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雇用契約を更新しないのは横暴なのか

契約終了

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□□┃  山口社会保険労務士事務所
┗━┻━━━━━━━━━━━━━━━ (2008/10/23号)━


 




■  「更新しない」と言うのは横暴ですか?
■■ 雇い止めが解雇権の濫用になるのか。
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契約期間満了で終了すると、雇い止めと言われる理不尽

今回は、いわゆる「雇い止め」の話です。


何度も有期の雇用契約を更新してきたのに、突如として、
契約更新しないと言われる。

これが雇い止めです。


会社としては、期限が来たのだから契約を終了としたい
ところです。

一方、社員さんとしては、今までトントンと更新したのに
なぜいきなり更新拒否されるのかと考えるでしょう。


契約の更新を拒否すると、場合によっては、会社は解雇権の
濫用と言われてしまうこともあります。

「期限があるのだから、時期が来たら終了しても良いだろう」
と会社は思いますよね。

さらに、「更新しないことの何が不当なんだ」と。


確かに、会社の言い分はごく真っ当ですから、思うところは
分かります。

しかし、社員さんの側も、「いつも通りに、また契約更新して
くれるんだろう」と思い込んでいることは確かですよね。


会社、社員、両者の言い分はどちらも正しいです。

この雇い止めの問題は、判例でも結論が分かれていますので、
白黒を付けるのが少し難しいんですね。

言い換えると、客観的に正しい結論は無いということです。

 

 

 

雇用契約に期間を決めておく意味

有期雇用の更新拒否をしても、解雇権の濫用と判断される
ことは、判例では少ないです。

過去の判例などを読んでいただくと分かるかと思いますが、
雇い止めで裁判になっても、最終的に会社が勝っている事例
が多いんです。


会社側が勝つ最大の理由は、
「契約更新が何度もされているからといって、期間制限の無い
通常の雇用契約になったとは判断できない」とされるようです。

何回も更新しているからといって、それは理由にならないですよ、
ということです。

社員さんにとっては、納得できないですよね。

 

 

 

何度も更新したら無期雇用に変わるという契約違反

何度も契約更新されていると、「あぁ、また更新できるんだろう」
と思うのが普通です。

私だって同じ立場なら、そう思います。


となると、更新はしているけど、通常の雇用契約と一緒じゃないか
と考えてしまうんですよね。

つまり、「有期雇用契約が期間の定めの無い雇用契約に転換した」
と思ってしまうということです。

判例は否定してきますが。



問題が起こりやすい会社の条件は、

・更新手続きが形式的(事務的に書いてもらうような状況)。
・契約書に名前とハンコを押すだけ(他の欄は会社が埋めている)
・更新条件を示さない(~の場合は、更新しないというような
基準が無い)。
・他の有期雇用契約社員も、同じように事務的に更新していた。


このようにズルズルと更新を続けている場合が多いのではと
思います。

私も6ヶ月ごとに更新する働き方をしていた時がありますが、
上のように形式的なものでした。

幸い、雇い止めはされませんでしたが。



惰性的に契約更新している会社だと、「雇い止め」問題が
起こりやすいのでしょうね。

社員さんも油断していますから、突然の更新拒否にはショック
を受けます。


しかし、裁判になっても、必ずしも会社が勝つというわけでは
ありません。

「契約更新が形骸化していた」という点について、徹底的に
立証すれば、社員さんが裁判で勝つことも可能です。




雇用契約を軽く扱わない。期限があれば予定通りに契約が終了することもある

雇い止めに関しては、会社にも社員にも言い分があります。
また、法律でもハッキリと判断できていない。


私の結論では、
「2回以上更新している、もしくは、2回以上更新する予定が
あるならば、解雇予告もしくは解雇手当を準備しておくべき」
ということです。

つまり、通常の雇用と同じように扱うということ。
1ヶ月前の予告でしたら、可能ではないかと思います。


ところが、超短期の更新(1ヶ月など)の場合は、予告も
困難ですよね。

この場合は、どこまで更新するのかを予告しておくと良いかと
思います。

突然に更新拒否されるのが困るポイントですから、予め期限
を伝えておく配慮をしておけば、社員さんも理解してくれます。



やってはいけないのは、【ズルズルと更新すること】です。
会社にとって都合の良い労務管理は、大体、失敗することが
多いです。

雇用契約書とは?意味や記載事項、労働条件通知書との違いを解説
契約書で決めた通りの内容をお互いに履行する。これが商取引では当たり前ですけれども、会社内の雇用契約では、雇用契約の内容と就業実態がずれてしまうこともあり、往々にして雇用契約が軽く扱われがちです。

