book357(労働基準法のための労務管理か)





■法律を下敷きにして労務管理を考えている。



労務管理をするときには、労働基準法に従うというのが一般的な常識です。

「法律ではこのようになっているから、自社ではこうしよう」という流れになっているのが通常の労務管理だろうと思います。

ただ、「法律を先に持ち出すと、自社なりの労務管理をしなくなるだろう」と私は考えています。つまり、法律が"先"であって、会社の考えは"後"になっているのですね。もちろん、コンプライアンス、コンプライアンスと世知辛い世の中ですから、法律を優先するのは当然なのかもしれません。


しかし、会社というのは、法律のために存在しているのではないはず。社会に対して何らかの価値を提供するのが会社ですから、法律を守るために存在してるわけではないのですね。

つまり、法律が「主」で会社が「従」なのではなく、会社が「主」で法律が「従」というのが正しいありかたでしょう。


ならば、法律を先に想定して労務管理をするのは、法律が「主」で会社が「従」という考え方に接近してしまうのではないかと私は思うのです。








■どういう労務管理を望むのかという会社の希望が先のはず。



労働基準法を基準にして労務管理のルールを作るとトラブルが起きやすいものです。

例えて言うならば、駅のホームで、白線ギリギリの場所で電車を待っているようなものです。ちょっと前に動けば怪我をするかもしれませんし、運が悪ければ死にます。駅に進入してきた快速電車に頭が当たって死亡した男子高校生も過去にはいました。

休日の運用でも、労働時間の運用でも、割増賃金の計算でも、採用や退職の手続きでも、労働基準法ギリギリで処理を行っていると、薄皮一枚超えるだけで労務トラブルが発生します。

労働基準法ギリギリで労務管理すれば、最もLow costでオペレーションを回せると思っているのかもしれませんが、ギリギリの運用は意外と高くつくのですね。

ちょっと労働基準法のラインを超えるだけで、社員さんからクレームが来ますから、その都度、会社と社員の間でネゴシエーションが発生するわけです。この時間コストをどう考えるかがキモです。

労働基準法ギリギリが最も安上がりだと思えるのは、あくまで「金銭的に安上がり」だという点のみです。

金だけで労務管理ができるわけではないのです。


労働時間でも、何も毎日8時間も労働しなければならないわけではなく、1日6時間でも5時間でも構わないのです。

有給休暇も、6ヶ月で10日、1年6ヶ月で11日という比率を絶対守らなければいけないわけではなく、「1年で25日の有給休暇」というように決め打ちしても構わないのですね(労働基準法のラインを下回らない限り)。


労務管理のルールを作るときは、まず労働基準法は脇においておいて、会社のスタンスを先に決めて仕組みをくみ上げるのが上策です。


「労働基準法ギリギリが最もお得」と考えるのは下策です。金だけで考えてはいけません。




山口正博 社会保険労務士事務所
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