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副業していると労災保険の給付が少なくなる?

副業と労災

 

メールマガジン 本では読めない労務管理の"ミソ"

山口社会保険労務士事務所
(2019/9/9号 no.325)

 

 

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副業していると労災保険の給付が少なくなる?
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仕事を分散化する時代。何が本業なのかを固定しない

1人につき仕事は1つ。朝から夕方もしくは夜まで8時間ほどの時間を投入し、週に5日。2000年頃まではこのような働き方が主流だったようですが、2019年現在では変化が起きています。

会社員として働きつつ、仕事が終わった夜や休日に別の仕事に取り組む。他には、会社員と自営業の身分を同時に持ち、2つ以上の仕事を手掛けている方もいらっしゃるでしょう。

さらには、パートタイムの仕事を2つ持っている、自営業とパートタイムの仕事を持っている、こういう方もいらっしゃるかと思います。

収入を得られる仕事は増えていますし、選択肢も多いです。ビデオ制作で収入を得る人もいれば、デジタルコンテンツを販売して収入を得る人もいます。インターネットがなければ成立しなかった商売ですが、これらは今や当たり前のものになりました。

「休みの日に寝転がってテレビを見たり、延々とスマートフォンをいじっているぐらいならば、何かもっと有意義なことをしようか」と考えたとすれば、ずいぶんと健康的な考えの持ち主です。

副業といっても、「副業 = 仕事」と考えているとは限らず、趣味や気分転換などを理由に取り組んでいる方もいらっしゃるのでは。もちろん、収入を得られるのは大前提でしょうが、それプラスαを求めていくのが副業の面白いところ。

これは本業、これは副業、と分ける方もいますが、その境目は不明朗なもので、何を基準に分けているのかは人それぞれです。

収入の多さで序列を決めているのか、それとも投入する時間量で決めているのか。さらには、好き嫌いで決めているのか。それぞれの主観で分けている傾向があるようで、客観的な基準というものはなさそうです。

両者を分けずに、自分がやることは全て本業という気持ちで取り組んだ方が分かりやすいと思いますが、ここは個人の好みの問題でしょうか。

 

労災保険に2つ以上加入している人たち

どのような副業をするかによって、労災保険にも複数加入する場合があります。

例えば、平日はフルタイムで働き、休みの日にパートタイムで働いている方がいるとしましょう。また、どちらの仕事も、どこかの会社に所属して雇用されているという前提で考えてください。会社員としての身分が2つあるというイメージです。

雇用されて働いている方は、フルタイム雇用であれパートタイム雇用であれ、全員が労災保険に加入しています(勤めている事業所に労災保険が適用されていれば)。保険料は事業所が負担するため、労働者本人は保険料を支払っていません。給与明細には、雇用保険料の項目はありますが労災保険料の項目はありません。

手続きや保険料が無く、労働者にとっては自動で労災保険に加入しているような感覚になります。フルタイム雇用とパートタイム雇用で働いていれば、労災保険もそれぞれの会社で加入しているとの扱いになります。

ちなみに、3つ目、4つ目と副業を増やせば、それに伴い労災保険の加入数も3つ、4つと増えます。

では、労災保険に2つ加入していると何が起こるのか。

「たくさん加入していれば、労災保険の給付も増えるんじゃないの?」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、そうはならないのです。場合によっては、増えるどころか減ることもあります。

 

低い収入で労災保険の給付額が決まってしまう

先程の例として挙げたのは、フルタイム雇用とパートタイム雇用の組み合わせでしたが、前者が月収50万円、後者が月収10万円の仕事だとしたらどうなるのか。前者の事業所を会社A、後者の方は会社Bとしておきます。

仮に、後者のパートタイムの仕事中に怪我をして、しばらく休業しなければならなくなったとします。その場合、労災保険から休業補償給付というものが支給されます。

ここで、休業補償給付の給付額が収入の60%だとすれば(実際の給付内容はもう少し複雑ですが簡素にしています)、支給額はいくらになるか。

労働災害が起こったのは会社Bですから、給付額を決める際は、月収10万円が基準になり、休業補償給付は月6万円となります。

※休業補償給付の給付額を計算する際は、給付基礎日額というものを算出して、そこに給付率や休業日数を掛け合わせるのですが、分かりやすくするためにデフォルメしています。

