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2009/9/26【喫煙時間は仕事?】





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■喫煙時間は仕事?◆◆◆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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「喫煙時間は労働時間」と公認するのは行き過ぎ。
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■喫煙時間も仕事に含むというのはヘンです。


asahi.comで紹介されていたニュースより。
参考:http://www.asahi.com/national/update/0919/OSK200909180154.html


(引用開始)
大阪の飲食店チェーンで働いていた男性が、急性心筋梗塞(こうそく)で倒れ、約3週間入院しました。労災が認定されなかったので、「発症前1カ月の時間外労働が100時間以上」などとする国の過労死認定基準を超えて働いたと主張し、国を相手に認定を求めて提訴。

一審は、男性が1日20~40本のたばこを吸っていたとして、これらの時間を休憩時間とみて労働時間から差し引き、発症前1カ月の時間外労働は基準以下の78時間余りにとどまると判断した。しかし、高裁では、「店舗内で喫煙していたとしても、何かあればすぐ対応できる状態だったから、労働から完全に解放されているとはいえない」との原告側主張を容認。喫煙時間などを労働時間に算入した結果、1カ月の時間外労働は100時間を超すとして、男性の発病を労災と認めた。
(引用はここまで。表現は若干修正した)

ちなみに、裁判の相手は会社ではなく国です。



つまり、心筋梗塞になって倒れたので、労災で扱ってほしいと申し出た。ところが、労災がダメだったので、一転、時間外勤務の取り扱いに視点を切り替えて、申し出たという経緯です。

ここで注目するポイントは、一審では喫煙時間が労働時間から除外されていたのに、高裁では喫煙時間が労働時間に含まれるという扱いになっているのですね。

おそらく、喫煙時間を含まなければ労災にはならないのでしょうから、何とかして喫煙時間も勤務時間に含めたいという原告の主張なのでしょう。


ですが、喫煙時間を勤務時間に含むというのは、何ともヘンですよね。


高裁は、「店舗内で喫煙していたとしても、何かあればすぐ対応できる状態だったから、労働から完全に解放されているとはいえない」という一見まともな意見を述べていますが、喫煙時間を勤務時間に含むことを裁判で公的に認めるのはやはりおかしいです。

特に、非喫煙者(私も同様)からすれば、「何だこの判断は?」と思うのではないでしょうか。

喫煙しながら、コーフィーを飲んで(笑)、何ともない話をしたり、、、。

これが勤務時間に含まれるのでしょうか。


普通の感覚から判断すると、これはヘンです。






■「喫煙の小休止」と「休憩」の違いは微妙。


喫煙者というのは、時間が空けば一服、また時間が空けば一服、というように1日に何度となく喫煙タイムを作ります。

もし、1日20~40本のたばこを吸っていたとするならば、1時間に1本から2本の煙草を吸っているという換算になります。

例えば、1服あたり5分とすると、8回喫煙すれば40分の喫煙時間になりますね。


本人は気軽に一服しているのかもしれませんが、累積の喫煙タイムは結構なものではないでしょうか。おそらく、実際には8回ではなく、もう少し回数は多いでしょうから、1日あたり60分ぐらいは喫煙に使われているという仮定にも無理はなさそうです。

私の経験でも、職場で喫煙する人は、40分に1回ぐらいで喫煙所に現れます。

私からすると、「あぁ、、またですか、、」と。



厄介なところは、喫煙時間は休憩時間ではなく、「小休止」として扱われている点です。

つまり、休憩時間として勤務時間から隔離するのではなく、勤務時間を構成する一部として小休止を位置づけているのですね。

この点を利用して、上記の裁判では、「喫煙時間は勤務時間に含む」という主張を展開しているわけです。


ところが、小休止については特に取り決めがなく、社会人としての常識のようなものでコントロールしているのが実情です。

休憩時間については、労働契約書や就業規則でも決めているでしょうから困りませんが、小休止についてまで契約書や規則で決めている会社はおそらく無いのではないでしょうか。


