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□□ ┃ 山口社会保険労務士事務所
┗━┻━━━━━━━━━━━━━━━ (2009/10/30号 no.136)
家族がインフルなら本人もインフルであるとみなす?
ニュースで何度もインフルエンザについて採り上げられていると、だんだんと感覚が鈍ってくるのは筆者だけでしょうか。
1月、年の始め頃は誰もがマスクを付けていたような状態だったのですが、今ではマスクを付けている人が珍しいほどです。
「これだけ広がっているのだから、今更マスクを付けても気休めにもならない」と言う人もいて、ああこんなものなのかなと思えてきます。
にもかかわらず、"疾患の代表格"になってしまっているのが今のインフルエンザだったりするのですね。
中には、家族に新型インフルエンザの感染者が出た場合、1週間の自宅待機が命じられる会社もあるようです。新型のインフルエンザだからなのか、どうも特別扱いしすぎだと私は思うのですが、人によって捉え方が違うのでしょうね。
ただ、家族がインフルエンザに罹患しているからといって、社員さん本人まで休ませられるというのは、変な感じがするのです。
もちろん、休業として扱うのでしょうが、病気になっていない本人まで休ませる必要はあるのかどうかが疑問なのですね。
家族の事情まで勘案して休業にするかどうかを判断すべきなのか、それとも、家族の健康状態を考慮せず本人の健康状態で休業にするかどうかを判断するべきなのか、どちらでしょうか。
本人は健康なのに休むの? 家族の事情を考慮すると判断しにくくなる
インフルエンザというのはいきなり発症する病気ではなく、「インフルエンザウィルスに感染→潜伏期間に入る(5日から7日ほど)→ウィルスが増殖(じわじわと関節痛や頭痛、熱の症状が出始める。軽度の症状)→ウィルスが一定量に達する→インフルエンザを発症(本格的に発症している状態)→治療および時間の経過→回復とぶり返しを繰り返す→回復」という流れを辿るのですね。
潜伏期間が5日から7日ほどあるのですから、この段階で色々な人にウィルスを飛散させていくはずですよね。さらに、この時期には本人に自覚症状があまりなく、「鼻がズルズルするから、軽い風邪かなぁ、、、」などと甘く判断することも良くあります。鼻がグズつく程度で、「あっ!インフルエンザかも」などと予見できる人は少ないはずです。この程度の症状ならば、体調も良く、仕事をするにも支障はありません。しかしながら、すでに感染しているのかもしれません。
町中ですれ違った人が感染者かもしれないし、電車で隣に座っていた人が感染者かもしれないし、どこから来るかは分かりません。
それゆえ、会社が行うインフルエンザ対策といっても、実際に対策行動に出た時点ではすでにウィルスは飛散してしまった状況なのではないでしょうか。
となると、どの時点からインフルエンザに感染しているのかが分からないですし、症状が出ている人を見つけた時点で休ませても、すでにウィルスが広がっているでしょうね。
家族が罹患しているとか感染しているとか、もしくは発症しているとか、このような事情を考慮してしまうと変な方向に向いてしまうのではないでしょうか。
勤務しているのは社員さん本人なのであって、家族ではないのですから、社員さん本人をみて判断するのがマトモだと思います。
新型インフルエンザだからといって、何か特別なことをしなければいけないわけではなく、通常の風邪と同じように対応して構わないのです。
どうしても、ニュースや新聞で煽られると、「何かしなければ!」と思う人がいるようで、「家族がインフルエンザに感染したら、その社員を休ませる」というような過剰な扱いをし始めてしまうわけです。メディアは人をビビらせすぎているのではないでしょうか。
ただ、会社の判断で、「より安全に」という思いを持って、社員さん本人だけでなく家族の健康状態も含めて考慮しているならば、それはそれで良いことです。
手の消毒液を従業員で入り口に置くとか、トイレの手洗い場にうがい薬を置くとか、加湿器を使うとか、このような対策でも会社としては十分だと私は思います。あとは、マスクを配布するとかでしょうか。
家族ではなく本人の健康状態で判断する
ゆえに、休業にするかどうか、病気欠勤にするかどうかを判断するときは、家族の事情を考慮せず、社員さん本人を見て判断するのが妥当です。
「家族がインフルエンザに感染したら社員さんを休ませなければいけない」という決まりはないですし、行政機関もそのような指導はしていません。「できれば休ませる方が望ましい」という程度でしたら可能性はありますが、ねばならないという程度ではないです。
社員さん本人に症状が出ているならば病欠(手当は要らない)ですし、まだ症状は出ていないが予防的に休ませようとするならば休業(手当が要る)ですね。
ただ、通常は、症状も出ていない健康状態(見た目は健康だが、インフルエンザに感染している状態)であえて休ませることもないですから、実際に症状が出てから休ませるはずですよね。なぜならば、症状が出ていない(もしくは軽度の風邪)ので、本人も検査をしないでしょうから、会社もインフルエンザに感染していることを把握できないからです。
となると、インフルエンザで休業になることはあまり無く、病欠で対応できるのではないでしょうか。
【仕事のQ and A】
決まったことを決まった手順で処理するのは難しいものではありません。例えば、給与計算。毎月1回は給与が支給されるので、その計算作業も毎月ありますけれども、頭を悩ませるほどのものではありません。
他には、雇用保険や社会保険への加入手続きもちょくちょくと発生しますけれども、これも必要な書類を揃えて出すだけですから難しくない。
労務管理ではルーティンな業務があり、それらを処理するには特別な能力や知識は必要ありません。
しかし、時として、普段は遭遇しないような問題が起こります。例えば、休憩時間を1回ではなく何回かに分けて取るのはいいのかどうか。有給休暇を半日や時間単位で細かく分けて取ると便利なのかどうか。仕事着に着替える時間には給与は支払われるのかどうかなど。答えが1つに定まりにくい問題が労務管理では起こります。
- Q:会社を休んだら、社会保険料は安くなる?