労働者本人の収入は合計で月に60万円なのですが、労災で休業すると月に6万円しか給付されないわけです。怪我をする前に比べて収入が1/10に減っていますから、何とかならないかと思うところです。

なぜこのようになるのかというと、労災事故が起こった事業所での収入が基準となり、労災保険の給付額が決まるためです。それゆえ、収入が少ない方の事業所で怪我をすると、労災の給付額も少なくなってしまうのです。

本来ならば、月収60万円なのですから、その6割だとすれば、36万円程度は労災から給付されないといけないはずですが、そうはならないため困るわけです。

 

副業先の賃金も含めて労災の給付額を決める

労働者が得ている賃金の総額を基準に労災保険の給付額を決めれば、給付額は妥当なものになります。

先程の例だと、月収10万円ではなく月収60万円が労災給付の基準になると、支給額も適正だと思えます。

ただ、労災事故を起こしていない事業所の賃金も含めるのは不合理なのではという考えもあるようです。会社Aでは労災事故が起こっていないのに、さも労災事故を起こしたかのように、労災の給付額を計算していくのはおかしいのではないかと。

労働者が仕事中に怪我をすると、その事業所の使用者は責任を負います。それに対して労災保険でフォローするのが原則です。しかし、副業先の賃金を合算して労災保険の給付額を決めるとなると、労働災害を起こしていない事業所の保険料が増加することもあります。

労災保険料を決める際には、過去に労働災害がどれだけ起こったかを考慮し、保険料を上げ下げする仕組みがあります。複数の事業所での賃金が合算されると、労災事故を起こしていない事業所であっても、保険料を引き上げる方向に計算されてしまうというわけです。

労災事故を起こしていない事業所に対しては、保険料を計算される際に影響が出ないようにすれば、保険料の増額を回避できます。

労災の給付額を計算する部分に限定して、合算された賃金額を利用するという案もありますし、マイナンバーを利用して複数の事業所での賃金額を把握することも可能でしょう。

それぞれの事業所から労災保険料は回収できているのですから、賃金の総額を基準にして給付をすること自体は支障がありません。

話は変わりますが、労働時間を通算して時間外労働に対する割増賃金を支払うかどうかという点では解決方法がありませんでしたが(副業の残業代を出したくても出せない事情。)、労災保険の場合は、保険料を回収できていて給付はできる状態です。つまり、財政上の問題は無いのです。

使用者の責任をどうするかなどと話も出ていますが、副業する人が増えるのが気に入らないから、何か理由をつけて阻んでやろうという意図を感じます。

 

会社員の身分を2つ以上持っている人は「複数事業労働者」に

フルタイムで働きつつ、休みの日にパートタイムでも働いている。
昼はフルタイムで勤務し、夜にパートタイムで勤務。
パートタイム労働を2つ以上掛け持ちしている。

こういう方は今回の労災保険に関する話に関係してきます。

雇用される身分を2つ以上持っていて、労災保険にも2つ以上の事業所を通して加入しているとなると、どこで労災事故が起こるかによって給付額が変わります。

一方、フルタイム雇用 + 自営業、自営業 + パートタイム雇用、これらも複数就業者に該当するのですが、労災保険に加入している事業所は1つです。そのため、労災事故が起こった場所で給付が変わることはありません。

雇用されて働く身分が1つだけならば、労災保険の給付額は変わりませんから、特に心配することもありません。自営業の方は、独自に所得保障保険に加入している方もいらっしゃるでしょうし、自分が怪我や病気をしても収入が途絶えないような商売を構築している方もいらっしゃるでしょう。

いずれは賃金の総額で労災の給付額が決まる状況になるかもしれませんが、まだそうはなっていないため、副業をされる方は仕事中の怪我には注意が必要です。

 

参考:

複数就業者 他社賃金加味して給付 労災保険で方針示す 厚労省

複数就業者への労災保険給付についての検討状況(案)

複数就業者への労災保険給付について

 

自転車通勤にも通勤手当が出るなら自転車で職場に行く。

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自転車通勤にも通勤手当が出るなら自転車で職場に行く。
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自転車は健康的という点以外のメリットも必要。


