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人件費の高低が選択の基準?
もう随分と前からですけれども、派遣という働き方が普及し始めましたね。2000年頃ぐらいからでしょうか、派遣形態で働く人が増え始めたのは。
グッドウィル(今はラディアホールディングスという名称になっているようです)、やフルキャストなどの派遣会社が良く知られているところでしょうか。
私は学生時代に派遣形態で働いたことがありますが、上記の会社では登録したことはないものの、他の会社で登録したことはあります。派遣人材市場というのは算入しやすい業界のようで、小さな事務所みたいな会社でも人材業を営んでいるようでした(今はどうかは分かりませんけれども)。
他にも、請負形態でも働いたと記憶しています。スポーツイベントの運営係の仕事で、観客の誘導とか、観覧座席の見切り(座席ごとに料金が違うので、違うエリアに観客が入り込まないように管理する仕事)のような仕事がありましたね。あとは、地域のマラソン大会の運営業務もありました。
この派遣会社は、スポーツイベントの運営を請け負っている会社のようで、イベント業務を一括して請け負って、仕事の登録者を集め、請け負った仕事と登録者をマッチングして、請負代金と登録者への報酬との差を収益にしていたと思います。
結構アナログな管理をしており、登録時に名前などを書面に書いて、当時に仕事現場へ行き、仕事に取り組む。その後、仕事が終わると、名前を責任者に申告しに行くという流れで管理されていました。
どこかで油を売っていても分からないのではないかと思えるほどの、少々雑な運営方法で、「あぁ、こんなザックリとした管理でも人材業ってできるのだな、、」と思ったものです。
他にも、大学時代にレジの仕事で派遣だった経験があります。その会社では、プロパーで採用された人(自社で採用した社員という意味)は時給800円、私のように派遣会社から来ている人は時給1,000円で設定されていたと記憶しています。プロパー社員ならば、派遣社員よりも低い単価で雇用できるのに、あえて高い単価で派遣社員を使っているのですね。さらに、派遣で人材を供給してもらうとなると、派遣会社への手数料も支払っているはずですから、1時間1,400円程度ではないでしょうか。
では、なぜ単価が高いにもかかわらず、企業は派遣社員を利用するのでしょうか。
合理的に判断すれば、プロパー社員だけで構成した方が企業にとっては有利なはずです。にもかかわらず、派遣社員を利用するのですね。
派遣社員は雇用契約をバイパスしているという構造
なぜ派遣社員を利用するか。その最大の理由は、「雇用契約を締結する必要が無い」という点にあると私は考えます。
派遣会社に派遣登録すると、派遣会社と雇用契約を締結することになります。その後、派遣先に仕事に行ったとしても、派遣先とは雇用契約を締結しません。おそらく、雇用関連の書類などを書くのは、派遣会社でのみだと思います。登録用紙に、名前、住所、電話番号、各種の経歴や資格について書き、顔写真を貼るはずです。
雇用契約を締結する必要が無いという点が派遣社員を利用する利点であり、派遣契約でトラブルが起こっても、派遣先にモノを言えない理由なのですね。派遣社員と派遣先には雇用契約に基づく関係は無いので、雇用契約に関する主張はできないような構図になります。派遣先は、人材供給契約のようなものを締結して、その対価を支払う立場でしかないのですね。
そのため、労働者供給のための契約を解除すると、派遣業務も終わるわけです。
もし、プロパー社員を採用していると、キチンとした解雇の手続きを踏まなければいけませんから、企業にとっては手間がかかるのでしょうね。
しかし、派遣会社から人材を供給していると、派遣会社との契約を終了させるだけで、派遣社員を引き上げてもらうことができます。
「個別の社員との雇用契約」よりも「派遣会社との契約」の方が終了させやすいですから、弾力的に雇用量を調整したい企業には便利なのでしょう。
派遣社員を引き上げさせると、社会から「派遣切りだ」と非難されることもありますが、派遣先の会社は道徳的に非難されたとしても、法的には責められないのですね。
雇用契約を締結しない代わりに高単価
ゆえに、雇用が確保されているからプロパー社員は派遣社員よりも低単価であり、一方、雇用が確保されていないから派遣社員はプロパー派遣よりも高単価なのですね。
一般には、「プロパーで採用されると、キチンと雇用が確保されるから、単価は派遣社員よりも相対的に低くなるのは当然だ」と考えるフシもあります。
確かに、そのように解釈することも可能ですが、プロパー社員だからといって雇用が保障されているとまで考えるのは行き過ぎかもしれません。
企業は雇用を保障するために事業を営んでいるわけではありませんからね。
雇用を保障するのは"自分自身"であると考え、自分で自分の雇用を保障するという気持ちを持っていた方が安心ではないでしょうか。
派遣先には、雇用契約を回避することができるという利点があります。また、派遣元には、情報仲介料を得ることができます。さらに、派遣社員は、他の人よりも高い単価で仕事ができる。
何はともあれ、特にだれも損をしないような仕組みになっていますよね。
メルマガ以外にも、たくさんのコンテンツをウェブサイトに掲載しております。
【仕事のQ and A】
決まったことを決まった手順で処理するのは難しいものではありません。例えば、給与計算。毎月1回は給与が支給されるので、その計算作業も毎月ありますけれども、頭を悩ませるほどのものではありません。
他には、雇用保険や社会保険への加入手続きもちょくちょくと発生しますけれども、これも必要な書類を揃えて出すだけですから難しくない。
労務管理ではルーティンな業務があり、それらを処理するには特別な能力や知識は必要ありません。
しかし、時として、普段は遭遇しないような問題が起こります。例えば、休憩時間を1回ではなく何回かに分けて取るのはいいのかどうか。有給休暇を半日や時間単位で細かく分けて取ると便利なのかどうか。仕事着に着替える時間には給与は支払われるのかどうかなど。答えが1つに定まりにくい問題が労務管理では起こります。
- Q:会社を休んだら、社会保険料は安くなる?
