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「労働時間数=仕事の成果」と判断するのが労働基準法




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■■  「労働時間数=仕事の成果」と判断するのが労働基準法
■■  いつでも時間を基準に考えてしまうという欠点
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■時間数と成果は連動しないのが普通です。

日給制や時給制というのは、本来ならば「異常な給与体系」です。


給与というのは、売り上げがあって、原価を除いた粗利益が
出て、そこに労働分配率を加味して出てくるものですよね。


まず給与があるのではなく、まず売り上げや利益があるはずです。

「無い袖は振れない」のですから、当然ですよね。



1時間、特に仕事がなく、手待ち状態で過ごしても給与が
あるのが時給制ですよね。


確かに、「時間拘束しているから給与は支払うべき」とも
言えますが、「普通の感覚からしておかしい」と感じます。



「企業は社員の生活給を保障しなければいけない」

これは労働法が求めることなのですが、「元がないから払えない」
という価値判断とは相容れないところです。



営業、企画、経営、コンサルタント、などなど。

今では、「時間数≠成果」である職業も増えています。




確かに、「社員の生活保障」とか「雇用主の責任」という
ことも考えないといけないのは分かります。


そうは言っても、時間基準で判断する労働基準法の「歪み」
を感じざるを得ません。







■社員自身が保護を拒否する時。

一般に、「労働基準法は労働者保護法である」と理解されて
います。

つまり、労働者は弱い存在であって、保護してあげなければ
いけないという考え(もしくは、前提)に基づいています。

しかし、その保護が「ありがた迷惑」になることもあるのです。



例えば、外資系の投資銀行や戦略系コンサルティング会社で
働いた人ならば、「時間外手当は年俸に含む」という理解が
通常です。



そこで、その人たちに対して、時間外手当を支払うと会社が
決めると、


「時間外手当をきっちり払うとなると、作業内容や離席と
いった細かい事まで監視されるようになってしまう。ならば、
手当は要らない」とか、

「毎月の時間外手当として払うのではなく、ボーナス支給時に
時間外の部分を加算して欲しい」などの要望があるかもしれ
ません。


確かに、真っ当な要望ですよね(労働基準法では認めにくい
ところですが)。



この場面というのは、法律で社員さんを保護しようという
試みが、むしろ社員さんに嫌われているという状況です。


こちらは守ってあげようとしているのに、相手は「その必要は
無い」と言うわけです。


このように、保護の対象者が自ら保護を拒否したとなれば、
法律はどうすべきなのでしょう?



そんなことは構うことなく、保護を強制すべきなのか。

それとも、労働者が自ら保護を要しないと判断したのだから、

その判断を尊重するのか。


どちらの判断にも一理あります。





■当事者の意思や考えを無視してでも法律を使うべきなのか。

会社も社員も納得した上で(雇用契約の段階で説明していると
仮定)、年俸の中に時間外手当を含むとしているならば、法律
によって保護すべき権利というのはもはや無いのではないで
しょうか。


法律というのは、何らかの権利侵害を予防したり、侵害された
権利を回復したりするのが役目です。


ならば、「権利が侵害される危険性」も「侵害された権利」も
ないならば、法律に出番は無いのではないでしょうか。



例えば、民法には、「私的自治の原則」という原則があります。


この原則を大雑把に説明すると、取引や契約を行う時には、まず
当事者の意思を優先し、法律は事後的にフォローするに留まる
という考え方です。


もちろん、詐欺とか錯誤などのような行為があれば、法律を
積極的に使うべきでしょう。


しかし、当事者が納得した取引や契約ならば、たとえ第三者
から判断して不当な取引や契約であると判断できても、有効と
すべきではないでしょうか。




労働法の世界には、

【労働基準法>労働協約>就業規則>労働契約】
という上下関係があります。

この関係に基づけば、労働基準法に反する労働契約は無効と
判断すべきではあります。


しかし、当事者(会社と社員)が納得して決めたことを無視
してでも、法律を優先すべきとなると、やはり違和感を感じます。



例えば、Aさんが所有している1,000万円の車を、Bさんに100円
でうるという売買契約が締結されたとします。


この場合、AさんもBさんも契約内容に納得しています。
(なお、詐欺や錯誤などは無いと仮定します。また、
不当廉売などの不正な取引も無いと仮定します)