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労務管理の問題を解決するコラム

職場の労務管理に関する興味深いニュース

【仕事のQ and A】

決まったことを決まった手順で処理するのは難しいものではありません。例えば、給与計算。毎月1回は給与が支給されるので、その計算作業も毎月ありますけれども、頭を悩ませるほどのものではありません。

他には、雇用保険や社会保険への加入手続きもちょくちょくと発生しますけれども、これも必要な書類を揃えて出すだけですから難しくない。

労務管理ではルーティンな業務があり、それらを処理するには特別な能力や知識は必要ありません。

しかし、時として、普段は遭遇しないような問題が起こります。例えば、休憩時間を1回ではなく何回かに分けて取るのはいいのかどうか。有給休暇を半日や時間単位で細かく分けて取ると便利なのかどうか。仕事着に着替える時間には給与は支払われるのかどうかなど。答えが1つに定まりにくい問題が労務管理では起こります。

  • Q:会社を休んだら、社会保険料は安くなる?
  • Q:伊達マスクを付けて仕事をするの?
  • Q:休む人が多くて勤務シフトに穴が開く。対処策は?
  • Q:休憩時間を分けて取ってもいいの?
  • Q:残業を許可制にすれば残業は減る?
  • Q:残業しないほど、残業代が増える?
  • Q:喫煙時間は休憩なの?
  • Q:代休や振替休日はいつまでに取ればいいの?

このような問題に対して、どのように対処するか。それについて書いたのが『仕事のハテナ 17のギモン』です。

 

仕事のハテナ 17のギモン

【1日8時間を超えて仕事をしたいならば】

毎日8時間の時間制限だと柔軟に勤務時間を配分できないので、月曜日は6時間の勤務にする代わりに、土曜日を10時間勤務にして、平均して8時間勤務というわけにはいかない。

しかし、仕事に合わせて、ある日は勤務時間を短く、ある日は勤務時間を長くできれば、便利ですよね。それを実現するにはどうしたらいいかについて書いています。

残業管理のアメと罠

 

残業管理のアメと罠

【合格率0.07%を通り抜けた大学生。】

私が社労士試験に合格したのは大学4年のときで、いわゆる「現役合格」です。けれども、3年の時に一度不合格になって、ヘコんだんです。「たかが社労士試験ごときにオチたのか」って。

どうすると不合格になるか。どんなテキストや問題集を使えばいいか。問題集の使い方。スマホをどうやって社労士試験対策に活用するか、などなど。学生の頃の視点で書いています。

社労士試験というと、社会人の受験者が多いですから、学生の人の経験談が少ないんですよね。だから、私の経験が学生の人に役立つんじゃないかと思います。

大学生が独学で社労士試験に合格する方法: 合格率0.07%の軌跡 Kindle版

 

合格率0.07%を通り抜けた大学生。

【学生から好かれる職場と学生から嫌われる職場】


高校生になれば、アルバイトをする機会があり、
過去、実際に経験した方、
もしくは、今まさに働いている学生の方もいるのでは。

中には、
「学生時代はアルバイトなんてしたことないよ」
という方もいらっしゃるかもしれません。

そういう稀な方は経験が無いでしょうけれども、
学生のアルバイトというのは、
何故か、不思議と、どういう理屈なのか分かりませんが、
雑というか、荒っぽいというか、
そういう手荒い扱いを受けるんです。

若いし、体力もあるし、
少々、手荒に扱っても大丈夫だろうという感覚なのでしょうか。

それ、気持ちとしては分かりますけれども、
法令上は、学生も他の従業員と(ほぼ)同じであって、
一定のルールの下で労務管理しないといけないのです。

もちろん、
18歳未満は夜22時以降は働けないとか、
8時間を超えて働けないとか、
そういう学生ならではの制約は一部ありますけれども、
それ以外のところは他の従業員と同じ。

週3日出勤で契約したはずなのに、
実際は週5日出勤になっている。

休憩時間無しで働いている。

採用時に、1日5時間働くと決めたのに、
実際は1日3時間程度しか勤務させてもらえない。

「学生には有給休暇が無い」と言われた。

テスト休みを取って時給を減らされた。

など、
やってはいけない労務管理がなされてしまっている
という実情もあるようです。

何をやってはいけないかを知らないまま、
間違った対応をしてしまうこともあるでしょう。

(知らないからといって許されるものではありませんけれども)

このような労務管理をすると、学生から好感を持たれ、
辞めていく人が減るのではないか。

一方で、
「これをやってしまってはオシマイよ」
な感じの労務管理だと、
ザルで水をすくうように人が辞めていく。

学生から好まれる職場と嫌われる職場。

その境目はどこにあるのかについて書いたのが
『学校では教えてもらえない学生の働き方と雇い方 - 35の仕事のルール』
です。

 

「学生が好む職場」と「学生が嫌う職場」 その違いは何なのか。

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