労務管理のツボをギュッと押す方法を考えます

会社で起こる労務管理に関する悩みやトラブルを解決する方法を考えます。

医療保険や年金保険は売っている、雇用保険は売っていない

雇用保険

 

なぜ雇用保険は売っていないのか。

保険会社の商品は多種多様で、単純な掛け捨ての死亡保険や医療保障と年金を組み合わせたようなハイブリッドな保険もあります。他にも、返戻金付きの死亡保険や医療保険もあって、保険を購入するには迷いが付きものになっています。

ところが、保険会社の商品の中には雇用保険がありません。死亡保険があり、医療保険があり、年金保険がありと無い保険商品はないと言えるほど充実しているのに、失業のリスクに備える雇用契約は販売されていないのですね。


これは不思議です。「保険を掛けられないものは無い」とも思えるほど何に対しても保険を掛けるのが現代的なのですが、なぜか雇用保険は販売していないのですね。

「リスクあるところに保険あり」にもかかわらず、失業のリスクには保険を用意していないわけです。

これはなぜでしょう。



自発的に保険事故を起こせると保険商品にできない。

なぜ、保険会社が雇用保険を用意しないかというと、「加入者が自らの意思で保険事故を起こせる」からだと私は考えます。

通常、保険事故というのは、偶発的に起こるもののはずです。火災など意図的に起こすものではないし、病気に意図的に罹患することも普通ではない。意図的に道路を走っている車の前に飛び出て怪我をするのも普通ではあり得ないことです(「当たり屋」という存在もありますが、これは例外です)。

つまり、保険金を支給する事由は、"偶発的に起こることが前提"なのですね。保険の仕組みでは、自発的に保険事故を起こすのはルール違反です。これは、保険金を詐取する行為で、通称「保険金詐欺」と言われるものです。

わざと火災保険を掛けた自宅に放火し保険金を受け取れば詐欺ですし、死亡保険を掛けた人を殺して保険金を受け取っても詐欺です。当たり屋は保険金詐欺というよりも、恐喝に近いですね(保険会社から保険金を受け取る目的ではなく、事故の相手から補償金や慰謝料を取るのが目的でしょうから)。


しかし、雇用保険では自発的失業でも制限はあるものの保険金を支給します。保険という仕組みから考えると、自発的な失業に対しては保険金を給付しないのが普通ですが、雇用保険では違うのですね。実質的には会社都合で解雇されたにもかかわらず、自発的な失業であると扱われてしまう人もいるようですから、このような人たちをフォローする目的もあるのかもしれません。

上記の点が雇用保険に入るべきという理由の1つです。

月々の保険料はわずかで、会社都合による失業だけでなく自発的な失業まで保障対象にしているのですから、これほど有利な保険はなかなかありません。さらには、教育訓練給付のような失業しなくても使えるメニューもありますし、各種の助成金も雇用保険を経由していることを条件にしているものがあります。

一方的なほど加入者に有利な保険のために、保険会社は雇用保険を商品として扱っていないのでしょうね。自発的失業まで対象にされてしまうと、保険会社は利益を得られないでしょう。


公的保険の中では雇用保険がもっとも有利ですね。

加入者にとって有利な順番に並べれば、「雇用保険 > 労災保険 > 健康保険関連 > 国民年金 > 厚生年金」という序列になると思います。

 

 

 

山口正博 社会保険労務士事務所
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