┏━┳━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■■┃ メールマガジン 本では読めない労務管理の「ミソ」
□□┃ 山口社会保険労務士事務所
┗━┻━━━━━━━━━━━━━━━ (2010/7/5号 no.204)━
■個人的なメールを制約できるか◆◆◆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■■
PCでメールを書くとは限らない。自分のスマホで個人的な連絡ができるようになった
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
私的なメールを禁止しても個人のモバイルデバイスがある
メールを使わずに生活するとしたら、どうなるか。
今どこメールを送れない。電話するほどではない程度の連絡ができない。写真を相手に対して直接に送れない(写真共有サービスもありますけれども)。延々とタラタラと続けるメールができない。などなど、他にもメールを使えないと不便な場面はあるでしょう。特に、PCを使わずにケータイだけで生活している人にとっては、メールを使えないということはケータイを使えないことに等しいのではないでしょうか。
このように、私たちのメールへの依存の度合いは高いのですね。そのような環境で、会社のPCを使って個人的なメールを送信してはいけないという規制を課している会社があります。会社で用意したメール環境は仕事のためのものだから私的な利用はダメなようです。
個人的な連絡を相手に送信したつもりが、誤ってメーリングリストに送信してしまったりというウッカリなことはたまにありますよね。外部の人に読まれても差し支えない内容ならば今後注意しようと意識する程度で足りるでしょうが、ときには他人に読まれると都合が悪いメールもあるでしょうから、そのようなメールが想定外の人にまで配信されると、これは困ります。男女間の怪しいメールとか、社内ネットワークのパスワードをメールで送信していたりとか、ありそうだなと想定できますよね。
企業内のメールシステムは、企業内(もしくはレンタルしているサーバー)のサーバーを経由してやり取りされており、やり取りされたメールは残るようにされているのが普通です。社員個人専用のメール管理画面からメールを削除しても、サーバーには残っている可能性があり、社員本人はキチンと削除したと思っていても、実際には完全に削除されていない状態だったりということもある。「ゴミ箱を空にすれば大丈夫だ」という判断と同じで、実際にはデータが残っているというオチですね。
会社では、他人に観られてもまあ大丈夫という程度のメールのやり取りに留めておいた方が良いのでしょうね。
話を戻すと、「私的なメールは禁止」という社内のルールがあるとして、どこまで禁止できるのかが今回の問題となります。
会社のPC経由のメールだけを規制するのが目的なのか、それとも、個人のPC経由のメールや個人のケータイ経由のメールも含むのか。私的なメールはどの手段でも送受信できますから、会社のPCだけを規制したいのか、それとも、メールを送受信できる情報端末すべてを規制したいのか、この点で分かれます。
会社のパソコンやネットワークしか規制できない
実際に会社のルールで規制できる範囲を考えれば、おそらく社内のPCに限られるのではないでしょうか。付け足すならば、社内のLANに接続している個人所有のPCも含むかもしれません。
つまり、会社のネットワークを経由しているものだけしか規制できないだろうと私は思います。反対に言えば、会社のネットワークに接続していない情報端末を規制することはできないということ。
例えば、PCに無線LAN端末(WiMAX端末、DoCoMoの無線WiFi端末、E-mobile端末など)を接続すれば、たとえ会社のPCであったとしても会社以外のネットワークを経由して通信することができますよね。他にも、個人契約で無線通信ができるケータイやiPadも会社のネットワークを使いません。
となると、会社が規制できるのは、会社のネットワークにつながった情報端末だけであって、私的なメールそのものは防げないでしょうね。ケータイならば私的なメールを送るのはとても容易です。
