book399(「31日以上の雇用見込み」という条件に意味があるの?)






■「6ヶ月以上」から「31日以上」に変わる。



雇用保険が改正され、22年4月1日から新しい雇用保険が施行されています。

主に変わったところは、「31日以上の雇用見込みがあれば雇用保険に加入する」という点でしょうか。

以前は、「1年以上の雇用見込みがあれば雇用保険に加入する」という条件が設定されており、最近になって「6ヶ月以上の雇用見込みがあれば雇用保険に加入する」という条件に変更されていました。

さらに、22年4月1日からは、「31日以上の雇用見込みがあれば雇用保険に加入する」という条件に変更されました。

5年くらい前までは、「雇用保険はフルタイム社員のもの」というような常識があって、パートタイム社員や派遣社員などは雇用保険に加入できないと思われてきたのですね。

しかし、雇用保険をフルタイム社員だけのものにしているのは不都合なので、対象者を増やすために加入条件を緩和してきたわけです。

この流れは良いことだと私は思います。

雇用保険には利点が多いですし、保険料も低いですから、なるべく加入するのがオススメです(社会保険労務士という立場を抜きにしても、お勧めできます)。





■「週20時間以上の所定労働時間」という条件だけで足りるのでは?



ただ、「31日以上の雇用見込みがあれば雇用保険に加入する」という条件が有意味なのかどうかは疑問です。

1年や6ヶ月という期間で雇用見込みを判定するのは有意味なのでしょうが、「31日の雇用見込み」となると、もはや条件として設定する意味がないのではないでしょうか。

雇用保険には、日雇い労働者専用のメニューが用意されていますから、「31日以上の雇用見込みがあれば雇用保険に加入する」という基準を日雇い労働者に当てはめる必要はありません。

となると、フルタイム社員やパートタイム社員が、「31日以上の雇用見込みがあれば雇用保険に加入する」という条件を利用するのでしょう。

ただ、「31日未満しか雇用見込みのない人」というのはどんな人なのでしょうか。

派遣社員ならば、派遣元で雇用契約を締結しますから、31日未満の雇用契約になることはあまりなさそうです。31日未満しか派遣会社に登録していない派遣社員は少ないと思います。派遣会社では、「派遣会社に登録=派遣会社と雇用契約」なのでしょうから、その契約期間(登録期間)が31日未満というのはちょっと考えにくいのですね。


また、パートタイム社員を考えても、31日未満の雇用契約を締結した人を私は知りません。

パートタイムで働く人は、おそらく雇用期間を定めずに雇用契約を締結する(雇用契約書を作っていないかもしれません)人が多いのでしょうから、「31日未満の雇用見込み」という設定を想定しにくいですよね。


「31日以上の雇用見込みがあれば雇用保険に加入する」という条件が一体どのように機能するのか私には分かりません。

雇用見込みを考慮せず、「週20時間以上の所定労働時間」という1つの条件だけで雇用保険に加入する、としてしまう方が分かりやすくて簡単なのではないでしょうか。




山口正博 社会保険労務士事務所
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