- Q:伊達マスクを付けて仕事をするの?
- Q:休む人が多くて勤務シフトに穴が開く。対処策は?
- Q:休憩時間を分けて取ってもいいの?
- Q:残業を許可制にすれば残業は減る?
- Q:残業しないほど、残業代が増える?
- Q:喫煙時間は休憩なの?
- Q:代休や振替休日はいつまでに取ればいいの?
このような問題に対して、どのように対処するか。それについて書いたのが『仕事のハテナ 17のギモン』です。
【1日8時間を超えて仕事をしたいならば】
毎日8時間の時間制限だと柔軟に勤務時間を配分できないので、月曜日は6時間の勤務にする代わりに、土曜日を10時間勤務にして、平均して8時間勤務というわけにはいかない。
しかし、仕事に合わせて、ある日は勤務時間を短く、ある日は勤務時間を長くできれば、便利ですよね。それを実現するにはどうしたらいいかについて書いています。
残業管理のアメと罠
【合格率0.07%を通り抜けた大学生。】
私が社労士試験に合格したのは大学4年のときで、いわゆる「現役合格」です。けれども、3年の時に一度不合格になって、ヘコんだんです。「たかが社労士試験ごときにオチたのか」って。
どうすると不合格になるか。どんなテキストや問題集を使えばいいか。問題集の使い方。スマホをどうやって社労士試験対策に活用するか、などなど。学生の頃の視点で書いています。
社労士試験というと、社会人の受験者が多いですから、学生の人の経験談が少ないんですよね。だから、私の経験が学生の人に役立つんじゃないかと思います。
合格率0.07%を通り抜けた大学生。
【学生から好かれる職場と学生から嫌われる職場】
高校生になれば、アルバイトをする機会があり、
過去、実際に経験した方、
もしくは、今まさに働いている学生の方もいるのでは。
中には、
「学生時代はアルバイトなんてしたことないよ」
という方もいらっしゃるかもしれません。
そういう稀な方は経験が無いでしょうけれども、
学生のアルバイトというのは、
何故か、不思議と、どういう理屈なのか分かりませんが、
雑というか、荒っぽいというか、
そういう手荒い扱いを受けるんです。
若いし、体力もあるし、
少々、手荒に扱っても大丈夫だろうという感覚なのでしょうか。
それ、気持ちとしては分かりますけれども、
法令上は、学生も他の従業員と(ほぼ)同じであって、
一定のルールの下で労務管理しないといけないのです。
もちろん、
18歳未満は夜22時以降は働けないとか、
8時間を超えて働けないとか、
そういう学生ならではの制約は一部ありますけれども、
それ以外のところは他の従業員と同じ。
週3日出勤で契約したはずなのに、
実際は週5日出勤になっている。
休憩時間無しで働いている。
採用時に、1日5時間働くと決めたのに、
実際は1日3時間程度しか勤務させてもらえない。
「学生には有給休暇が無い」と言われた。
テスト休みを取って時給を減らされた。
など、
やってはいけない労務管理がなされてしまっている
という実情もあるようです。
何をやってはいけないかを知らないまま、
間違った対応をしてしまうこともあるでしょう。
(知らないからといって許されるものではありませんけれども)
このような労務管理をすると、学生から好感を持たれ、
辞めていく人が減るのではないか。
一方で、
「これをやってしまってはオシマイよ」
な感じの労務管理だと、
ザルで水をすくうように人が辞めていく。
学生から好まれる職場と嫌われる職場。
その境目はどこにあるのかについて書いたのが
『学校では教えてもらえない学生の働き方と雇い方 - 35の仕事のルール』
です。
「学生が好む職場」と「学生が嫌う職場」 その違いは何なのか。
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