book353(法人税は消費税と連動して動くと良いのでは)






■法人税が届かないところは消費税に任せる。



今回のコラムはやや労務管理から離れます。


法人が事業を営み、利益を獲得すると、その利益に対して税金が課されます。具体的には、純利益(課税対象の利益)に対して法人税率がかけられ、税金の額が決まりますよね。

ただ、法人税の税率にはあまり幅がなく、標準の税率が30%、中小企業で資本金額などの条件を満たすと18%(2009年に22%から18%に改正されている)。その他として、法人の住民税があります。

ここで気になるのは、所得税と違い、「法人税はメニューの幅が狭い」という点です。つまり、所得税だと課税所得に応じて数段階の税率メニューがあるのですが、法人税だと30%か18%という程度のメニューで、幅が狭いのですね。

個人に比べて法人は、取り扱っている資金量が多いし、支払い能力も高い。また、所得税だと個人に負荷がかかるが、法人税だと法人という人の集合体に負荷をかけるので、個人ごとの負担感が薄いために、法人税の税率メニューが少ないのかもしれません。


そこで、法人税を利益額に応じた課税に変え、利益の少ない会社には税率を高くし、利益の多い会社には税率を低くするのはどうだろうかと考えました(「高く」の部分と「低く」の部分は誤記ではない)。









■利益の少ない会社ほど法人税率を上げ、利益の多い会社ほど法人税率を下げる。



利益の少ない会社に対して法人税率を高めると、その会社は経費を多く支出して、法人税を節約しようとするでしょう。現状の法人税率でも、小さな会社は、税金を支払う間際になって経費を多く使い、利益を減らす行動を起こしているのではないでしょうか。

ならば、法人税率を引き上げて、よりもっと経費を使うようにインセンティブを与えればよいのではないか。利益が少ない会社なのだから、もし法人税を課すことができたとしても、回収できる税金はさほどではないだろうと思います。ならば、法人税として回収することを主眼とするのではなく、消費税で回収することを考えた方が賢明ではないでしょうか。経費を使えば消費税が発生するはずですから、たとえ法人税で税金を回収できなかったとしても、消費税でフォローできるでしょう。もちろん、同時に、消費税を引き上げることも必要です。


一方、利益の多い会社に対して税率を低くすると、内部留保と株主配当が容易になります。現状では、利益の約半分ほどが法人税として課金されますので、1,000億の純利益を残しても、半分の500億が法人税として回収されてしまうので、企業はなるべく先行投資をして、法人税の支払いを減らそうとするでしょう。法人税の支払いを減らすということは、株主配当を減らすということと同じですから、株主にとっては残念なことです。「配当すると税金の分だけ損するから、どんどん先行投資していきます」という企業経営者もいて、株主の配当はいつも細々としていますよね。また、内部留保も蓄えにくいですから、投資も小ぶりなものになりがちです。

ならば、利益を多く獲得した企業に対しては税率を低くし、内部留保と株主配当へのインセンティブを与えるようにするのが良いかと思います。利益の絶対額が多ければ、たとえ税率が低くても法人税の額は相応のものになるでしょうから、さほど不都合なことではないだろうと思います。

もちろん、株主配当が増えれば、それは消費にも向かうのですから、そこで消費税を利用してフォローすれば良いでしょう。


ゆえに、法人税と消費税が協同して動けば、より望ましい状態を作ることができるのではないかと私は考えます。





山口正博 社会保険労務士事務所
大阪府大東市灰塚6-3-24
E-mail : mail@ymsro.com
お問い合わせ

© 社会保険労務士 山口正博事務所