運動が体に良いのはご存知の通りですが、
普段から自転車で職場まで通勤している方はどれぐらいいるでしょうか。

片道10km、20kmもの距離を自転車で毎日のように移動するのは難しいですが、
2kmちょっとならば自転車で通勤できる距離です。

国土交通省 自転車交通 という評価書によると、
自転車に乗る理由は、健康に良い、交通費・ガソリン代を節約できる、
気分転換、エコといった理由があるようです。

有酸素運動になりますし、燃料も要りませんから、
移動手段としては良いものです。

ギュウギュウ詰めの電車に乗るのは苦痛ですし、
風を切って颯爽と通勤できれば気分も良いでしょう。

ならば自転車で通勤するかと思うところですが、
何らかの工夫がなければ自転車で通勤する人は増えにくいもの。
健康に良いですよ、満員電車に乗らなくても良いですよ、
という利点だけではまだ足りないのです。

 


タダで自転車通勤するのは嫌だ。


多くの会社では自転車で通勤している人に対して交通費を支給していません。
運賃はかかりませんし、ガソリンも必要ありませんから、
交通費を支給する必要はないだろうという判断なのでしょう。

しかし、自転車にも費用はかかります。車両代、
パンク修理やブレーキシュー、タイヤ交換などの修繕費、
事故を起こしたときのための保険代、そして自転車を漕ぐ人の労力。

運賃や燃料は必要ないものの、
自転車で通勤するにも費用はかかるのですから、
ある程度の交通費は出てもいいはずです。

電車やバスならば交通費が出るし、自分で運転する必要もない。
夏はクーラーで涼しいし、冬は暖房がかかって温かい。
ならば、自転車で通勤しないほうがいいだろう。そう考えるのが自然です。

自転車に乗って職場へ行き来しても、
「何だか損した感じがする」とモヤモヤするわけです。

しかし、1回の出勤で200円の交通費が支給されるとしたらどうでしょう。
つまり、職場と自宅を往復して200円です。

「たったの200円?」と思うでしょうが、
月に20日出勤すれば4,000円です。
さらに、それを年間に換算すれば48,000円です。

1回あたりの支給額は僅かですが、月単位、
年単位にすればそれなりの金額になります。

1年でタイヤを2つ交換するとして1万円。パンク修理で年間3,000円。
他にも細かなメンテナンスをしたとしても年間2万円ぐらいで足りるのではないでしょうか。
高価なスポーツタイプの自転車に乗ればもう少し費用はかかるでしょうが、
シティサイクルならこの程度の費用で足りるはずです。

ちなみに、自転車通勤に対する通勤交通費にも税制上の優遇枠があり、
その枠内で交通費を支給することも可能です。

支給された交通費を貯めて、
2年に1回の頻度で新しい自転車を買うことも難しくないのでは。
2年で使えなくなる自転車はそうそうなく、
4年か5年は乗れる質の良い自転車が多いですし、
4年に1回の買い替えならば、
交通費で車両代を全額支払える可能性もあります。

これぐらいの経済的メリットを提示すれば、
「それなら自転車で通勤しよう」と決意する人も増えていくでしょうね。

 

自転車通勤を増やしたければ、自転車にも通勤手当を出す。

 

 


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自転車通勤に交通費が出ないのはなぜ?

交通費を計算するときの距離の測定。

 

【仕事のQ and A】

決まったことを決まった手順で処理するのは難しいものではありません。
例えば、給与計算。毎月1回は給与が支給されるので、
その計算作業も毎月ありますけれども、頭を悩ませるほどのものではありません。

他には、雇用保険や社会保険への加入手続きもちょくちょくと発生しますけれども、
これも必要な書類を揃えて出すだけですから難しくない。

労務管理ではルーティンな業務があり、
それらを処理するには特別な能力や知識は必要ありません。

しかし、時として、普段は遭遇しないような問題が起こります。
例えば、休憩時間を1回ではなく何回かに分けて取るのはいいのかどうか。
有給休暇を半日や時間単位で細かく分けて取ると便利なのかどうか。
仕事着に着替える時間には給与は支払われるのかどうかなど。
答えが1つに定まりにくい問題が労務管理では起こります。

Q:会社を休んだら、社会保険料は安くなる?
Q:伊達マスクを付けて仕事をするの?
Q:休む人が多くて勤務シフトに穴が開く。対処策は?
Q:休憩時間を分けて取ってもいいの?
Q:残業を許可制にすれば残業は減る?
Q:残業しないほど、残業代が増える?
Q:喫煙時間は休憩なの?
Q:代休や振替休日はいつまでに取ればいいの?