今時、パソコンでメールはしないという人も随分といるはずで、メールはケータイだけという人も少なくないはず。ならば、私的なメールを規制する意味がなくなっているとも思えます。もちろん、会社のネットワーク上でのメールは制約できるのですが、その効用はさほどではないでしょうね。
職場へケータイを持ち込みすることを禁止する方法もあるでしょうが、これも容易ではないでしょう。ケータイを持ってくるなと言っても、仕事上の連絡で必要になるでしょうし、ケータイで業務連絡ができないと困るはずです。また、鞄にコッソリ入れて持ち込む人もいるはず。
以前は、「インターネットへの接続はPCから」と思われてきましたが、今ではPCでなくてもネットワークにつながる機器はありますからね。最近ではテレビもネットワークに繋がりますから、もはやPC経由のメールだけを想定していてはダメなのかもしれません。
私的なメールはケータイでできるし、ファイルの送信もケータイでできる
私的なメールを防ぐだけでなく、情報漏洩を防ぐ目的でメールを禁止しているところもありますよね。
顧客リストのファイルを圧縮して、メールに添付し送ると、顧客リストは外部に出て行きます。このようにメールを使って情報を漏洩させることもできるのですね。ただ、メールで顧客リストを漏洩させる人はおそらくおらず、CD-Rやフラッシュメモリーにデータをコピーして持ち出すのが主流だと思います。メールを送信したことは後からでも分かるけれども、記録媒体へコピーしたことを後から調べるのはちょっと難しいですからね。そのため、記録媒体を持たないシンクライアントパソコンを採用したり、USB端子を備えていないPCを用意したりするところもあるようです。
他にも、デジカメやケータイのカメラ機能でパソコンのディスプレイを撮影して情報を持ち出すこともできますよね。さらには、紙にメモして情報を持ち出すことも可能です。ケータイのメールにファイルを添付して送信する方法もありますね。
私的なメールを防ぐには、あえて私的なメールを許して、そのメールのコピーをサーバーに貯めておけば足りるのではないかと思います(すでに実施している会社もあるでしょう)。事前に、「会社に全てのメールがプールされています」とアナウンスするだけでも抑止力は十分にあるはず。
事前に規制するではなく、事後に規制をするという方法ですね。
ケータイなど個人端末でのメールを防ぐとすれば、持ち込み禁止という手段ぐらいでしょうか。ただ、先ほど書いたように、持ち込みを禁止すれば、仕事で不便ですし、コッソリ持ち込む人もいるはずですから、効果は薄いでしょう。
ゆえに、「メールの送受信を制約することはできない」と考えるのが妥当ではないかと思います。会社側からは、秘密保持に関する契約で牽制する程度に留まるのではないでしょうか。ここでも、「後から対処」になるのでしょうね。
メルマガ以外にも、たくさんのコンテンツをウェブサイトに掲載しております。
【仕事のQ and A】
決まったことを決まった手順で処理するのは難しいものではありません。例えば、給与計算。毎月1回は給与が支給されるので、その計算作業も毎月ありますけれども、頭を悩ませるほどのものではありません。
他には、雇用保険や社会保険への加入手続きもちょくちょくと発生しますけれども、これも必要な書類を揃えて出すだけですから難しくない。
労務管理ではルーティンな業務があり、それらを処理するには特別な能力や知識は必要ありません。
しかし、時として、普段は遭遇しないような問題が起こります。例えば、休憩時間を1回ではなく何回かに分けて取るのはいいのかどうか。有給休暇を半日や時間単位で細かく分けて取ると便利なのかどうか。仕事着に着替える時間には給与は支払われるのかどうかなど。答えが1つに定まりにくい問題が労務管理では起こります。
- Q:会社を休んだら、社会保険料は安くなる?
- Q:伊達マスクを付けて仕事をするの?
- Q:休む人が多くて勤務シフトに穴が開く。対処策は?
- Q:休憩時間を分けて取ってもいいの?
- Q:残業を許可制にすれば残業は減る?
- Q:残業しないほど、残業代が増える?
- Q:喫煙時間は休憩なの?
- Q:代休や振替休日はいつまでに取ればいいの?
