"ではないので「保険料」という表現はややズレている。ちなみに、厚生年金は「厚生年金保険」という名称なので保険です)は、所得にかかわらず固定です。ちなみに、今の国民年金の掛金は毎月約15,000円(以下では15,000円と表記)です。

この掛金を厚生年金の標準報酬月額表にあてはめると、12等級に該当します。12等級の報酬月額は185,000-195,000円で、標準報酬月額は190,000円です。保険料負担額(折半分)は15,255円ですね。全額自己負担すれば、たとえ1等級であっても、厚生年金の保険料は国民年金よりも高くなるでしょうが、厚生年金の保険料を全額自己負担しているひとは極僅かですので、今回は考慮しません。

上記の当てはめから考えると、国民年金の掛金を払うということは、厚生年金では月収190,000円程度の人に該当するのですね。新卒社員の月給ぐらいでしょうか。

ただ、月収185,000円未満の人が国民年金の掛金を払っているとなると、これは厚生年金よりも高い負担をしているとも考えれますよね。例えば、月収110,000円の人が厚生年金の保険料を払うと月額8,831円です。一方、国民年金は所得に影響を受けないので15,000円のままです。

「厚生年金は国民年金よりも負担が大きい」と理解されているフシもありますが、必ずそうなるわけではないのですね。保険料に限って言えば、収入が少なければ少ないほど国民年金よりも厚生年金の方が有利ではありますね。

国民年金の掛金は収入が19万円程度の人を想定しており、185,000円未満の月収の人が国民年金の保険料を払うと、厚生年金よりも負担感が強くなるわけだ。


もし、消費税だけで15,000円分を支払うとなると、「x × 5% = 15000円」で、xは300,000円ですから、30万円分の消費をする必要があります。


消費税の逆進性についてはよく指摘されるものの、国民年金を消費税や厚生年金と比較すると、国民年金の逆進性の方が強いこともあるのです。消費税や厚生年金は所得との相対額で課金しているのに対し、国民年金は絶対額で課金しているので、逆進性が強くなりやすいのは当然なのかもしれません。






国民年金は人頭税。



古代エジプトだったか、税制度のなかに「人頭税」というものがあったように記憶している。人頭税とは、担税能力の違いを考慮せずに、一人いくらという絶対額で課金する税金のこと。この人頭税に国民年金はよく似ている。

国民年金は税金ではないけれども、20歳以上の人は全て対象なのだから、税金とさして変わらない。毎月一人いくらと絶対額で課金しているところは人頭税そのものです。


所得に応じた負担ではないため、一人一人の負担感が強まるので、国民年金では免除制度や3号被保険者制度によって、加入者の負担感を回避させている。

以前は、半額免除と全額免除しかなかったが、今では1/4免除、1/2免除、3/4免除、全額免除と4つのメニューに分かれている。未納率が高くなっているので、免除を受けやすくして未能率を低くするという理由もあるが、一括して納付しないで済むようにすることで逆進性を和らげるという意図も含まれている。

他にも、第3号被保険者という道を作ることで、負担感を感じにくいようにしている。これは、3号被保険者とは、2号被保険者に扶養されている国民年金加入者のことで、典型的な例は夫が会社員で妻が主婦もしくはパートタイマーというパターンだ。この場合の妻が3号被保険者に該当する。

3号被保険者の特徴は、国民年金の掛け金を個別に負担する必要がない点だ。この仕組みが、パートのおばちゃんが扶養から抜けたがらない最大の理由だ。扶養制度を使えば税制上有利なのだが、扶養で一番の利点は国民年金の個別負担がないところ。この点は健康保険も同じですね。

ちなみに、3号被保険者がいるかどうかによって2号被保険者の保険料が"直接的には"変わったりすることはない。2号被保険者全体の保険料からは基礎年金拠出金が国民年金に流れているが、被保険者個人の保険料が扶養者の存否によって変わることはない。


やはり、低所得者ならば、厚生年金に加入するか、3号被保険者にならないと保険料面では不利だろう。中途半端な所得水準で、国民年金や国民健康保険に加入しているパターンが最も負担感が強い。

免除という選択肢もあるが、免除は後払いになるだけなので、3号被保険者のように負担無しで掛け金を払ったことになる仕組みとは扱いが違う。



消費税は消費をコントロールすれば、課税額を調整できる。厚生年金は所得水準が低ければ、負担も少ない。しかし、国民年金は、消費をコントロールしようと所得をコントロールしようとも制御できないのが特徴だ。






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