このような問題に対して、どのように対処するか。それについて書いたのが『仕事のハテナ 17のギモン』です。


『仕事のハテナ 17のギモン』

 


【合格率0.07%を通り抜けた大学生。】

私が社労士試験に合格したのは大学4年のときで、
いわゆる「現役合格」です。けれども、3年の時に
一度不合格になって、ヘコんだんです。「たかが社
労士試験ごときにオチたのか」って。

どうすると不合格になるか。どんなテキストや問題
集を使えばいいか。問題集の使い方。スマホをどう
やって社労士試験対策に活用するか、などなど。学
生の頃の視点で書いています。

社労士試験というと、社会人の受験者が多いですか
ら、学生の人の経験談が少ないんですよね。だから、
私の経験が学生の人に役立つんじゃないかと思います。

労災保険、雇用保険や健康保険、国民年金に厚生年金、
これらの制度の中身を詳しく知ったのは、
社労士試験がきっかけでしたね。

学生の頃に学んでいなければ、
今もさほど労働保険や社会保険に詳しくはなかったのではないかと。


大学生が独学で社労士試験に合格する方法: 合格率0.07%の軌跡

 

 


【1日8時間を超えて仕事をしたいならば】


法定労働時間を超えて残業すれば
残業代を支払いますし、

さらに、
残業する前に36協定を締結しておく必要もあります。


残業代や36協定のことは知っているとして、

今日は仕事を早めに終わって、
その代りに、他の日の勤務時間を長くしたい。

このように時間配分を変えたいと思う方もいらっしゃるでしょう。


今日は6時間勤務にして、
明日は10時間勤務。

平均すれば8時間勤務だから、残業もなし。

しかし、
労働時間の計算は、1日ごとに完結するため、
他の日と時間配分をやりくりできないんです。


毎日8時間の時間制限があり、
柔軟に勤務時間を配分できないので、

月曜日は6時間の勤務にする代わりに、
土曜日を10時間勤務にして、
平均して8時間勤務でいいだろう。

、、、というわけにはいかない。


ですが、
仕事に合わせて、ある日は勤務時間を短く、
ある日は勤務時間を長くできれば、便利ですよね。

実は、それを実現する方法があります。


労働時間の配分を変えて、残業が発生しないようにするには?

『残業管理のアメと罠』ではその点について分かりやすく書いています。

 


『残業管理のアメと罠』

 

 

 

 

今回も、メルマガ「本では読めない労務管理の"ミソ"」を
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年次有給休暇の指定義務に対応するために他の休日や休暇を減らしてはいけない

代償

「特別休暇削減」に指導 使用者の年休指定で 改正労基法施行後問題化

 厚生労働省は、今年4月施行の改正労働基準法により使用者に義務化した年次有給休暇の年間5日の時季指定に関連し、不適切な行為が広がらないよう注意喚起している。年間5日を年休として時季指定する一方で、所定休日や企業が独自に付与する有給の特別休暇を労働日に変更し、実質上、従来からの労働日数を維持しようとする動きが表面化した。労働基準監督署などに労働者からの問合わせが寄せられている。厚労省では新たにリーフレットを作成して周知指導を強めている。 

 

 


年休を5日取ったら、他の休暇が減る?


2019年4月から年間5日の年次有給休暇の指定義務が課せられるようになりました。

仮に10日の年休を付与したとすれば、そのうちの5日分は1年以内に取得できるようにしなければいけません。時季を指定するだけではなく、実際に取得するところまでが義務です。

この年休指定義務に対応するために、会社独自に設定している休暇を減らすところもあるようです。

年に5日分の有給休暇を取るとなった場合、その代わりに他の休暇を5日分減らして、労働日が減らないようにするわけです。

日数上の帳尻を合わせるためですが、このような処理は不適切な行為と判断されるようで、やってはいけない取り扱いです。

「義務で年に5日の有給休暇を取ったのだから、会社が独自に設けている休暇を5日分無くしてしまえば、出勤日が減らないだろう」と考えてのことでしょうが、これはできないのです。

 

 

