労務管理のツボをギュッと押す方法を考えます

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2010/3/4【掛け持ちで働くと保険の扱いも変わる】





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安全か食育か 給食パン持ち帰り禁止 福岡市議会で是非議論 市側、姿勢変えず
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100309-00000000-nnp-l40

今は給食のパンを持って帰ってはいけないのでしょうか。

以前は、残したらキチンと持って帰りなさいと言われていたのですが、今はテイクアウト禁止だそうな。

中には持って帰るのを忘れるヤツがいて、机の中に緑色にカビたパンが残っていることもあった。


安全も大事ですけれども、過剰に対応することもないだろうと思うのですね。

痛んでいるかどうかはパンを見れば分かるのですから、あえて持ち帰り禁止にしなくても良いだろうと私は思います。

もはや過保護ではないかと。




■掛け持ちで働くと保険の扱いも変わる◆◆◆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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勤務時間は個人単位ではなく事業所単位で通算する。
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■週40時間でも週36時間でも公的保険に入らない人がいる。



会社で勤務するほとんどの人は、1つの会社だけで仕事をしているかと思います。

フルタイムで働く人だと、他の会社で働く時間はおそらく無いでしょうし、副業として他社で働くことを禁止している会社もあるはず。

他方、パートタイムで働く人だと、必ずしも1カ所で勤務するとは限らず、いくつかの職場を掛け持って働く人もいるでしょう。午前中はA社で、午後から夕方にかけてはB社でというスケジュールで働く人もいますよね。

ここで、例えば、志賀さん(仮想の人物です)という人物がいたとして、A社で週20時間働き、B社でも週20時間働くというスケジュールで生活しているとします。


この場合、志賀さんは、雇用保険や健康保険(今回は協会健保を想定します)、厚生年金などの公的保険には加入するでしょうか(ちなみに、志賀さんは6ヶ月以上の雇用見込みがある人だと仮定します)。


また別のパターンとして、A社で週18時間働き、B社でも週18時間働くというスケジュールで志賀さんが生活しているとすると、志賀さんは公的保険に加入するのでしょうか。


志賀さん自身の勤務時間は、それぞれ週40時間(前者)と週36時間(後者)なのですが、各事業所ではA社もB社も20時間であり、他方で18時間でもあります。


この環境で、志賀さんは雇用保険、健康保険、厚生年金に加入するのでしょうか。






■勤務記録は個人情報だから通算できない。



まず素朴に考えると、A社で週20時間働き、B社でも週20時間働く場合は、志賀さんの勤務時間は週40時間なので、全ての公的保険に加入すると結論できるはずです。また、A社で週18時間働き、B社でも週18時間働く場合も、勤務時間は週36時間なので、全ての公的保険に加入すると結論できるはず。

「ああ、簡単。考えることなんでないじゃないか」と思うところですが、現実はそう簡単ではないのですね。

上記の視点は、「社員の視点」だけで考えています。「企業側の視点」が欠けており、十分な考察ではないのです。


社員が会社で働いて公的保険に加入するということは、企業も公的保険に加入するわけです。つまり、保険料の負担は労使で折半なのですから、企業は保険料の半分を負担するのですね。

では、A社で週20時間働き、B社でも週20時間働く場合には、A社とB社のどちらが公的保険の保険料を負担するのでしょうか。また、A社で週18時間働き、B社でも週18時間働く場合には、A社とB社のどちらが公的保険の保険料を負担するのでしょうか。

この質問にハッキリと答えることができるでしょうか。


もし、A社が負担すると判断すれば、A社は不満を抱くはずです。「どうして当社が負担して、B社は負担しないの?」と。逆に、B社が負担すると判断すれば、B社が不満を抱きます。


「現実には、掛け持ちの企業間で勤務時間が同じになることはないので、より勤務時間が長い方に保険料を負担させるのが妥当」という判断もありそうですが、A社で週22時間、B社で18時間ならば、A社に負担させるのでしょうか。雇用保険の保険料ならば分かりますが、健康保険や厚生年金の保険料までA社に負担させるのは無理です。なぜなら、A社での勤務時間は週22時間ですからね。


