労務管理のツボをギュッと押す方法を考えます

会社で起こる労務管理に関する悩みやトラブルを解決する方法を考えます。

book254(健康保険制度で困るのは健康な人)




■必要以上に薬を貰ったりする人。


ご存知のように、健康保険を使うと、実費の1割~3割の費用負担で病院で診察や治療を受けることができますね。


ただ、健康保険というのは、保険料は所得比例で課金されるのですが、利用時の負担は一定の幅に固定されています。

つまり、保険料をたくさん払っても、さほど払わなくても、利用できる範囲に違いはないのですね。


となると、なるべく保険料は少ない方が良いでしょうし、また、不健康な人の方が得られる利益も多くなります。

健康な人はほとんど病院に行かないですし、さらに、健康ですから仕事もキチンとできて、保険料もたくさん払っているはずです。にもかかわらず、健康保険から得られる利益は小さいわけですね。

それゆえ、普段から健康であるよりも、なるべく病院を使うようにしようとする変な動機が生まれることもあります。







■健康な人ほど利点が少なくなる。


風邪をひいて、病院で薬を貰う人がいるとします。

その人が、「どうせ保険が使えるのだから、風邪薬を余分に貰っておけば得だ」と考え、3日分で足りるところを、10日分の薬を貰ったりするのですね。

他にも、関節痛などで湿布薬を貰う時に、1袋で足りるところを、余分に5袋ぐらい貰ったりする人もいます。


「健康保険は使わなければ損だから、何とかして元を取ってやろう」というインセンティブが働いてしまうのですね。

なぜこのような状況になるかというと、健康な人が損をする仕組みになっているからです。

健康だと、仕事もキッチリできますから、保険料もキッチリと課金されます。さらに、健康なので、病院にも滅多に行きません。

となると、どうしても「払い損」と感じてしまうわけです。


この状態だと、身体的には健康であっても、経済的には不健康になってしまいますよね。


そこで、利用状況に応じて健康保険料をキャッシュバックする制度とか、利用の少ない人の保険料を一定期間引き下げる(標準報酬月額の改定のような仕組み)という仕組みを組み込めば、なるべく病院に行かないでおこうという気持ちにもなるのではないでしょうか。

一方で、利用が多いからといって、追加負担にする必要まではなさそうですが、利用しない場合のフォローは欲しいですね。

キャッシュバックや保険料の引き下げの程度は小さくても良いのですが、「使わなきゃ損」とか、「必要以上に薬を貰っておけば得」とか、「払い損だ」というように制度の参加者に思わせてしまう状態を解消したいです。

つまり、「ヘンな考え方」をしなくなるような状態にするのが目的ですね。


もちろん、必要なのに病院に行かないとまで考える必要はないのでしょうが、病気や怪我の人だけではなく、「健康な人をフォローする仕組み」もあって良いのではないかと私は思うのです。


 

山口正博 社会保険労務士事務所
大阪府大東市灰塚6-3-24
E-mail : mail@ymsro.com
お問い合わせ

© 社会保険労務士 山口正博事務所