このような問題に対して、どのように対処するか。それについて書いたのが『仕事のハテナ 17のギモン』です。
【1日8時間を超えて仕事をしたいならば】
毎日8時間の時間制限だと柔軟に勤務時間を配分できないので、月曜日は6時間の勤務にする代わりに、土曜日を10時間勤務にして、平均して8時間勤務というわけにはいかない。
しかし、仕事に合わせて、ある日は勤務時間を短く、ある日は勤務時間を長くできれば、便利ですよね。それを実現するにはどうしたらいいかについて書いています。
残業管理のアメと罠
【合格率0.07%を通り抜けた大学生。】
私が社労士試験に合格したのは大学4年のときで、いわゆる「現役合格」です。けれども、3年の時に一度不合格になって、ヘコんだんです。「たかが社労士試験ごときにオチたのか」って。
どうすると不合格になるか。どんなテキストや問題集を使えばいいか。問題集の使い方。スマホをどうやって社労士試験対策に活用するか、などなど。学生の頃の視点で書いています。
社労士試験というと、社会人の受験者が多いですから、学生の人の経験談が少ないんですよね。だから、私の経験が学生の人に役立つんじゃないかと思います。
合格率0.07%を通り抜けた大学生。
【学生から好かれる職場と学生から嫌われる職場】
高校生になれば、アルバイトをする機会があり、
過去、実際に経験した方、
もしくは、今まさに働いている学生の方もいるのでは。
中には、
「学生時代はアルバイトなんてしたことないよ」
という方もいらっしゃるかもしれません。
そういう稀な方は経験が無いでしょうけれども、
学生のアルバイトというのは、
何故か、不思議と、どういう理屈なのか分かりませんが、
雑というか、荒っぽいというか、
そういう手荒い扱いを受けるんです。
若いし、体力もあるし、
少々、手荒に扱っても大丈夫だろうという感覚なのでしょうか。
それ、気持ちとしては分かりますけれども、
法令上は、学生も他の従業員と(ほぼ)同じであって、
一定のルールの下で労務管理しないといけないのです。
もちろん、
18歳未満は夜22時以降は働けないとか、
8時間を超えて働けないとか、
そういう学生ならではの制約は一部ありますけれども、
それ以外のところは他の従業員と同じ。
週3日出勤で契約したはずなのに、
実際は週5日出勤になっている。
休憩時間無しで働いている。
採用時に、1日5時間働くと決めたのに、
実際は1日3時間程度しか勤務させてもらえない。
「学生には有給休暇が無い」と言われた。
テスト休みを取って時給を減らされた。
など、
やってはいけない労務管理がなされてしまっている
という実情もあるようです。
何をやってはいけないかを知らないまま、
間違った対応をしてしまうこともあるでしょう。
(知らないからといって許されるものではありませんけれども)
このような労務管理をすると、学生から好感を持たれ、
辞めていく人が減るのではないか。
一方で、
「これをやってしまってはオシマイよ」
な感じの労務管理だと、
ザルで水をすくうように人が辞めていく。
学生から好まれる職場と嫌われる職場。
その境目はどこにあるのかについて書いたのが
『学校では教えてもらえない学生の働き方と雇い方 - 35の仕事のルール』
です。
「学生が好む職場」と「学生が嫌う職場」 その違いは何なのか。
┏━┳━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┃ ┃本では読めない労務管理の"ミソ"山口社会保険労務士事務所 発行
┣━┻━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┃メルマガの配信先アドレスの変更
┃
┃メルマガのバックナンバーはこちら
┃
┃メルマガの配信停止はこちらから
┃
┣*━*━*━*━*━*━*━*━*━*━*━*━*━*━*━*
┃
┃労務管理の問題を解決するコラム
┃仕事の現場で起こり得る労務の疑問を題材にしたコラムです。
┃
┃職場の労務管理に関する興味深いニュース
┃時事ニュースから労務管理に関連するテーマをピックアップし、解説やコメントをしています。
┃
┃メニューがないお店。就業規則が無い会社。
┃
┃山口社会保険労務士事務所
┃
┃『残業管理のアメと罠』
┃毎日8時間の時間制限だと柔軟に勤務時間を配分できないので、
┃月曜日は6時間の勤務にする代わりに、土曜日を10時間勤務にして、
┃平均して8時間勤務というわけにはいかない。
┃しかし、仕事に合わせて、ある日は勤務時間を短く、
┃ある日は勤務時間を長くできれば、便利ですよね。
┃それを実現するにはどうしたらいいかについて書いています。
┃『残業管理のアメと罠』
┃
┣*━*━*━*━*━*━*━*━*━*━*━*━*━*━*━*
┃Copyright(c) 社会保険労務士 山口正博事務所 All rights reserved
┃
┃新規配信のご登録はこちらから
┃(このメールを転送するだけでこのメルマガを紹介できます)
┃メールマガジン 本では読めない、労務管理の"ミソ" に無料で登録する
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━