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■■┃ 本では読めない労務管理の「ミソ」
□□┃ 山口社会保険労務士事務所
┗━┻━━━━━━━━━━━━━━━ (2009/4/13号 no.80)━
半日づつ分けて休日を使いたいという要望
通常、休日は1日単位で取り扱うものですよね。「今日は休みで、明日から仕事だ!」と、日曜日に思ったりするものです。休みの日と仕事の日は、1日単位で管理されるのが一般的です。
そこで疑問を抱くのですが、1日の休日を半日2回の休日に変えて使うことはできるのでしょうか。
例えば、休日を振り替えて、他の日に休むことになった場合に、その休みの日を2分割にして使いたいと希望したら、どのように対応したらよいでしょうか。振替休日を2回に分けて取るわけですね。
年次有給休暇を半日で取れるようにすると、1日分の年休をを2分割できますので、それと同じ発想で休日も分割していいんじゃないかと思えるところ。
つまり、日曜日の休みを振り替え(振替休日)て、半日単位で水曜日と木曜日に充当したいと思ったとき、どうするかが疑問なんですね。
また、振替休日を2分割するとなると、法定休日を2分割したことと同じになりますから、この点でも問題がありそうです。
ですが、休日をあえて半日に分けたいと思う人は稀でしょうから、上記のような場面を想定する必要はないかもしれません。半日で休むならば半日単位の年次有給休暇を使いますからね。
しかし、可能性はゼロではありませんので、考えてみることにしました。
休日を1日単位で取ると限定されているわけではない
労働基準法の休日ルールを調べると、以下のように定められています。
労働基準法35条
1. 使用者は、労働者に対して、毎週少くとも1回の休日を与えなければならない。
2. 前項の規定は、4週間を通じ4日以上の休日を与える使用者については適用しない。
第1項を読むと、「1回」と書かれていますね。ここでは、「1日」と書かれていないのが注目点です。
労働基準法では、休日について「1週間に少なくとも1回の休日を与えること」と定められており、休日は「24時間連続した休息」を意味しています。
そのため、労働基準法第35条の法定休日を半日で2日分に分けることはできません。しかし、法定休日以外の休日、会社で定めた所定休日(法定外休日)ならば、半日で2日分に分けることも可能です。
一般には、「1週1日の休日」と理解している方が多い(私もこちらで理解
しています)のですが、条文を読むと、「1週1回の休日」なんですね。
とすると、1週2回の休日にしても構わない(労基法の最低ラインを超えるルールのため)ということです。この点を勘案すれば、1日の休日を半日2回の休日に変えて使うことは可能だと判断できるはずですよね。必ずしも1回で1日分の休日を与えることを求めているとは解せませんからね。
しかし、休日は「24時間連続した休息」ですから、労働基準法35条の休日は2分割できません。
0.5+0.5=1だから「理屈上は」可能
休日にも2種類あって、法定の休日と法定外の休日があります。法定休日は労働基準法35条に定められたもので、法定外休日は会社所定の休日ですから工夫する余地があります。
例えば、法定外休日や特別休暇は、会社独自の休日や休暇ですから、労働基準法で規制されていません。ですから、日曜日だけ休みで、土曜日、祝日は出勤としても構わないわけです。お盆や年末年始も会社独自の休みです。
半日単位で法定外休日や特別休暇を運用することもできます(この点も会社の自由)。
法定外休日の運用方法として、会社が法定休日(週1回)以外に設定する休日(所定休日)については、労使協定や就業規則の変更により、半日単位に分割することが可能です。
ただし、半日で休日が取れるようになると、「半日の振替休日もできるのですか?」という要求にも対処しないといけなくなります。半日の振替出勤ですからね。このような煩雑さに対応するほど需要があるかどうかは事業所ごとに調べる必要がありますね。
そこで、休日や特別休暇の使用単位を決めておけば、休日を分けて良いのかどうか判断できます。
例えば、休日や休暇の使用単位を1日単位に限定するということを就業規則に書くとすると、
「~。なお、休日は1日単位で利用するものとします」
「~。なお、特別休暇は1日単位で利用するものとします」
このように、なお書きを使って、1日単位でしか利用できないと事前に周知しておくのも一考ですね。