book255(教育訓練を行うときは、休業手当100%が条件)




■教育訓練をやるなら、給与は全額支給せよ?


雇用調整助成金および中小企業緊急雇用安定助成金を利用するときには、休業だけでなく、教育訓練も同時に実施することができます。

この助成金を使うと、休業に対して助成されるのはもちろん、教育訓練の費用についても助成されます。

たびたび仕組みが変更されてきた上記の助成金ですが、今回もまた変更がありました。


「休業と同時に教育訓練を実施するときは、休業手当の支給率を100%に設定すること」が条件として加わりました。

休業だけを行う場合には、従来のように60%~100%で支給率を設定できますが、教育訓練をセットにするときには100%に固定するわけですね。


では、なぜこのような条件が付加されたのでしょうか。

制度が変わったという点については、ウェブサイトやパンフレットで分かりますが、変更の意図についてまでは書かれていませんよね。

あえて100%に支給率を固定するのはなぜなのか。その意図を知りたいと思いませんか。


何とも不自然な変更ですからね。






■なぜ休業手当100%を条件にしたのか。


本来ならば、休業手当の支給率は「60%~100%」で設定することができます。

にもかかわらず、なぜ、休業と同時に教育訓練を実施する場合に限り、支給率を100%に固定することを求めることにしたのか。

その意図については特に公表されていません。


ただ、私は、「教育訓練に対する助成金」にちょっとした穴があるために、今回のように休業手当100%を条件にしたのではないかと考えています。

つまり、本来ならば、教育訓練に対する助成金は、「教育訓練に要した費用 = 教育訓練に対する助成金」という関係になるはずです(「なるべき」という方が合っているでしょうか)。

ところが、教育訓練の内容によっては、「教育訓練に要した費用 < 教育訓練に対する助成金」という関係になることもあるのですね。つまり、必要な費用以上に助成金が支給されるというわけです。

雇用調整助成金および中小企業緊急雇用安定助成金を使う際に、教育訓練も同時に使っていると、「教育訓練に要した費用 < 教育訓練に対する助成金」という状態になる会社もあるのですね(私もこのような会社を知っています)。


ただ、「雇用を安定させるための費用を支援する」のが今回の助成金の目的です。

となると、必要以上に会社にお金が流入することは、助成金の目的に合わないわけです。

それゆえ、休業手当の支給率を100%に固定し、休業部分に対して会社に必要以上の費用を支出させ、教育訓練の部分で得た余分な助成金を、休業部分の費用と相殺させようとする意図があるのではないかと私は考えています。

これは公表された事実ではありませんが、こう考えるとスッキリと理解できるのです。「あぁ、、なるほどね」と。


ゆえに、教育訓練を実施するときには、休業手当の支給率を100%に固定するという仕組みに変更したのでしょうね。

なかなか上手な制度変更ですね。公務員の皆さんは賢いです。


 

山口正博 社会保険労務士事務所
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