book364(健康保険では利用実績を保険料と自己負担に反映させるべき)

所得と年齢が基準。


健康保険の保険料は都道府県ごとに決まり、また自己負担割合は年齢と所得で3割から1割に設定されていますよね。保険料は標準報酬月額(所得)に応じて決まり、自己負担は所得と年齢で決まるわけです。

ただ、所得と年齢で健康保険の費用負担を決めると、どうしても健康な人が納得しにくいのですね。

健康保険制度は、健康な人ほど病気や怪我あたりの限界費用が大きくなり、一方、健康でない人ほど病気や怪我あたりの限界費用が小さくなる仕組みになっています。

それゆえ、健康な人は病院に行っていないのに、結構な額の保険料を負担しているのですね。

健康な人ほど健康保険には納得しにくい構造になってしまっているのが健康保険です。




利用実績で費用の負担は変わるのが妥当。


通常、医療保険というと、病気や怪我の度合いに応じて負担が変わります。病気や怪我をしにくい人は保険金の支払いも少ないですから、病気や怪我あたりの限界費用が小さくなるはずです。

医療保険で「無事故ボーナス」があったり、保険料が安くなったりするのは、当然の仕組みなのです。


しかし、公的な健康保険では、利用状況を負担(保険料と自己負担割合)に反映させることはなく、健康な人もそうでない人も同じ保険料を払っています。

確かに、「公的な制度だから、健康な人もそうでない人も同じ保険料を払うのはやむを得ない」と考えることもできます。しかし、制度への信頼は失われるのです。


年齢の若い人ほど保険料や自己負担割合は下がるべきですし、あまり病院を利用しない人も保険料や自己負担割合は下がるべきでしょう。20歳の人と50歳の人の保険料が同じというのは医療保険ではあり得ないことです。


そこで、利用回数と利用額を把握して、健康保険の利用状況を保険料と自己負担割合に反映させるのが良いでしょう。


(ちなみに、私は自己負担割合を標準で6割程度まで引き上げるべきだと考えていますので、この点を前提に後の内容を書きます)

例えば、1年間で、「利用回数が10回以内」であり、かつ「利用額が10万円以内』ならば。翌年度の自己負担割合を6割から5割に引き下げるのも良い案だろうと思います。なお、自己負担割合を引き下げるには、ある程度のバッファがないといけないので、自己負担割合を標準で6割程度に引き上げて、下げる余地を作るべきでしょう。

健康であればあるほど自己負担割合が低下し、いざ大きな病気に罹ったときには低い自己負担割合で治療を受けることができます。


健康でない人に対するフォローは、高額療養費制度や医療費控除で対応するのが良いでしょう。健康保険の"入り口で調整する"のではなく、"出口で調整する"ようにして、健康な人を積極的に制度に引き入れていくのが賢明です。


健康な人が支えているのが健康保険ですから、健康な人が納得できる制度でなければいけないでしょう。

山口正博 社会保険労務士事務所
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