どの時間帯から休憩時間を控除するのか
多くの人はいわゆる95勤務(9時から17時が定時の勤務時間)で働いているかと思いますが、中には変則的に勤務する人もいらっしゃいますね。例えば、朝の3時から6時まで勤務のような新聞配達や弁当屋のような仕事がありますし、深夜警備のように深夜時間帯に仕事をすることもあります。
では、通常時間から深夜時間にかけて仕事をする人が休憩をとったとき、どちらの時間帯から休憩時間を控除するのでしょうか。
具体的に書くと、例えば20:00から1:00までの5時間で勤務する駒田さん(仮想の人物です)という人物がいるとして、駒田さんは20:00から1:00までの間に30分の休憩をとりました。
このとき、この30分の休憩はどの時間から控除するのかが問題となります。
20:00から22:00までは通常の勤務時間であり、22:00を超えて1時までは深夜時間ですよね。ならば、30分の休憩は20:00から22:00の部分から控除するのか、それとも、22:00を超えて1時までの部分から控除するのかという点で判断が分かれます。
通常勤務時間である20:00から22:00の時間帯から30分を控除するのか、深夜勤務時間である22:00から1時の時間帯から30分を控除するのか。
どちらでしょう。
深夜労働時間から休憩時間を控除すると割増賃金が減る
簡単な結論は、「通常勤務時間に休憩したら、通常勤務時間から控除する。一方、深夜勤務時間に休憩したら、深夜勤務時間から控除する」という判断でしょうか。休憩時間を取得した時間帯の労働時間から控除するわけです。
確かに、実際に休憩を取得した時間帯から休憩時間を控除するのが正確な処理ではあります。
しかし、休憩の時間を処理するときは、「総拘束時間から休憩時間を控除する」のが普通です。つまり、5時間会社にいたのだから、「5時間-30分」で実働4時間30分と計算するのですね。これはごく普通の処理方法です。
ただ、上記のように単純に控除すると、実態とは異なることもあり得ます。
通常時間帯に休憩した場合と、深夜時間帯に休憩した場合の2つのケースが考えられます。
1、通常時間帯から30分の休憩時間を控除すると、通常勤務時間が30分減ります。
2、深夜時間帯から30分の休憩時間を控除すると、深夜勤務時間が30分減ります
ここで問題になるのは、深夜勤務手当の有無です。単に5時間から30分を控除するというだけでは、通常時間から30分を控除したのか、それとも、深夜時間から30分を控除したのか分かりませんよね。
もし、通常時間から30分を控除したと考えれば、通常時間は20:00 - 22:00の2時間から30分を控除し1時間30分、さらに深夜時間の3時間を加えて、通常時間1時間30分と深夜時間3時間の合計4時間30分という計算になります。
一方、深夜時間から30分を控除したと考えれば、通常時間は20:00 - 22:00の2時間、さらに深夜時間は30分控除されるので2時間30分です。よって、通常時間2時間と深夜時間2時間30分の合計4時間30分という計算になります。
この場合、前者の方が後者よりも深夜勤務手当が多くなります。同じ30分の休憩でも、どの時間帯から控除するかによって結果が変わるのですね。
今回の問題への簡単な解決策は、「休憩時間は通常勤務時間から優先して控除する」という方法です。これならば、深夜の勤務時間は確保されるのですから、後からクレームが出ませんよね。
通常の労働時間が無く深夜時間だけの場合は、深夜時間帯から控除します。休憩時間を控除できるだけの通常時間があれば、そちらを優先して控除に充てるというわけです。