- Q:伊達マスクを付けて仕事をするの?
- Q:休む人が多くて勤務シフトに穴が開く。対処策は?
- Q:休憩時間を分けて取ってもいいの?
- Q:残業を許可制にすれば残業は減る?
- Q:残業しないほど、残業代が増える?
- Q:喫煙時間は休憩なの?
- Q:代休や振替休日はいつまでに取ればいいの?
このような問題に対して、どのように対処するか。それについて書いたのが『仕事のハテナ 17のギモン』です。
【1日8時間を超えて仕事をしたいならば】
毎日8時間の時間制限だと柔軟に勤務時間を配分できないので、月曜日は6時間の勤務にする代わりに、土曜日を10時間勤務にして、平均して8時間勤務というわけにはいかない。
しかし、仕事に合わせて、ある日は勤務時間を短く、ある日は勤務時間を長くできれば、便利ですよね。それを実現するにはどうしたらいいかについて書いています。
残業管理のアメと罠
【合格率0.07%を通り抜けた大学生。】
私が社労士試験に合格したのは大学4年のときで、いわゆる「現役合格」です。けれども、3年の時に一度不合格になって、ヘコんだんです。「たかが社労士試験ごときにオチたのか」って。
どうすると不合格になるか。どんなテキストや問題集を使えばいいか。問題集の使い方。スマホをどうやって社労士試験対策に活用するか、などなど。学生の頃の視点で書いています。
社労士試験というと、社会人の受験者が多いですから、学生の人の経験談が少ないんですよね。だから、私の経験が学生の人に役立つんじゃないかと思います。
合格率0.07%を通り抜けた大学生。
【学生から好かれる職場と学生から嫌われる職場】
高校生になれば、アルバイトをする機会があり、
過去、実際に経験した方、
もしくは、今まさに働いている学生の方もいるのでは。
中には、
「学生時代はアルバイトなんてしたことないよ」
という方もいらっしゃるかもしれません。
そういう稀な方は経験が無いでしょうけれども、
学生のアルバイトというのは、
何故か、不思議と、どういう理屈なのか分かりませんが、
雑というか、荒っぽいというか、
そういう手荒い扱いを受けるんです。
若いし、体力もあるし、
少々、手荒に扱っても大丈夫だろうという感覚なのでしょうか。
それ、気持ちとしては分かりますけれども、
法令上は、学生も他の従業員と(ほぼ)同じであって、
一定のルールの下で労務管理しないといけないのです。
もちろん、
18歳未満は夜22時以降は働けないとか、
8時間を超えて働けないとか、
そういう学生ならではの制約は一部ありますけれども、
それ以外のところは他の従業員と同じ。
週3日出勤で契約したはずなのに、
実際は週5日出勤になっている。
休憩時間無しで働いている。
採用時に、1日5時間働くと決めたのに、
実際は1日3時間程度しか勤務させてもらえない。
「学生には有給休暇が無い」と言われた。
テスト休みを取って時給を減らされた。
など、
やってはいけない労務管理がなされてしまっている
という実情もあるようです。
何をやってはいけないかを知らないまま、
間違った対応をしてしまうこともあるでしょう。
(知らないからといって許されるものではありませんけれども)
このような労務管理をすると、学生から好感を持たれ、
辞めていく人が減るのではないか。
一方で、
「これをやってしまってはオシマイよ」
な感じの労務管理だと、
ザルで水をすくうように人が辞めていく。
学生から好まれる職場と嫌われる職場。
その境目はどこにあるのかについて書いたのが
『学校では教えてもらえない学生の働き方と雇い方 - 35の仕事のルール』
です。
「学生が好む職場」と「学生が嫌う職場」 その違いは何なのか。
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