考えを深めれば深めるほど、沼にはまり込むように解決が難しい問題になります。

志賀さんは、週40時間ないし週36時間勤務しており、いわゆるフルタイム勤務と同等の勤務スタイルです。それゆえ、公的保険には全て加入しているのが普通のはず。しかし、勤務している企業が1つではないために、勤務時間が分散され、公的保険に加入するための条件を満たせなくなるのですね。


本来は、保険に加入する人のはずなのに、現実には加入できないという状況になってしまうわけです。これは掛け持ちで仕事をしている人に起こりうる特殊な場面ですね。






■保険料を勤務時間で按分するのも一考なのだが、、、。



この解決策として考えられるのが、勤務時間に応じて保険料を按分するという方法です。

例えば、A社で週20時間働き、B社でも週20時間働くならば、保険料はA社とB社で半分ずつにするのですね。月の保険料が10万円だと仮定すると、本人が5万円を負担し、A社とB社が2.5万円ずつ負担するという仕組みです。

この方法ならば、志賀さんは保険に加入し、A社もB社も納得できる結果を得ることができます。

しかし、この仕組みにも欠陥があって、「いつの時点の勤務時間で按分するのか」という点、「だれが勤務時間を通算するのか」という2点が問題になります。



まず、「いつの時点の勤務時間で按分するのか」という点では、社会保険料算定のように、1年に1回だけ決めるのか、それとも月ごとに按分額が変わるのかという2つの立場があります。

勤務時間というのは、常に一定とはいかず、繁忙期と閑散期では勤務時間が変わるのが普通です。この変動を保険料の按分額に反映させるのか、それとも、1年に1回だけ保険料を決めて固定し、年度の途中では原則として按分額を変更しないのか。


また、「だれが勤務時間を通算するのか」という点では、掛け持ち企業の代表を決めて、その企業が志賀さんの勤務時間を通算するのか、それとも、労働局のような機関がそれぞれの企業から勤務情報を得て、志賀さんの勤務情報を集約するのか。

もし行政機関が勤務情報を集約するとなると、労働局、年金事務所や健康保険協会で個人別の勤務時間を通算することになります。

もし、SSN(Social Security Number)のような管理キーがあれば個人別の勤務情報を一元的に管理できるのでしょうが、今はありません。かといって、各機関が個別にデータベースで管理すると、ズレが生まれるはず。

また、会社間で社員個人の勤務情報をやり取りすることができませんから、掛け持ち企業の代表を決めるのも非現実的です。


考えていると、勤務時間に応じて保険料を按分するのはアリかと思えるものの、現場での処理ができないという欠点があります。


A社で20時間、B社で20時間という掛け持ち勤務やA社で18時間、B社で18時間という掛け持ち勤務で働くと、公的保険に加入できないという穴にはまり込むのですね。ただ、A社で20時間、B社で20時間という勤務ならば、おそらくA社かB社で雇用保険には加入するはずです。雇用保険の保険料は低額(週20時間ですから、数百円程度)ですから、会社間でゴタゴタすることはないかもしれません。

ただ、社会保険の部分は解決が困難です。







┏━━━━━━━━━━☆★ 編集後記  ★☆━━━━━━━━━┓




夫婦の顔つきはなぜあれほど似ているのか。


夫婦というのは、年数が経つと、お互いの顔つきが似てくるという傾向がある。

元々は他人同士なのに、なぜか長年夫婦として連れ添うと、顔つきが徐々に似てくるんです。

あれは不思議だと思う。

中には、兄弟のように顔が似ている夫婦もいて、驚かされる。

さらには、顔つきだけでなく、言葉使いや価値観、立ち振る舞いまで似ている人たちもいて、何のメカニズムでそうなるのかはさっぱり分からない。


もし、上記の仕組みが機能していると仮定するならば、自分がなりたいと思う理想の人と夫婦になれば、自分が変われるのではないだろうか。優しい人になりたければ、優しい人と一緒になればよいし、アクティブな性格になりたければ、アクティブな人と一緒になればよいわけだ。

パートナー選びは大事だ。





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