お茶を飲んだり、トイレに行ったり、同僚と軽く談笑したり、もちろん喫煙したり、ストレッチをしたり、メールをしたり、、、などなど。

休憩時間ではないけれども、ちょっとした息抜きをするための時間が小休止ですよね。


ただ、この小休止も「程度」を考えていないと、思わぬ不満やトラブルになるわけです。

休憩と小休止の境目が曖昧であるゆえに、小休止なのに休憩時間のように休んだりする場面になったりします。





■非喫煙者が不満を抱く。


喫煙時間も勤務時間に含むという判断については、非喫煙者はどう思うのでしょうか。

「喫煙は仕事ではないのに、なぜ勤務時間に含むの?」というように不満を抱くのでは。

休憩時間でもないのに、喫煙だけはなぜか暗黙的に許可されていることに変な感覚を抱いている人もいるはず。


メールをするのは禁止されているのに、喫煙はOK。
ちょっと談笑していると、「サボるな」と怒られたりするのに、喫煙は怒られない。
喫煙している人達だけで進んでいる仕事の話があったりする(非喫煙者は話に入れない)。

このように、職場での喫煙というのは、ある種の「聖域」なのですね。


喫煙は勤務時間中に行っても許されるが、それ以外の行動は原則として禁止なわけです(トイレ時間など必要な時間を除く)。


また、年配の人に喫煙習慣を有している人が多いために、職場もルールも緩慢になりがちなのではないかと私は思います。

つまり、職場のルールを作るのは年配の管理職の人でしょうから、自分たちのお手盛りでルールを作ることができます。ゆえに、メールをするのはダメだが、喫煙は許されるというような状況を作り出すこともできてしまうのですね。



もし、どうしても喫煙時間が必要ならば、喫煙者専用の「喫煙休憩」を作るのも手です。

1時間ごとに5分もしくは10分というように、喫煙用の休憩を設定して、喫煙者に喫煙してもらうわけです。

専用の時間を設けておけば、非喫煙者の不満も避けることができるのではないでしょうか。


現状のように、喫煙タイムを休憩ではなく小休止として処理してしまうと、喫煙している人の方が休憩時間が多くなりますので、非喫煙者の人が困ります。

喫煙することそのものを否定する必要はないのですが、喫煙時間は小休止ではなく休憩時間として扱って欲しい(勤務時間から除外する)のですね。

喫煙時間として確保すれば、仕事モードのままで喫煙しなくても良いでしょうから、ゆっくりできるでしょうし、喫煙者にも好まれるはず。




ちなみに、今回の裁判についての個人的な感想ですが、

「急性心筋梗塞という症状」が発生し、その男性は「1日20~40本のたばこを吸っていた」というわけですよね。

となると、国の責任とか、休憩時間か労働時間かという問題よりも、「自業自得」なのではないかと思うのですが、どうでしょう。

一般に、ヘビースモーカーが心筋梗塞を起こすということは有り得る話ですよね。


長時間の過労で心筋梗塞という流れも少しはあるのでしょうが、喫煙習慣が心筋梗塞の主因なのではないかと私は考えているのです。

本人の自業自得という点については裁判では触れているのでしょうかね。

「アンタの責任でしょう!」と主張すれば、国が勝っていたのではないかと思ったりします。


今回の裁判は、労働者の過剰な権利主張が通ってしまった例になるのではないでしょうか。


民主党が政権を取ったという事と何らかの関係がある、、、のでしょうか。おそらく、これは考え過ぎでしょうけれども。








┏━━━━━━━━━━☆★ 編集後記  ★☆━━━━━━━━━┓


「これは合法ですか?」
「これならば違法になりませんか?」

違法か合法かで質問する人というのは少なくありませんね。


合法か違法かという基準で判断をすると、時として変な方向に進んだりします。

「これは合法ですか?」と言うのでしたら、「合法ならやるんですか?」と聞きたいですし、「これならば違法になりませんか?」と言うのでしたら、「違法にならなければやるんですか?」と聞きたくなります。

私は、合法・違法の基準を使いたがる人を「アブナイ人」として考えます。


法的な問題では、合法・違法という判断は確かに大事です。

ただ、実際には、合法・違法の基準だけで判断するわけではないのですね。

「合法だけれども、やらない方が良いこと」はあります。
また、「違法ではないけれども、やめておいた方が良いこと」もあります。

「合法ならヤル、違法ならヤラナイ」というようにキッパリと分けにくいこともあるわけです。


では、これらをどうやって判断するかというと、「一般的感覚(普通の人の価値感)」で判断します。

「何となく変だゾ、、」とか「何かズルい感じがする、、」という感覚で判断するのですね。

何となく変なコトというのは、往々にして法的にも変なコトが多いです。ゆえに、まずは普通に考えて、内容が変かどうかを考えると安全な結論が出やすいです。


法的な判断をする必要があるからといって、合法・違法の基準だけで判断するのはやめた方が良いかもしれませんね。

普通の感覚も交えて考える方がマトモな判断ができますから。






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