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■■┃ 本では読めない労務管理の「ミソ」
□□┃ 山口社会保険労務士事務所
┗━┻━━━━━━━━━━━━━━━ (2009/7/22号 no.108)━
休日勤務の時間外労働は割増賃金が必要なのかどうか
例えば、
月:8時間
火:8時間
水:8時間
木:8時間
金:8時間
土:休み
日:出勤で10時間勤務(法定休日に勤務したと仮定。日曜日の代休として、翌日の月曜日に休むとする)
このような勤務スケジュールで働く週があったとします(日曜日は「代休処理」をするのであって、「振替」ではないものとします)。
では、このときの時間外勤務の時間数は何時間になるのでしょうか。
月曜から金曜までだと、40時間で収束しているのですが、日曜日の10時間を加えると、週50時間になりますよね。
この場合、時間外の勤務時間数は10時間になるのでしょうか。
それとも、それ以外の時間数になるのでしょうか。
ここで、「休日出勤の日には、時間外の勤務はない」と考えます(休日の割増手当があるので、追加で時間外の手当までは要らないという理由です)。休日割増賃金は35%以上であり、休日労働は時間外労働なので、別途で法定時間外労働に対する25%以上の割増賃金は必要ないのです。休日労働に時間外労働は含まれているとイメージするといいでしょうか。
話を戻すと、普通に考えれば、実際に勤務したのは週50時間ですから、40時間を超えた10時間が時間外になるはずです。
しかし、休日勤務の10時間は、時間外の計算から除外すべきとも考えれますよね。
となると、週50時間と考えるのではなく、週40時間+休日労働10時間と考えるのが正しいと思えます。
50時間か、それとも40時間+休日労働10時間か。
どちらでしょうか。
1日単位と1週間単位で時間外労働の取り扱いが変わる
日曜日の出勤だけを考えると、たとえ8時間を超えて勤務しても、時間外の手当は必要ないわけです。休日割増賃金で35%増になっているため。
つまり、休日出勤したその1日だけを考えると、時間外勤務はないと判断できます。
一方で、1週間という単位で考えると、実質の勤務時間は50時間になりますので、10時間分を時間外と判断すべきとも思えます。休日に10時間勤務した部分も時間外として計算に含むのではないかと。
月曜日から金曜日までは通常通りの週40時間で計算し、週40時間を超えた分が「法定時間外労働」として扱われます。上記のスケジュールでは、平日5日間(8時間×5日=40時間)で法定労働時間に達しています。
休日の10時間分は休日割増賃金で35%以上の割増賃金を支払っているならば、法定時間外労働の割増賃金も含まれていますから、給与の計算は合います。日曜日の10時間勤務は法定時間外ではなく、「法定休日労働」として扱われます。
代休を使わず振替休日で一本化する
今回の問題は、週40時間のところに代休で休日出勤した場合に生じるものです。
日曜日に代わる休日(翌週の月曜日)を付与していますが、労働基準法上は代休を取ることで休日割増賃金の支払い義務が消えるわけではありません。つまり、代休を与えたとしても、日曜日の10時間分には休日割増賃金(35%以上)が必要となります。
しかし、代休ではなく、振替休日にすれば、日曜日は休日出勤になりませんので、平日と同じように扱うことが可能です。翌日の日曜日に振替休日を取りますから。
つまり、月~金で40時間、日曜日に10時間で、そのまま足し算で50時間にして時間外の計算をすれば良いのです。10時間分の法定時間外労働の割増賃金が付きます。休日割増賃金は付きません。
週1日の休みを取れない職場は少ないでしょうから、今回のような処理は発生しにくいかもしれませんね。
メルマガ以外にも、たくさんのコンテンツをウェブサイトに掲載しております。
【仕事のQ and A】
決まったことを決まった手順で処理するのは難しいものではありません。例えば、給与計算。毎月1回は給与が支給されるので、その計算作業も毎月ありますけれども、頭を悩ませるほどのものではありません。
他には、雇用保険や社会保険への加入手続きもちょくちょくと発生しますけれども、これも必要な書類を揃えて出すだけですから難しくない。
労務管理ではルーティンな業務があり、それらを処理するには特別な能力や知識は必要ありません。
しかし、時として、普段は遭遇しないような問題が起こります。例えば、休憩時間を1回ではなく何回かに分けて取るのはいいのかどうか。有給休暇を半日や時間単位で細かく分けて取ると便利なのかどうか。仕事着に着替える時間には給与は支払われるのかどうかなど。答えが1つに定まりにくい問題が労務管理では起こります。
- Q:会社を休んだら、社会保険料は安くなる?
