労務管理のツボをギュッと押す方法を考えます

会社で起こる労務管理に関する悩みやトラブルを解決する方法を考えます。

出勤率8割未満の人の年次有給休暇

有給休暇

 

出勤率8割未満だと休暇がゼロという状態を変える。

有給休暇を取得する条件には、「勤続期間」と「出勤率」がありますよね。

その中でも、出勤率が8割を下回ると、その時点(6ヶ月、1年6ヶ月など)での休暇は付与されなくなります。


そこで、出勤率が8割未満であっても、ある程度の休暇を付与しようと試みる会社もあります。

出勤率が8割を上回っていると全日数の休暇が付与されるが、出勤率が8割を下回ると休暇がゼロになるので、その極端な状態を解消しようという思いなのでしょうね、


確かに、僅かな違いで大きな差が発生するのでしょうから、この点を変えようと思うのはあり得ることだと思います。


フォローをする仕組みがあるのは良いけれども、、、。

では、どのような手段を用いるかというと、「出勤率8割未満の時の休暇日数を計算する方法を決める」という手段と、「出勤率8割未満の時の休暇テーブルを作る」という2つの手段がありますね。


前者の手段だと、「出勤率7割以上8割未満で、標準休暇日数から30%を減らす」とか「出勤率6割以上7割未満で、標準休暇日数から50%を減らす」という内容です。

ここで、標準休暇日数とは、出勤率8割の条件を満たした時の休暇日数のことです。例えば、勤続期間6ヶ月時点だと10日の休暇、勤続期間1年6ヶ月時点だと11日の休暇、というときの10日や11日のことです。

この標準休暇日数から、出勤率に応じて休暇日数を減らすわけです。6ヶ月時点で出勤率7割以上8割未満だと、休暇は30%減ですから、7日[10日ー3日(30%)]になります。

一方、後者の手段だと、勤続期間と休暇日数をリンクさせたテーブルを新たに作るという内容になります。

標準の休暇テーブルだと、6ヶ月で10日、1年6ヶ月で11日、2年6ヶ月で12日、、、というように勤続期間と休暇日数をリンクさせたテーブルが作られていますよね。そこで、出勤率8割未満の社員さんに備えて、このテーブルを新たに作るわけです。

例えば、出勤率7割以上8割未満ならば、6ヶ月で7日、1年6ヶ月で8日、2年6ヶ月で9日、、、というようにテーブルを作っておき、実務の現場ではそのテーブルをあてはめて判断するわけです。

出勤率6割以上7割未満ならば、6ヶ月で5日、1年6ヶ月で6日、2年6ヶ月で7日、、、というようなテーブルを作ります。

テーブルを作っておけば、計算間違いをすることがなくなりますし、作業も楽です。

ただ、私は、仕組みというのはなるべくシンプルにしておくのが良いと思っています。

派生要素を多く織り込んでいくと、個別の事情に対応することができるのかもしれませんが、仕組みが運用しにくくなって、使う人が困ることもあり得ます。

普通に勤務していれば出勤率が8割を下回ることは有り得ないはずですから、あえて出勤率8割未満の人をフォローすることもないのかもしれません。


より細かくフォローしていこうという姿勢は良いことなのですが、どこまで踏み込むかは会社ごとに判断したいですね。

 

 

1週あたりの所定労働日数が少ない人は出勤率が下がりやすい。

所定労働日数が少ない人、例えば週3日で働いているパートタイマーの方や、週2日だけ出勤しているパートタイマーの方が、何らかの事情で休んでしまうと、出勤率はガクンと下がります。

