book253(退職金を支給しないなら、支給しないことを示す)




■「ない」と示さないと、「ある」と思う人が出てくる。


人によっては、「退職金は当然にある」と思っている方がいらっしゃいます。

「会社に勤めたのだから、退職する時には退職金があるはず」と思うのでしょうね。

ただ、あると思っているわりには、雇用契約書や就業規則で退職金のことを確認していなかったりするものです。

しかしながら、それらの書類を確認しても、退職金については何となくしか書かれていなくて、本当に支給されるのかどうかはその時になってみないと分からないことも多いはず。

単に、「退職の際には、退職金を支給する」としか書かれていないと、支給することは確かなのかもしれないが、支給条件や金額は分からないですよね。

退職金を支給するならば、支給条件(不支給の条件も含む)と金額(計算方法)の2点についてはキチンと決めなければいけません。この2点がなければ、制度とは言えませんからね。

退職のイベントが発生してから退職金の内容を決める(どんぶり勘定でしょうか?)のでは、制度として成立していません。







■制度がないなら、退職金規程までは必要ない。


もし、退職金がないならば、無いと示すのが良いです。

あるのか、それとも無いのかやきもきするぐらいならば、事前に有無を知らせてくれる方が気持ちが楽です。

実際にその時にならないと価値を持つかどうか分からないストックオプションのような性質を、退職金に帯びさせるようなこともできないことはないのでしょうが、期待していたのに無かったというのではガッカリですからね。

ストックオプションは大きなリターンがあるのでしょうから、そのような性質を帯びていても構わないのでしょうが、退職金にはリターンがありません(給与の後払いという性質を前提にしている)からね。


中には、退職金について事前に何も示していないと、あると思って問い合わせて来る人もいます。


「退職金:無し」「退職金は支給しません」というように雇用契約書に書くのも良いですし、就業規則があるならば、退職金についての章を設けて、「退職金は支給しません」のような文言を記載しておくと良いです。

ただ、退職金規定を用意して、支給しないと書く必要まではありません。記載内容は僅かなので、雇用契約書や就業規則で代用できる範囲ですから。


退職金は、「あるのか、それとも、ないのか」を示すのがポイントですね。

本当は支給しないけれども、支給するかのように期待させるのはやめてほしいです(特に、人材募集のとき)。



 

山口正博 社会保険労務士事務所
大阪府大東市灰塚6-3-24
E-mail : mail@ymsro.com
お問い合わせ

© 社会保険労務士 山口正博事務所