- Q:伊達マスクを付けて仕事をするの?
- Q:休む人が多くて勤務シフトに穴が開く。対処策は?
- Q:休憩時間を分けて取ってもいいの?
- Q:残業を許可制にすれば残業は減る?
- Q:残業しないほど、残業代が増える?
- Q:喫煙時間は休憩なの?
- Q:代休や振替休日はいつまでに取ればいいの?
このような問題に対して、どのように対処するか。それについて書いたのが『仕事のハテナ 17のギモン』です。
【1日8時間を超えて仕事をしたいならば】
毎日8時間の時間制限だと柔軟に勤務時間を配分できないので、月曜日は6時間の勤務にする代わりに、土曜日を10時間勤務にして、平均して8時間勤務というわけにはいかない。
しかし、仕事に合わせて、ある日は勤務時間を短く、ある日は勤務時間を長くできれば、便利ですよね。それを実現するにはどうしたらいいかについて書いています。
残業管理のアメと罠
【合格率0.07%を通り抜けた大学生。】
私が社労士試験に合格したのは大学4年のときで、いわゆる「現役合格」です。けれども、3年の時に一度不合格になって、ヘコんだんです。「たかが社労士試験ごときにオチたのか」って。
どうすると不合格になるか。どんなテキストや問題集を使えばいいか。問題集の使い方。スマホをどうやって社労士試験対策に活用するか、などなど。学生の頃の視点で書いています。
社労士試験というと、社会人の受験者が多いですから、学生の人の経験談が少ないんですよね。だから、私の経験が学生の人に役立つんじゃないかと思います。
合格率0.07%を通り抜けた大学生。
【学生から好かれる職場と学生から嫌われる職場】
高校生になれば、アルバイトをする機会があり、
過去、実際に経験した方、
もしくは、今まさに働いている学生の方もいるのでは。
中には、
「学生時代はアルバイトなんてしたことないよ」
という方もいらっしゃるかもしれません。
そういう稀な方は経験が無いでしょうけれども、
学生のアルバイトというのは、
何故か、不思議と、どういう理屈なのか分かりませんが、
雑というか、荒っぽいというか、
そういう手荒い扱いを受けるんです。
若いし、体力もあるし、
少々、手荒に扱っても大丈夫だろうという感覚なのでしょうか。
それ、気持ちとしては分かりますけれども、
法令上は、学生も他の従業員と(ほぼ)同じであって、
一定のルールの下で労務管理しないといけないのです。
もちろん、
18歳未満は夜22時以降は働けないとか、
8時間を超えて働けないとか、
そういう学生ならではの制約は一部ありますけれども、
それ以外のところは他の従業員と同じ。
週3日出勤で契約したはずなのに、
実際は週5日出勤になっている。
休憩時間無しで働いている。
採用時に、1日5時間働くと決めたのに、
実際は1日3時間程度しか勤務させてもらえない。
「学生には有給休暇が無い」と言われた。
テスト休みを取って時給を減らされた。
など、
やってはいけない労務管理がなされてしまっている
という実情もあるようです。
何をやってはいけないかを知らないまま、
間違った対応をしてしまうこともあるでしょう。
(知らないからといって許されるものではありませんけれども)
このような労務管理をすると、学生から好感を持たれ、
辞めていく人が減るのではないか。
一方で、
「これをやってしまってはオシマイよ」
な感じの労務管理だと、
ザルで水をすくうように人が辞めていく。
学生から好まれる職場と嫌われる職場。
その境目はどこにあるのかについて書いたのが
『学校では教えてもらえない学生の働き方と雇い方 - 35の仕事のルール』
です。
「学生が好む職場」と「学生が嫌う職場」 その違いは何なのか。
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