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連続有給休暇を取るときに条件を付けてもいいの?

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連続で有給休暇を取るには事前の申請が必要?

就業規則を読むと、「連続で5日以上の有給休暇を取得するときは、1か月前に会社所定の書面により届け出ること」と書かれていたとします。

連続で休暇を取ると、仕事上の人員配備に支障が出ることもあるのでしょうから、事前の届出を求めるのは理にかなっています。

しかし、このような条件を付けて良いのかとも思えます。

原則として、有給休暇は自由に使えるものですから、届出の期間を指定するのはダメなのではと考えるわけです。

「いつでも届出ができる」、「いつでも休暇を取得できる」となると、年次有給休暇に対する使用者の時季変更権との兼ね合いが難しくなります。

会社としては、「休暇を取得するのは構わないが、ある程度の余裕を持って休暇の申請をして欲しい」と考えるはずです。

いきなり申し出に対応するのではなく、準備するための期間が欲しいというわけですよね。

そこで、会社と社員さんの間をいかに調整するかが悩みどころになります。

会社は時季変更権で年休のスケジュールを調整する

極端な場合だと、休暇の取得は前日に申し出ても可能です。

原則として、有給休暇は自由に使えるものですから、申請されたものは認めるとすべきです。

しかし、これだと困る場面もありますよね。

そこで、事前の申請をルールとして定めるわけですが、これは認められないとまでは言えません。

事前申請を強制することまではできませんので、いわゆる「アナウンスメント効果」を期待することはできるでしょう。

また、連続休暇のときは、時季変更の余地を挟んでおくのも有効かもしれません。

今回の場合だと、例えば、「年次有給休暇の時季変更を行うときは、休暇が始まる2週間前までに時季変更を行います」というルールがあれば、会社と社員間で上手く調整できそうです。

つまり、1ヶ月前に休暇の申請があり、1ヶ月前~2週間前までが時季変更の期間になり、それ以降は休暇の予定が確定するという流れです。

なお、時季変更権をどういう場合に行使するか、これを事前に就業規則で定めておくことをお忘れなく。会社が自由に時季変更できる状態にしておくと、社員さんが困りますからね。

上記の定めがあっても、1ヶ月前ではなく、休暇の直前(10日前とか、3日前など)で連続休暇を申請してきた場合には悩みますね。

この場合、就業規則で決めた条件を守らなければ、会社側が時季変更権で対応することもありでしょう。

具体的には、「ただし、休暇日の1ヶ月前以後に休暇を申請したときは、休暇開始2週間前にかかわらず、有給休暇の取得時期を会社の判断で変更する場合があります」と決めるのも1つの方法かもしれません。

労働者には年次有給休暇の時季指定権があり、使用者には時季変更権があります。業務の状況と本人の希望をすり合わせるために、2つの権利があるのですね。

退職時には年次有給休暇の取得を事前に申請できないことがある

退職直前だと、1ヶ月前に申し出ることができないこともあります。

例えば、退職日の20日前に退職すると伝えて、同時に残りの有給休暇が20日あるので、退職までの期間である20日間に有給休暇を充当したいという場面です。これだと、退職を伝えた後、退職日まですべて年次有給休暇にしないと消化が間に合いません。

在職中ですから、有給休暇の申請はできます。しかし、退職日までのスケジュールと年次有給休暇の残日数を考えると、取得が難しいわけです。

突如として、退職までの20日間を年次有給休暇にすると言われれば、対応できないこともあります(対応できればそれで良いですけれども)。

前提として、在職中の有給休暇は権利ですが、退職した後は権利ではなくなります。退職日までが在籍期間ですので、この期間内に年次有給休暇のスケジュールを入れていく必要があります。

20日の年次有給休暇を退職までの20日という期間で消化するとなると、使用者は時季変更する余地はありません(時季変更して、引継ぎ業務をしてもらうこともできませんから、会社は身動きがとれません)。

この場合は、必要な引き継ぎ業務を行い、休暇は在職中に取得できるだけ取得します(20日全てを消化できないかもしれません)。

もしくは、退職日を少し後ろにずらして、年次有給休暇を消化できる日程にします。今月末の退職を翌月末までに変更すれば、20日分の年次有給休暇をすべて消化して退職できます。

他には、在職中に休暇を消化できなかったのでしたら、退職後に「有給休暇だけを単独で消化する」ものアリです。出勤はしないものの、在籍期間を延長して、年次有給休暇を全部消化した時点で退職日とするわけです。

ただし、退職後に他の会社に転職すると考えているならば、有給休暇を消化している間は、前の職場に在籍している状態ですから、新しい会社での社会保険等の加入が遅れることもあります。雇用保険や社会保険の被保険者資格が前の会社のまま残っていると、次の会社で雇用保険や社会保険の被保険者資格を取得する手続きができません。

在職状態のままだと不都合ならば、退職時になお残っている有給休暇は買い取るというのも選択肢としては有り得ます。しかし、買い取りについて就業規則で定めている事業所は少ないのではないかと思います。例えば、1日分の年次有給休暇を1,000円で買い取られてしまうこともあり得ますから、やはり在籍中に年次有給休暇を消化して退職するのが妥当です。

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