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┗━┻━━━━━━━━━━━━━━━ (2009/11/26号 no.144)━
- 年金分割制度の内容は公表されるが、それを作った理由はあまり公表されない
- 第3号被保険者である妻の犠牲を第2号被保険者の夫がカバーするため
- 「会社員の夫、専業主婦の妻」という家庭を想定して年金制度は作られている
■年金分割制度を作った理由◆◆◆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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どうして分割する仕組みが必要なのか
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年金分割制度の内容は公表されるが、それを作った理由はあまり公表されない
2年くらい前でしょうか、離婚時の年金分割ができるようになって、少しだけ話題になりましたよね。
「年金分割ができるようになると、熟年離婚が増える」と言ったりする人もいて、妙な感じを抱いていたのを覚えています。分割の仕組み自体が良く分からない人が多いのに、「年金分割→熟年離婚」とはそう簡単に繋がらないだろうとも思えますね。
ところが、年金分割の仕組みは調べれば何とか分かるのでしょうが、その仕組みをなぜ作ったのかという点についてはあまり触れられていないのですね。
いわゆる、「制度の趣旨」というものです。
公的な仕組みを作るからには、何らかの意図がありますから、その意図つまり趣旨を知れば、「あぁ、だから年金分割という制度を作ったのか、、」と納得できるのではないでしょうか。
本やウェブサイトを見ると、年金分割の仕組みについては細かく書いていますが、なぜ年金分割制度を作ったのかという点については細かく書いていないのではないかと思います。
そこで今回は、なぜ年金分割などという仕組みを作ったのかが本題となります。
第3号被保険者である妻の犠牲を第2号被保険者の夫がカバーするため
なぜ年金を分割するのかを端的に答えると、「妻が払ってきた犠牲を夫が補償する」というのが最大の理由です。
例えば、夫が外で働き、妻が家で家事を主に担当していると、妻は自分自身で自分の年金を作れません。つまり、会社で働けば、厚生年金に加入して自分の年金を作ることができますからね。もちろん、専業主婦であっても、国民年金の3号被保険者になりますから、国民年金には加入できています。ただ、厚生年金を使って年金を上乗せする機会はなくなってしまうわけです。
(※ちなみに、3号被保険者とは、厚生年金に加入している人に扶養されている配偶者のことを意味します。会社員の夫に扶養されている妻とか、会社員の妻に扶養されている夫ですね。性別は問わないので、夫でも3号被保険者になることが可能です)
そこで、厚生年金に加入して自分の年金を上乗せする機会を失った妻への見返りとして、夫の厚生年金の保険料納付記録を分割してもらうのですね。
端的に言えば、「厚生年金に対する機会損失」が妻の犠牲なのですね。
妻の発言を想定すると、「あなたが気兼ねなく仕事ができるように、私は家のことをずっとやってきたんです(少し語気を強く)。そのため、私は年金に加入したくても加入できなかったのよ(ちょっと悲しく言う)。だから、あなたの年金を分けてもらうのも理にかなったことなの(堂々と言う)」というように言うかもしれませんね。
年金分割は、妻を守るというよりも、特に国民年金3号被保険者の期間をフォローしようという意図が強いです。
3号被保険者の期間は、厚生年金には加入していませんが、保険料の負担無しに国民年金に加入しています(なお、3号被保険者を扶養しているからといって、厚生年金に加入している夫や妻の保険料が別途で上がるということはありません)。
この点では3号被保険者には利点があるのですが、年金を受け取る段階になると、国民年金だけが支給されますので、どうしても受取額が少ないのですね。
家事を主に担うことなしに仕事をしていれば厚生年金に加入することは可能だったが、専業主婦(or専業主夫)ゆえに、やむをえず厚生年金に加入できなかっただけなのですね。にもかかわらず、国民年金だけしか支給されないのは辛いですから、夫(or妻)の厚生年金の記録を分けてもらうことで、妻(or夫)の年金を増やそうとしているわけです。
「配偶者の犠牲を、もう一方の配偶者がフォローする」これが年金分割を作った理由です。
「会社員の夫、専業主婦の妻」という家庭を想定して年金制度は作られている
ちなみに、年金の分割は厚生年金だけの仕組みです。そのため、自営業の期間は年金分割の対象にできないのですね。
例えば、夫が自営業(若いときからずっと自営)で、妻が専業主婦だとすると、妻は夫の年金記録を分けてもらうことができません。
なぜならば、国民年金は別名「基礎年金」とも呼ばれ、老後の基礎収入の役割を担う年金として位置づけられています。それゆえ、分割の対象にするのは避けたのでしょうね。国民年金を分割してしまうと、自活できなくなり、生活保護を受けたりしてしまうかもしれませんからね。
ただし、会社員の人が途中でいわゆる「脱サラ」をして自営業になったとしても、年金分割の対象になります。もちろん、自営業の期間(国民年金だけに加入している期間のこと)は分割されませんが、会社員時代の期間(厚生年金に加入していた期間のこと)は分割される可能性があります。
ヘンな考え方ですが、若いときから自営業をやっておけば、年金を分割できないので、熟年離婚を防ぐことができるのでしょうか。まあ、「離婚を防ぐために自営業をやる」なんて考えている男はいないかもしれませんけれども、、、。
年金以前に離婚されることもありますから、、、。年金だけで離婚など決めませんからね。
