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法定休日と法定外休日を分けない 同じ休日なのに違うもの?

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■法定休日と法定外休日を分けない◆◆◆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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月60時間の時間外枠に計上したり、しなかったり
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休日を分けるのは正しいが管理の手間が増える

休日は法定休日と法定外休日の2つに分かれています。週1日(原則)に設定されているのが法定休日。それ以外の休日が法定外休日ですね。

例えば、週休2日ならば、片方が法定休日、もう片方が法定外休日として設定されるわけです。ここまでは十分に知られていることですね。

改正された労働基準法では、1ヶ月に60時間を超える時間外勤務時間が発生したとき、その時間に対しては50%以上の割増手当を用意すると決められました。ちなみに、月60時間を超える時間外勤務とは、"時間外部分の時間だけを累積して"1ヶ月に60時間を超える時間のことです。そのため、通常の法定内の勤務時間は含みません。


1ヶ月の時間外勤務が60時間を超えると50%割増という点は分かるとして、この60時間の中に含まれる時間はどのような時間なのかが問題となります。

つまり、「60時間の中に含まれる時間外勤務」と「60時間の中に含まれない時間外勤務」があって、この選別をどうしようかという点が悩みどころです。

「えっ? 法定時間枠を超えた時間を全部集計しているだけで足りるのでは?」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、ちょっとだけ違うのですね。

60時間の中に計上する時間外勤務と計上しない時間外勤務があるのです。

法定休日以外の日に発生した時間外勤務は60時間の中に計上しますが、法定休日に発生した時間外勤務は60時間の中に計上しないという点が今回の焦点です。

法定休日とそれ以外の休日で処理が変わる

法定休日の時間外勤務は時間外の時間として計上しません。「法定休日の時間外勤務」という概念自体がおかしいのですが、法定休日には時間外勤務は発生しないとして扱うのが正しい処理です。

なぜ法定休日には時間外勤務が発生しないと考えるかというと、法定休日に勤務するときは終日35%以上で割増賃金が用意されているので、たとえ法定時間枠である8時間を超えたとしても、25%割増の時間外として扱う必要が無いためです。つまり、35%の中に時間外部分の評価である25%も包摂されていると考えるのですね。

そのため、月60時間の中に"法定休日の時間外部分"(ヘンな表現ですが、分かりやすいようにあえて使っています)は入らないわけです。

ただ、法定休日とそれ以外の日で扱いを変えるとなると、事務の処理が厄介です。


法定休日は60時間の中から除くけれども、法定外休日は含めるとなると、休日の取り扱いがファジーな会社は困りますよね。もし、週ごとに法定休日と法定外休日の曜日が変動する会社だと、「この日は60時間の中に含めないけど、、、この日は含める、、のかな?」などと混乱するかもしれませんね。

法定休日の曜日は固定されていると思っている人もいらっしゃるかもしれませんが、週ごとに法定休日の曜日が変わる会社もあります。定休日の無い会社とか24時間営業のお店だと、おそらく法定休日の曜日を事前に決めずに運用しているでしょう。


もし、法定休日と法定外休日で処理を変えるとなると、「法定休日は35%増しで、60時間の中には含めない」、一方、「法定外休日は通常通りに扱うので、時間外は25%増しで、60時間の中には含める」というように、扱いを分けないといけないのです。

同じ休日なのに、取り扱いが変わってしまうのですね。


そのため、休日を法定休日と法定外休日の2つに分けずに、法定休日の1本に集約するのが得策ではないかと思いつくわけです。

休日を分けないという選択肢

厳密な処理を目指すならば、休日を2つに分けて、処理も分けるのが良いでしょう。しかし、厳密さと利便性を天秤にかけて、利便性を選択する方が有益ならば厳密さを放棄するのも一考です。この場合、当然ですが、法的な正しさを担保した状態で利便性を選択します。

利便性を選択するならば、休日を全て法定休日として扱ってしまうのが良いです。つまり、法定休日はそのまま法定休日として扱い、また法定外休日を法定休日として扱うことで、休日を全て法定休日にしてしまうのです。

これならば、休日は全て35%増しの手当で対応し、60時間の計算からは除外することができます。


しかし、ここで、「確かに、全ての休日を法定休日にすれば処理は簡単になると思うよ。でも、時間外部分の時間は他の勤務時間との合算で算出されるのだから、休日勤務の時間を他の勤務時間と一緒にしちゃうと、結局は時間外部分が発生するんじゃないの?」とツッコミを入れたいと思う人もいるかもしれませんね。

確かに、先ほどまで書いていたのは法定休日の当日に発生した時間外部分だけですから、他の日の勤務時間を考慮していませんね。つまり、法定休日に10時間勤務したとして、8時間を超えた2時間分は時間外勤務にならないという点は理解できるものの、10時間の勤務時間は他の日の勤務時間と通算されるので、週あたりもしくは月あたりで時間外部分を発生させる要因になるのではないかと思えるのですね。

1週間の法定労働時間の枠は40時間ですし、1ヶ月の法定労働時間は変形労働時間制度(1ヶ月単位のものを想定)で決まっていたりするのですからね。


月:8時間勤務
火:8時間勤務
水:8時間勤務
木:8時間勤務
金:8時間勤務
土:休み(この日は法定休日と仮定)
日:10時間勤務(この日も法定休日と仮定)

※本来ならば、土曜日が法定休日なのですから、日曜日は法定休日にしなくてもいいのですが、「全ての休日を法定休日に」という先ほどの条件を織り込みます。


上記の場合、月から金の時点で週40時間の勤務時間となっています。さらに、日曜日に法定休日勤務として10時間仕事をしています。

この場合、日曜日の8時間を超えた部分である2時間(10-8=2)は時間外勤務にならないのはいいですよね。

ただ、他の日(月から金まで)の時間と通算すると、週50時間になります。

この場合、40時間を超えた10時間は時間外勤務になるのかどうかが疑問ですよね。


「法定休日に8時間を超えたとしても35%のみで対応できる」というルールは、35%の割増手当を支払えば追加で時間外割増である25%不要というものです。

ならば、日曜日の10時間は全て35%割増が支払われているのですから、時間外勤務として評価する必要はないわけです。

それゆえ、上記の例で、40時間を超えた10時間は時間外勤務にならないのです。


私が思うに、休日の勤務は、計算上は別枠で取り扱うべきではないでしょうか。つまり、休日勤務の時間を他の勤務時間とは別の勘定にするべきではということ。

他の日の時間と混ぜてしまうと、休日勤務の時間と他の勤務時間とが合算されて、時間外部分が発生していると判断してしまいますよね。

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