しかし、第三者から判断すると、おかしな契約です。

普通の感覚では、1,000万円の車を、Bさんに100円で売る
というのは、異常ですよね。

「その取引チョット待った!」と言いたいところです。


ですが、当事者(AさんとBさん)は納得しているんですよね。

ならば、外部から妨害はできないのです。




また、労働基準法は「強行法規」ですから、会社や社員さんの
意思を無視してでも適用できます。


しかし、「年俸の中に時間外手当は含まれている」と雇用契約
を締結し、納得の上で働いているならば、強行法規といえども
出番を控えるべきではないかと私は思うのです。

(もし、「年俸の中に時間外手当は含まれている」というのが
嫌ならば、雇用契約をしなければよいわけですからね)



にもかかわらず、法律を使えとなれば、もはや「法律は悪者」と
なってしまうのではないでしょうか。



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労務管理の問題を解決するコラム

職場の労務管理に関する興味深いニュース

【仕事のQ and A】

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労務管理ではルーティンな業務があり、それらを処理するには特別な能力や知識は必要ありません。

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  • Q:会社を休んだら、社会保険料は安くなる?
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このような問題に対して、どのように対処するか。それについて書いたのが『仕事のハテナ 17のギモン』です。

 

仕事のハテナ 17のギモン

【1日8時間を超えて仕事をしたいならば】

毎日8時間の時間制限だと柔軟に勤務時間を配分できないので、月曜日は6時間の勤務にする代わりに、土曜日を10時間勤務にして、平均して8時間勤務というわけにはいかない。

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残業管理のアメと罠

 

残業管理のアメと罠

【合格率0.07%を通り抜けた大学生。】

私が社労士試験に合格したのは大学4年のときで、いわゆる「現役合格」です。けれども、3年の時に一度不合格になって、ヘコんだんです。「たかが社労士試験ごときにオチたのか」って。

どうすると不合格になるか。どんなテキストや問題集を使えばいいか。問題集の使い方。スマホをどうやって社労士試験対策に活用するか、などなど。学生の頃の視点で書いています。

社労士試験というと、社会人の受験者が多いですから、学生の人の経験談が少ないんですよね。だから、私の経験が学生の人に役立つんじゃないかと思います。

大学生が独学で社労士試験に合格する方法: 合格率0.07%の軌跡 Kindle版

 

合格率0.07%を通り抜けた大学生。

【学生から好かれる職場と学生から嫌われる職場】


高校生になれば、アルバイトをする機会があり、
過去、実際に経験した方、
もしくは、今まさに働いている学生の方もいるのでは。

中には、
「学生時代はアルバイトなんてしたことないよ」
という方もいらっしゃるかもしれません。

そういう稀な方は経験が無いでしょうけれども、
学生のアルバイトというのは、
何故か、不思議と、どういう理屈なのか分かりませんが、
雑というか、荒っぽいというか、
そういう手荒い扱いを受けるんです。

若いし、体力もあるし、
少々、手荒に扱っても大丈夫だろうという感覚なのでしょうか。

それ、気持ちとしては分かりますけれども、
法令上は、学生も他の従業員と(ほぼ)同じであって、
一定のルールの下で労務管理しないといけないのです。

もちろん、
18歳未満は夜22時以降は働けないとか、
8時間を超えて働けないとか、
そういう学生ならではの制約は一部ありますけれども、
それ以外のところは他の従業員と同じ。

週3日出勤で契約したはずなのに、
実際は週5日出勤になっている。

休憩時間無しで働いている。

採用時に、1日5時間働くと決めたのに、
実際は1日3時間程度しか勤務させてもらえない。

「学生には有給休暇が無い」と言われた。

テスト休みを取って時給を減らされた。

など、
やってはいけない労務管理がなされてしまっている
という実情もあるようです。

何をやってはいけないかを知らないまま、
間違った対応をしてしまうこともあるでしょう。

(知らないからといって許されるものではありませんけれども)

このような労務管理をすると、学生から好感を持たれ、
辞めていく人が減るのではないか。

一方で、
「これをやってしまってはオシマイよ」
な感じの労務管理だと、
ザルで水をすくうように人が辞めていく。

学生から好まれる職場と嫌われる職場。

その境目はどこにあるのかについて書いたのが
『学校では教えてもらえない学生の働き方と雇い方 - 35の仕事のルール』
です。

 

「学生が好む職場」と「学生が嫌う職場」 その違いは何なのか。

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