あと、年金分割には、「任意分割」と「強制分割」の2種類があります(「任意」「強制」というのは私なりのネーミングです)。
任意分割とは、厚生年金の記録を持っている相手と合意したり、裁判所で手続きをしたりすることで、分割の割合(最大で50%まで)を決める仕組みです。
一方、強制分割とは、厚生年金の記録を持っている相手と合意する必要はなく、一方的な請求で分割が可能な仕組みです。さらに、分割割合も50%に固定されています(割合設定の幅がない)。
ただ、強制分割をするには、国民年金3号被保険者の期間だけが対象です。つまり、自分自身が3号被保険者だったときに、相手が厚生年金に加入している、その両者の期間が重なっている期間が強制分割の対象なのです。
任意分割の場合は、このような制約はなく、婚姻期間中の厚生年金記録が対象になります(3号かどうかは問わない)。
端的に言えば、強制分割は、専業主婦や専業主夫を特別にフォローしようという仕組みなのですね。
メルマガ以外にも、たくさんのコンテンツをウェブサイトに掲載しております。
【仕事のQ and A】
決まったことを決まった手順で処理するのは難しいものではありません。例えば、給与計算。毎月1回は給与が支給されるので、その計算作業も毎月ありますけれども、頭を悩ませるほどのものではありません。
他には、雇用保険や社会保険への加入手続きもちょくちょくと発生しますけれども、これも必要な書類を揃えて出すだけですから難しくない。
労務管理ではルーティンな業務があり、それらを処理するには特別な能力や知識は必要ありません。
しかし、時として、普段は遭遇しないような問題が起こります。例えば、休憩時間を1回ではなく何回かに分けて取るのはいいのかどうか。有給休暇を半日や時間単位で細かく分けて取ると便利なのかどうか。仕事着に着替える時間には給与は支払われるのかどうかなど。答えが1つに定まりにくい問題が労務管理では起こります。
- Q:会社を休んだら、社会保険料は安くなる?
- Q:伊達マスクを付けて仕事をするの?
- Q:休む人が多くて勤務シフトに穴が開く。対処策は?
- Q:休憩時間を分けて取ってもいいの?
- Q:残業を許可制にすれば残業は減る?
- Q:残業しないほど、残業代が増える?
- Q:喫煙時間は休憩なの?
- Q:代休や振替休日はいつまでに取ればいいの?
このような問題に対して、どのように対処するか。それについて書いたのが『仕事のハテナ 17のギモン』です。
【1日8時間を超えて仕事をしたいならば】
毎日8時間の時間制限だと柔軟に勤務時間を配分できないので、月曜日は6時間の勤務にする代わりに、土曜日を10時間勤務にして、平均して8時間勤務というわけにはいかない。
しかし、仕事に合わせて、ある日は勤務時間を短く、ある日は勤務時間を長くできれば、便利ですよね。それを実現するにはどうしたらいいかについて書いています。
残業管理のアメと罠
【合格率0.07%を通り抜けた大学生。】
私が社労士試験に合格したのは大学4年のときで、いわゆる「現役合格」です。けれども、3年の時に一度不合格になって、ヘコんだんです。「たかが社労士試験ごときにオチたのか」って。
どうすると不合格になるか。どんなテキストや問題集を使えばいいか。問題集の使い方。スマホをどうやって社労士試験対策に活用するか、などなど。学生の頃の視点で書いています。
社労士試験というと、社会人の受験者が多いですから、学生の人の経験談が少ないんですよね。だから、私の経験が学生の人に役立つんじゃないかと思います。
合格率0.07%を通り抜けた大学生。
【学生から好かれる職場と学生から嫌われる職場】
高校生になれば、アルバイトをする機会があり、
過去、実際に経験した方、
もしくは、今まさに働いている学生の方もいるのでは。
中には、
「学生時代はアルバイトなんてしたことないよ」
という方もいらっしゃるかもしれません。
そういう稀な方は経験が無いでしょうけれども、
学生のアルバイトというのは、
何故か、不思議と、どういう理屈なのか分かりませんが、
雑というか、荒っぽいというか、
そういう手荒い扱いを受けるんです。
若いし、体力もあるし、
少々、手荒に扱っても大丈夫だろうという感覚なのでしょうか。
それ、気持ちとしては分かりますけれども、
法令上は、学生も他の従業員と(ほぼ)同じであって、
一定のルールの下で労務管理しないといけないのです。
もちろん、
18歳未満は夜22時以降は働けないとか、
8時間を超えて働けないとか、
そういう学生ならではの制約は一部ありますけれども、
それ以外のところは他の従業員と同じ。
週3日出勤で契約したはずなのに、
実際は週5日出勤になっている。
休憩時間無しで働いている。
採用時に、1日5時間働くと決めたのに、
実際は1日3時間程度しか勤務させてもらえない。
「学生には有給休暇が無い」と言われた。
テスト休みを取って時給を減らされた。
など、
やってはいけない労務管理がなされてしまっている
という実情もあるようです。
何をやってはいけないかを知らないまま、
間違った対応をしてしまうこともあるでしょう。
(知らないからといって許されるものではありませんけれども)
このような労務管理をすると、学生から好感を持たれ、
辞めていく人が減るのではないか。
一方で、
「これをやってしまってはオシマイよ」
な感じの労務管理だと、
ザルで水をすくうように人が辞めていく。
学生から好まれる職場と嫌われる職場。
その境目はどこにあるのかについて書いたのが
『学校では教えてもらえない学生の働き方と雇い方 - 35の仕事のルール』
です。
「学生が好む職場」と「学生が嫌う職場」 その違いは何なのか。
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