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■経歴や年齢をごまかして採用されたとき◆◆◆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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採用は取り消し?
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■履歴書に書かれている内容が正しいとは限らない。
中学生だけれども、高校生としてアルバイトをする。
本当は34歳だけれども25歳と履歴書に書く。
自動車免許を持っていないけれども、免許を持っていると履歴書に書く。
医師免許を持っていないけれども、免許を取得していると履歴書に書く。
男性だけれども女性と履歴書に記載する(!?)。
などなど。
いわゆる自分の情報を偽る「経歴詐称」ですね。
年齢の鯖読みなどの軽微なものから、医師免許の保有を詐称する重度の詐称まで色々とあります。
「中学生だけれども、高校生としてアルバイトをする」という事例もありそうですね。
学生のアルバイトでは学生証を確認する会社もありますが、確認せずに採用する会社もあるでしょう。そのような会社だと、中学生が自分は高校生であると申告して採用されているかもしれません。
中学生がアルバイトをしても労働基準法違反にはならないものの、中学ではアルバイトを禁止している学校がほとんどでしょう。ただ、私の経験だと、中学でアルバイトをしている人がいましたね。知っている限りでは1人だけですが、意外と身近にいるものです。
高校生になったら急にアルバイトが解禁されるというのも変なものですから、中学生でもアルバイトはできるのでしょう。「中学は義務教育だからアルバイトはダメ」と言う人もいそうですね。
履歴書は自分で書くものですし、何らかの認証がされた書面でもありませんから、虚偽の情報が書かれることもあるわけです。
そこで、「経歴などを詐称していると会社が気づいたとき、どうなるか」というのが今回のテーマです。
■ごまかす内容によって対応が変わる。
普通は、経歴などを詐称をしているのだから、「採用が取り消される」と考えるのでしょうね。
「嘘をついていたのだから採用取り消し」という人もいそうです。
ただ、詐称といっても、個々に程度が違います。
年齢を詐称するという軽微な詐称があれば、医師免許の保有を詐称するという重度の詐称もあります。
この両者の扱いが同じではバランスが悪いでしょう。
軽微ならば採用を取り消さずに注意で済ませるとか、重度ならば採用を取り消すというように対応を分けるはずです。
重要な経歴や資格を詐称していた場合だと、採用取り消しが有効になることが多いです。
医師免許を持っていないのに医師として採用されたとして、この詐称が発覚すればほぼ採用は取り消されます。医師免許が無ければできない仕事をしていたはずですから、免許が無いとなると、仕事をする前提を失うので、雇用を維持できなくなるわけです。
ただ、勤務医だと無免許で医師業務を行っていることはまずあり得ない(病院が確認するはず)ことですが、開業医では稀に無免許で医療業務を行う人がいるようです。無免許でレーシック手術をしたり、美容整形手術をしたりという例が過去にあったように記憶しています。
仕事を遂行するために「不可欠な要素」が欠けていると、採用はほぼ取り消されると考えてよいでしょう。
一方、判断が難しいのは、さほど重要ではない経歴や資格を詐称していた場合です。
例えば、中学生が高校生だと偽って採用されたとか、女性が男性であると偽っていたとか、おばさんがお姉さんに化けていたとか(!?)、MBAの資格を持っていないのに持っていると履歴書に記載したなどのような軽微な詐称をどのように扱うかが焦点です。
これらの詐称で採用を取り消すのはちょっと行き過ぎと思えますよね。医師免許の場合と同じようには判断できない場面です。
もし上記のような詐称を会社が気づいても、採用を取り消さずに、そのまま雇用を続けるのではないでしょうか。
おそらく辞めさせるところまでは行かないことが多いはず。
せっかく仕事に慣れたのに、年齢の詐称ぐらいで辞めさせると、会社の方が困るかもしれませんよね。
MBA資格の詐称でも、採用を取り消すとまではいかないのではないでしょうか。
MBA資格がなくても仕事はできるでしょうし、仕事を遂行するために不可欠な要素とまでは言えません。
詐称した本人は怒られるかもしれませんが、会社が許せば雇用は継続されるはず。
ただ、「MBA資格を保有していなければ採用していなかった」と会社が考えていれば、状況は変わるかもしれませんね。
■採用を取り消すかどうかは企業が決める。
医師免許を持っていないなどの法律違反の場合は別として、法律違反にならない程度の経歴詐称をどのように扱うかは、企業の自治で決めます。
先ほどのMBAの例でも、客観的にはMBA資格の保有を詐称することは雇用には差し支えない事柄(法律違反とまでは言えない)だと判断できますが、人材を採用した会社の立場からすれば、MBA資格は採用にあたって重要な要素だったのかもしません。
つまり、客観的には軽微な詐称であっても、企業に取っては重大な詐称と判断されることも有り得ます。この場合は、採用を取り消すこともあり得るわけです。
ただ、「経歴詐称した人をどのように扱うかは、企業が決めることであり法律が決めることではない」としても、第三者(公的な組織など)が介入すると、採用を取り消すのは行き過ぎだと判断されることもあります。
法律違反にならない経歴詐称で採用された人をどのように扱うかは、立場によって結論が変わってしまうのです。ゆえに、上記の判断はどちらも正しいのですね。
経歴詐称が問題してどの程度のものかは、客観的な基準があるのではなく相対的に判断するのですね。
こちらにも興味がありませんか?
┏━━━━━━━━━━☆★ 編集後記 ★☆━━━━━━━━━┓
花見の客は花を観ているのだろうか。
桜の季節になると、花見客が桜の下で酒食を楽しんでいるのだが、肝心の桜を楽しんでいるのだろうか。
どうも、花見は酒を飲んで騒ぐのが主な目的のようで、何だか複雑だ。
「桜の下で、日本酒の徳利を傾ける」程度がちょうど良いような気がする。
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