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2010/3/27【2カ所で働くパートタイムの人】




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■2カ所で働くパートタイムの人◆◆◆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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勤務時間を分散できるという利点。
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■「1カ所で集中して仕事」vs「2カ所以上で分散して仕事」



パートタイムで働く人は、1カ所だけで仕事をしている人が多いのではないでしょうか。

「週5日勤務で、1日6時間で仕事をする」というような例が多いのかもしれませんね。

中には、夫や妻の扶養になっているから、扶養控除のことを考慮したり、健康保険の被扶養者のことを考慮したりして、働く時間を調整している人もいるでしょうね。

あまり長い時間働いてしまうと、控除がなくなったり、健康保険に自分で加入したりしないといけなくなるので、調整をするんですね。

ただ、パートタイムで働く人の中には、1カ所だけでなく、2カ所以上の職場を掛け持ちして仕事をしている人もいるでしょう。

理由は様々でしょうが、1つでは足りないので、追加的に仕事をしているのが大半かもしれません。


ここで、パートタイムで働く人には、2つのタイプがあることが分かります。

「1カ所だけで仕事をする人」と「2カ所以上で掛け持ちして仕事をする人」ですね。


この両者では、公的保険や税金の扱いが少し変わることを今回は書きます。

同じパートタイムであっても、「職場を集中させている場合」と「職場を分散させている場合」では扱いが変わるのですね。








■仕事を分散すると保険が変わる。



例えば、ここに柴田さんと熊田さんという2人の人物(どちらも仮想の人物です)がいるとします。この2人はともにパートタイムで働き、柴田さんはA社で働き、熊田さんはA社とB社の2つの事業所で働いているとします。

つまり、柴田さんは「1カ所だけで仕事をする人」であり、熊田さんは「2カ所以上で掛け持ちして仕事をする人」ですね。

さらに、柴田さんはA社で週36時間働いており、一方、熊田さんはA社で週18時間、B社で週18時間働いています。

このとき、柴田さんと熊田さんの公的保険(雇用保険、健康保険、厚生年金)はどうなるかを考えたいと思います。


柴田さんは週36時間ですから、全ての公的保険に加入しています。ほぼフルタイム勤務ですからね。

一方、熊田さんはどうでしょうか。

雇用保険には加入しているでしょうか。また、健康保険には加入しているでしょうか。さらに、厚生年金には加入しているでしょうか。

ちなみに、柴田さんも熊田さんも、仕事の時間は週36時間ですので、働く時間の「総量」は同じです。ただ、熊田さんの場合、「18時間×2事業所」というように分散されているのが柴田さんと違う点ですね。

答えを言うと、熊田さんは、雇用保険にも、健康保険にも、厚生年金にも加入していないはずです。

なぜならば、熊田さんの勤務時間は「週18時間」だからです。

ここで、「ええっ? 週36時間でしょう?」と思うかもしれませんが、公的保険の事務では週18時間として扱われるのですね。

A社では週18時間の勤務ですから、どの公的保険にも加入しない。一方、B社でも週18時間の勤務ですから、どの公的保険にも加入しないのですね。

「公的保険では、異なる事業所間の勤務時間は通算されない」という特徴がありますので、事業所を分散して仕事をすると、公的保険の扱いが変わってしまうのですね。


もし、異なる事業所間で勤務時間を通算するとなると、公的保険の保険料は労使折半ですから、事業所が保険料を負担しなければいけないですよね。

ところが、2カ所以上で仕事をする人には、「事業主が負担する保険料を確定できない」という事情があるのです。

勤務時間は常に固定されているとは限りませんし、2つ以上の事業所での勤務時間を通算する作業も困難です。

ゆえに、A社とB社で、50:50で事業主保険料を負担するのは実務的に無理なのですね。


今回の場合、もし熊田さんが健康保険の被扶養者(夫の被扶養者or妻の被扶養者)になっていて、社会保険に入るのが困るならば、掛け持ちで仕事をするのも賢い方法かもしれません

1カ所で働くと週36時間の勤務になり、社会保険に加入して被保険者になりますが、2カ所に分散して勤務すると、週18時間の勤務(事業所単位で把握するため)ですから、社会保険に加入することもありませんので、被扶養者のまま続けることが可能です。

1カ所で集中して仕事をすると、公的保険に加入することもあるでしょうが、2カ所以上に分散して仕事をすれば、公的保険に加入せずに済ますこともできるのでしょうね。

もっと働きたいけれども、時間を調整しなければいけない人は、他の事業所と掛け持ちで働く方が勤務時間を気にしなくて良いのかもしれません。


複数の事業所で働く人をキチンと把握できないのが公的保険の欠点であり、考え方によっては利点でもありますね。







■税金も変わる。



掛け持ちで仕事をすると、税金も変わるでしょう。

パートタイムの税金というと、「確定申告による所得税の還付」が主なものでしょうか。

ある一定以上に働くと、パートタイムで働く人も所得税を支払うので、源泉徴収票を用いて、2月後半から3月にかけて還付のための確定申告をする人もいるでしょう。

もし、柴田さんの場合だと、所得税を支払い、還付の確定申告もするはずですね。週36時間の勤務ですから、おそらく所得税も毎月2千円弱ぐらい(収入によって変わる)源泉徴収されているかもしれません。

そのため、源泉徴収票を用いて還付の確定申告をするわけです。


では、熊田さんはどうでしょうか。

週18時間の勤務だと、おそらく所得税は発生していないのではないでしょうか。

A社でもB社でも、所得税を源泉徴収されていないと思います。

しかしながら、仕事の時間を通算すると、週36時間ですし、収入も通算すると、おそらく所得税を支払う水準に達しているかもしれませんね。



ここで、パートタイムの人が確定申告をするときの気持ちを整理すると、


「所得税を払っているパートタイムの人は、確定申告をするはず(還付があるから)」

一方、

「所得税を払っていないパートタイムの人は、確定申告をしないはず(還付が無いから)」

という心理が想定できます。


となると、熊田さんは確定申告をしないのではないでしょうか。


パートタイムで働く人は、「確定申告は所得税の還付のためのするもの」と思っている人も多いでしょうから、所得税を払っていないならば確定申告も不要と考えてしまうかもしれませんね。


仕事場所を分散すると、保険も税金も変わってしまうものなのですね。

どうも、保険や税金などの公的な制度は、「人は1カ所でしか働かない」という前提を置いているようで、その前提が崩れることを想定していないように思います。







┏━━━━━━━━━━☆★ 編集後記  ★☆━━━━━━━━━┓



e-Govが便利です。
(http://www.e-gov.go.jp/)

手元に六法がないとき、このサイトの法令検索を使うと、いろいろな法律の
条文を検索できます。もちろん、全文で検索可能。

公衆浴場法や旅館業法のような条文も参照できるようです。

通常の六法には載っていない政令なども掲載されており、ありがたいサイトです。


今まで電子政府について提言している人は多くいたものの、なかなか普及せず、
モヤモヤしていましたが、今後はもっと電子化を進めて欲しいですね。





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