book405(障害年金と遺族年金は健康保険が担当するべきでは?)




■年金は総合保険だ。



年金に対する理解は、「年を取ったときに年金を受け取る」という点が一般的です。

老後の所得として年金を利用するのが本来の年金の使い方なのでしょうから、上記のように理解するのはもっともなことです。

ただ、年金には、いわゆる老齢年金だけではなく、障害年金や遺族年金がありますよね。

さらに、国民年金には、付加年金や寡婦年金、死亡一時金、特別一時金、脱退一時金という給付もあります。

他方、厚生年金にも、上記の本体給付だけでなく、脱退手当金、脱退一時金があります。また、厚生年金の場合、老齢年金は「特別支給の老齢厚生年金」と「通常の老齢厚生年金」に分かれています。


上記のように、年金といっても、随分と制度的に枝分かれしており、老後に受け取るだけのメニューだけが用意されているのではないのですね。


老後の所得を補填するのが年金の本来の目的なのでしょうが、障害や死亡までフォローしているために、単純な「年金」というよりも「総合年金保険」と表現する方が適切なのかもしれません。







■老齢だけを対象にすると分かりやすくなるかも。



「年金の仕組みは分かりにくい」と言う人は多いのですが、その原因の1つが、「年金が総合保険になっている」という点にあります。

年を取ったら受け取るだけという制度ならば、分かりやすいのでしょうけれども、今の年金制度は障害や死亡までフォローする仕組みになっていますので、どこがどうなっているのかが分かりにくいのです。


おそらく、国民年金を理解できない人は、厚生年金も理解できないはず。

「国民年金は分かるが、厚生年金は分からない」という人はそれなりにいるかと想像できますが、「厚生年金は分かるが、国民年金は分からない」という人はほとんどいないはず。

厚生年金の仕組みの方が国民年金よりも複雑ですからね。


どうしてここまで複雑にしたのかと思うほど厚生年金は複雑です。

おそらく、所得比例で年金の給付額が変わるために、年金の数理も複雑にならざるを得ないのでしょうね。



本来、年金は老齢のリスクに対応するのが基本なのですから、せめて老齢年金(老齢基礎年金、老齢厚生年金)のメニューに絞れば、もうすこし分かりやすいものになるのかもしれませんね。

今の障害年金と遺族年金は健康保険に任せて、年金では老齢年金に集中すると、役割を分担できて良いだろうと思います。


障害や死亡は健康に関する事象ですから、年金ではなく健康保険が担うのが適切ではないでしょうか。もちろんですが、その際は、厚生年金の保険料を下げて、健康保険の保険料を引き上げます。


山口正博 社会保険労務士事務所
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