労務管理のツボをギュッと押す方法を考えます

会社で起こる労務管理に関する悩みやトラブルを解決する方法を考えます。

退職時の年次有給休暇 定年退職直前に付与される有給休暇をいかに取り扱うか

有休消化

 


 

 

「一気に使いたいという要望」と「会社のオペレーション」とのバランス。


ある会社に、もうすぐ(現時点から2ヵ月後と仮定)定年退職する社員さん
がいるとします。


また、この社員さんは、現時点で40日の有給休暇を残していると仮定します。


さらに、1ヵ月後には、20日の有給休暇を新たに付与されるという予定が
あるとしましょう。



この場合に、社員さんが、「在職中に、残っている40日の休暇と、その後の
20日を全て使いたい」と希望したらどのようの対応するべきでしょうか。


ただ、60日の休暇となると、おおよそ3ヶ月は休む(月20日程度の勤務
と仮定します)ということになりますから、大規模な会社ならば対応できるかも
しれませんが、中小規模の会社だと、おそらく困るのではないでしょうか。


代替人員が確保できるかどうか分からないこともあるでしょうし、新規に人を
採用する必要があるかもしれません。


また、時期変更権を使うための時間的余裕もありません(もうすぐ定年退職
ですから)。



何とか切り抜ける方法を考えなければいけませんよね。



ただし、有給休暇を使わせずに退職させるという選択肢はナシですよ。




定年退職というイベントを利用する。


結論を先に言えば、「在職中の消化」と「定年退職時の休暇買い取り」を
組み合わせて乗り切るのが妥当だと私は考えます。


幸いにも、在職のまま大量の有給休暇を取り扱うという場面では
ありませんので、退職というイベントを利用して今回のトラブルを乗り切る
という選択になります。


ただ、人によっては、「有給休暇の買取りを事前に予定するのは避けるべき
では?」との意見もあるでしょう。


確かに、有給休暇は買い取るために存在する休暇ではなく、心身のリフレッシュ
をするために設けられた休暇ですから、買い取るという処理自体が好ましく
ありません(時効消滅時や退職時に買い取るのはOKだとしても、やはり
なるべく避けるべきです)。



しかし、会社のオペレーション上、どうしても全ての休暇を消化できない
となると、社員さんにとっては不都合ですよね。


在職中の消化に拘れば、消化できないまま退職してしまうことになりますから、
やはり今回は「通常消化」と「買取り」を組み合わせて対応するのが
会社にとっても社員さんにとっても望ましい結果を得られるはずです。



そこで、在職中に可能な範囲で消化できる休暇は消化し、残りの有給休暇は
割り増した賃金で買い取るのも有効な方法ではないでしょうか。


例えば、普通に有給休暇を使用したときの賃金が60%だとすれば、今回の
買い取り部分に関しては10ポイント上乗せして、70%の賃金を支払うのも
良いのではと思います。


本来ならば在職中に消化すべきところを、会社のオぺレーションの都合で、
全てを消化できなかったのですから、お詫びとして割り増し賃金で有給休暇を
買い取るというものです。


退職時における有給休暇の買取りは、「違法とは言えないが好ましくはない」
方法ですが、今回のように、会社と社員さんの利益をバランスさせるために
使うならば、有力な選択肢にはなりえるということですね。

 

 

 

山口正博 社会保険労務士事務所
大阪府大東市灰塚6-3-24
E-mail : mail@ymsro.com
お問い合わせ

© 社会保険労務士 山口正博事務所