有給休暇を取るのに犠牲は要らない。


有給休暇を1日取ったら、他の休みを1日減らす。
有給休暇を取ると、残業代が出ない。
有給休暇を取ると、代休や振替休日がなくなる。

このような代償は必要なく、他の休みに影響することなく年次有給休暇を取得できます。

有給休暇絡みで嫌がらせをする人というのはいて、何でそういうつまらないことをするのか分かりませんが、日数に上限があり、使ってしまえば無くなるだけです。

無限に有給休暇を取れるならば何らかの処置もあっていいのかもしれませんが、付与日数は決まっていますから、残日数がゼロになればそれで終わりです。

義務で取得した有給休暇があるから、その分だけ他の休日や休暇を減らすなどという扱いはせず、本人が持っている日数は時季変更権を行使する場合を除いて好きに使えるようにしておく必要があります。

 

 

年休取得のコツ 年次有給休暇の年間取得予定表を作る

 

コツ

 


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年休取得のコツ 年次有給休暇の年間取得予定表を作る。
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いきなり有給休暇。


年次有給休暇の付与日数については法律で決まっていますが、
それをどのように使っていくかは当事者に任されています。

有給休暇を取得するための申請書を出すところもあれば、
勤務シフトを作成する段階で予定に入れるところもあるでしょう。
さらには、口頭で取得すると伝えるだけで足りる職場もあるかもしれません。

どういう形で年次有給休暇を取得しても構わないのですが、
1週間前とか数日前の段階で「有給休暇を取ります」と言われると、
勤務シフトを調整するのが難しくなったり、他に出勤する人がいなくて困ることもあります。

なるべく早い段階で年次有給休暇を取得する予定を把握できれば、
勤務シフトを作りやすいですし、時季変更権を行使する可能性も低くできます。

 


1年分の年休予定を予め作る。


1ヶ月毎に勤務シフトを作る職場だと、毎月、
勤務シフトを作る段階で有給休暇の予定も入れていると、
申請から取得まで時間的猶予があまりなくスケジュールの調製をしにくいときがあります。

また、事前に予定を立てることなく、随時、有給休暇を申請する形だと、
さらに時間的猶予がなく予定を調整しにくいもの。

そこで、年次有給休暇でも勤務シフトに似たものを作成し、
事前に取得予定を把握できるようにするのも一案です。

年次有給休暇の年間取得計画表を作り、1月から12月までの期間で、
どの月に何日の有給休暇を取得するかの予定を決めておきます。

11月から12月の中旬までの間に作っておき、
翌年の年休取得計画に利用すると良いでしょう。

1月から12月まで、個人別に取得する予定の日数を書いておきます。
一覧表にしておくと、どの月に取得者が多いか、
勤務シフトを調整する必要があるかどうかが早い段階で分かります。

学生だったら、おそらくテストの時期や夏休みなどの長期休みの時期に有給休暇をまとめて取る傾向があるでしょう。
また、家族がいる人だと、お盆や年末年始、運動会シーズンなどに有給休暇を取る傾向が出てくるはずです。

年間計画表を作っていれば、勤務スケジュールに時間的猶予がなく有給休暇を取れないことも減るでしょうし、
濫用されがちな時季変更権を使う機会も減らせます。

後から取得予定を変えることもあるでしょうから、
あくまでザックリとした予定で足ります。

何も予定が分からないところで、いきなり有給休暇を申請されるよりも、
「今井さんは9月に3日の有給休暇を取るんだな」、「近藤さんは1日だけか」、
「木村さんは11月に2日取るのか」というように早い段階で分かっていれば、
それに合わせて勤務シフトも早く調整できるでしょう。

年間計画表といっても簡素なもので、表計算ソフトを使って、
横軸に1月、2月、3月と書き、縦軸に名前を書いていけば、
A4サイズの用紙で20人分ぐらいの年休計画を書き込めます。

おおよその予定でも構わないので、
来年1年分の有給休暇をいつ取るかを書いてもらえば、
会社としても助かるわけです。

すでに年次有給休暇の取得が義務化されていますから、
義務として取得する日数を予定に入れているかどうかも年間計画表で把握できます。

 


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年次有給休暇の消化が義務化。どう対応する?