所定労働日数が多いほど、出勤率を計算する際の分母が大きくなりますから、数日休んだとしても、出勤率が8割を下回る可能性は低くなります。

一方で、週3日や週2日で働いてる人たちが休んでしまうと、分母となる所定労働日数が少ないので、休んだ日が少ないとしても出勤率が下がりやすくなってしまいます。

例えば、週5日で働いている人が、そのうち1日を休んだとすれば、出勤率は80%です。4/5ですから。

一方で、週3日で働いている人が、そのうちの1日を休んでしまった場合、出勤率は80%を下回ります。2/3ですから、およそ67%になってしまい8割を下回ります。

実際に出勤率を出す際は、過去1年分なり半年分の期間を取って、その期間の中で出勤率を計算していくわけですけれども、所定労働日数が少ない人ほど出勤率が低くなりやすいという点は知っておく必要があります。

出勤率8割未満であったとしても、5割以上ならば法定の半分の年次有給休暇を付与する、みたいな形で、事業所独自に条件を緩和したようなルールにしても構いません。そこまで細かいルールを就業規則に決めるかどうかは事業所ごとに違いがありますけれども。

出勤率が8割を下回るのは、決まった通りに出勤していれば、ほぼその8割を下回ることはないでしょうから、あえて出勤率8割未満の人に対して、何らかの措置なり制度を作る必要があるかというと、あまりその必要性は高くないでしょう。

「全労働日の8割以上」という部分が、出勤率を判定する際の基準になっています。まず、全労働日とは、雇入条件通知書や雇用契約書で決まった所定労働日数のことを意味します。

例えば、週3日で出勤すると契約で決めているパートタイマーの方だと、1週間で3日出勤するわけですから、1か月だとおよそ13日ぐらいの所定労働日数です。1ヶ月で13日出勤するとすれば、その13日が1ヶ月あたりの全労働日ということに。この13日が分母の数字になって、その内2日を休んだとすると、11/13になりますから、出勤率は約85%となり、全労働日の8割以上という条件を満たしています。期間は1ヶ月だけですけれども。

 

ちなみに、使用者の都合でお店や会社が休業になって、従業員の人が休むことになったら、年次有給休暇の出勤率に影響するのかどうか。

従業員側に責任がなくて、使用者の判断で休業した日は、全労働日から除かれるので、出勤率には影響が出ないようになっています。つまり分母と分子の数字が減りますので、出勤率の数字は変わらないのですね。

所定労働日数が週5日出勤の人で、そのうち1日が休業になったとすると、週4日出勤になります。この場合の出勤率の計算は、4/5ではなくて、4/4になりますので、出勤率は100%です。

 

 

遅刻や早退をすると年次有給休暇の出勤率に影響するか

事前に決めた勤務シフトに従って、始業時間に仕事を始め、終業時間に仕事を終えていたら、1日の仕事をきちんと終えたことになりますから、それは出勤日として扱われることに問題はないでしょう。

では、何らかの事情で、仕事の途中で早退したら、その日は出勤したことになるのかどうか。また、何らかの事情で、遅刻した場合は、その日は出勤になるのかどうか。

結論としては、遅刻をしても、早退をしても、その日は1日出勤したものとして扱われます。年次有給休暇の出勤率を計算する場合に限ってですが。

遅刻や早退をすれば、その部分だけ賃金が控除されることがありますし、職場によっては遅刻に対して減給制裁が設けられていることもあります。

しかし、年次有給休暇の出勤率を算出する際には、遅刻や早退をした日であっても、通常通りに出勤したものとして扱います。

なぜ遅刻や早退をしても出勤したものとして扱うのか。それは、年次有給休暇の取得に際しては、1日あたり何時間働いているかは影響しないようになっています。1日8時間勤務で週5日勤務の人が付与される年次有給休暇の日数と、1日4時間勤務で週5日出勤している人が付与される年次有給休暇の日数はどちらも同じになります。

年次有給休暇の付与においては、1日あたりの勤務時間が問われないようになっていますので、出勤率を判定する際にも、遅刻や早退によって勤務時間が減ったとしても、その日は出勤したものとして扱うわけです。

 

 

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山口正博 社会保険労務士事務所
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