休暇制度を新たに作らず、休暇は年次有給休暇に一本化する。

 

【仕事のQ and A】

決まったことを決まった手順で処理するのは難しいものではありません。
例えば、給与計算。毎月1回は給与が支給されるので、
その計算作業も毎月ありますけれども、頭を悩ませるほどのものではありません。

他には、雇用保険や社会保険への加入手続きもちょくちょくと発生しますけれども、
これも必要な書類を揃えて出すだけですから難しくない。

労務管理ではルーティンな業務があり、
それらを処理するには特別な能力や知識は必要ありません。

しかし、時として、普段は遭遇しないような問題が起こります。
例えば、休憩時間を1回ではなく何回かに分けて取るのはいいのかどうか。
有給休暇を半日や時間単位で細かく分けて取ると便利なのかどうか。
仕事着に着替える時間には給与は支払われるのかどうかなど。
答えが1つに定まりにくい問題が労務管理では起こります。

Q:会社を休んだら、社会保険料は安くなる?
Q:伊達マスクを付けて仕事をするの?
Q:休む人が多くて勤務シフトに穴が開く。対処策は?
Q:休憩時間を分けて取ってもいいの?
Q:残業を許可制にすれば残業は減る?
Q:残業しないほど、残業代が増える?
Q:喫煙時間は休憩なの?
Q:代休や振替休日はいつまでに取ればいいの?

このような問題に対して、どのように対処するか。それについて書いたのが『仕事のハテナ 17のギモン』です。


『仕事のハテナ 17のギモン』

 


【合格率0.07%を通り抜けた大学生。】

私が社労士試験に合格したのは大学4年のときで、
いわゆる「現役合格」です。けれども、3年の時に
一度不合格になって、ヘコんだんです。「たかが社
労士試験ごときにオチたのか」って。

どうすると不合格になるか。どんなテキストや問題
集を使えばいいか。問題集の使い方。スマホをどう
やって社労士試験対策に活用するか、などなど。学
生の頃の視点で書いています。

社労士試験というと、社会人の受験者が多いですか
ら、学生の人の経験談が少ないんですよね。だから、
私の経験が学生の人に役立つんじゃないかと思います。

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これらの制度の中身を詳しく知ったのは、
社労士試験がきっかけでしたね。

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【1日8時間を超えて仕事をしたいならば】


法定労働時間を超えて残業すれば
残業代を支払いますし、

さらに、
残業する前に36協定を締結しておく必要もあります。


残業代や36協定のことは知っているとして、

今日は仕事を早めに終わって、
その代りに、他の日の勤務時間を長くしたい。

このように時間配分を変えたいと思う方もいらっしゃるでしょう。


今日は6時間勤務にして、
明日は10時間勤務。

平均すれば8時間勤務だから、残業もなし。

しかし、
労働時間の計算は、1日ごとに完結するため、
他の日と時間配分をやりくりできないんです。


毎日8時間の時間制限があり、
柔軟に勤務時間を配分できないので、

月曜日は6時間の勤務にする代わりに、
土曜日を10時間勤務にして、
平均して8時間勤務でいいだろう。

、、、というわけにはいかない。


ですが、
仕事に合わせて、ある日は勤務時間を短く、
ある日は勤務時間を長くできれば、便利ですよね。

実は、それを実現する方法があります。


労働時間の配分を変えて、残業が発生しないようにするには?

『残業管理のアメと罠』ではその点について分かりやすく書いています。

 
『残業管理のアメと罠』

 

 

 

 

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自転車通勤を増やしたければ自転車にも通勤手当を出す

チャリ通

 

今までは電車通勤だったけど、徒歩や自転車での通勤に変えた

最近までは電車で移動していたけれども、健康のために徒歩移動に変えた人とか、または自転車移動に変えた人がいらっしゃるのではないでしょうか。

10kmぐらいだったら自転車で移動できる(いわゆるママチャリでは辛いか)距離でしょうし、徒歩でも2km程度ならば歩こうと思えば結構歩けるものです。


ただ、「今までは電車通勤で交通費が支給されていたけれども、徒歩や自転車に変えたら交通費はなくなるのかな?」と思う人もいるのではないでしょうか。

バス通勤でも同様ですね。先月まではバスを使っていたけれども、今は徒歩で通勤している人も上記と同様の思いを抱くのではないかと思います。


交通機関を使おうと思えば使えるが、あえて使わないことを選択すると交通費がなくなっちゃうのは何か変な感じだよね、と思ってしまうのが人の感情ですから、上記のように思うのは不思議なことではないです。

 

通勤手当を支給する条件を決めるときのポイント

通勤手当を出すとすれば、まず公共交通機関、電車やバスを使っている人たちに限定して手当を出すのか。それとも、交通用具を使って通勤している人たちも対象にするのか。

さらに、「交通用具」と表現すると、これは何を意味するのかがまた問題となります。自動車を意味するとしたら、四輪の自動車だけが対象になるのか、それとも二輪の自動車も含むのか。二輪の自動車を含むならば、原付一種や原付二種だけなのか、それとも250ccや400ccといった大きな二輪も含むのか。さらに、交通用具の中には自転車も含まれるのかどうか。

どのような交通手段で通勤した場合に通勤手当の対象になるのかを決める必要があるんですね。

通勤距離の制限を設けるとすれば、例えば2km以上離れた場所から通勤している人を対象にするのか。自転車ならもっと近い距離から通勤する人もいるでしょうから、500mや1kmの距離で通勤している人たちも通勤手当の対象にするのか。自転車で通勤するなら距離は1km以上というように条件を緩和してみるのか。

通勤手当の支給条件は会社ごとに色々と設定の仕方があり、工夫の余地がありますよね。

ちなみに、通勤手当を支給する額を少なくして、職場の近くに住んでいる人を採用していくのも工夫の1つです。職場ごとに合った形で通勤手当の条件を設定して運用していく。これが人事労務管理では求められるんですね。

 

運賃はタダだが自転車や徒歩でも費用は発生している

交通費というのは"実際に発生した費用"に対して支払われる金銭です。

それゆえ、実際に交通機関を使っていない社員さんに対して交通費は支給されません。

でも、社員さん本人は「あえて使わないことを選択したのに何か損した気分だ、、」と思ってしまいますよね。「会社の経費削減にも寄与しているのに、、、」という気分にもなるかもしれません。

ならば、何らかのフォローを実施すれば満足してもらえるのではないでしょうか。

つまり、あえて徒歩通勤や自転車通勤を選択した社員さんに対して"何らかの旨味"を与えれば良いわけです。

歩けば靴底が減りますし、自転車はタイヤやブレーキが消耗し、車両本体も劣化していきます。つまり、運賃はかからないものの、通勤のための費用は生じているわけです。


例えば、電車通勤やバス通勤を自転車通勤に切り替えた社員さんに対して「自転車購入補助金」というお金を支給するのも有効なフォロー方法ですよね。

あえて自転車で通勤しようとする人なのだから、何かこだわりの自転車に乗る人が多いのではないでしょうか。ロードレーサーなどのスポーツ型の自転車に乗る人には補助は喜ばれるのではないかと思います。


また、徒歩通勤でしたら、靴の購入補助とかも良いのではないでしょうか。歩くと靴底がすり減りますから、これは徒歩通勤の経費とも言えます。

長い距離を歩く人だと、革靴やハイヒールではなくスニーカーを履いて通勤し、会社に到着してから革靴やハイヒールに履き替えるのではと思います。

そのため、通勤で使う靴の購入費補助を実施すれば喜ばれるのではないでしょうか。


もちろん、上記の補助には月毎や年毎の上限を設けて運用すれば過大な支出にはなりませんから、会社にも負担にならないはずです。

 

 

 

 

自転車通勤のコストはタダ?

国土交通省のウェブサイトに「自転車通勤導入に関する手引き」という文書が掲載されており、自転車での通勤を奨励する内容になっています。

自転車通勤導入に関する手引き(国土交通省)

通勤手段というと、電車かバスが主流ですが、自転車で通勤している方もいます。

自宅から事業所まで距離が短ければ自転車で通勤するでしょうが、自転車通勤には通勤手当を出さないところが多いのが残念な点です。

公共交通機関を利用すれば運賃がかかりますから、その費用を通勤手当として支給するのは分かります。一方、自転車で職場まで行けば、時間と自転車を漕ぐ労力が必要とされるものの、運賃は発生しません。そのため、自転車通勤には通勤手当が出ないことが多いのです。

満員電車でヘトヘトになるよりは自転車で風を感じながら通勤する方が気持ちいいでしょうし、通勤用の車を駐車する費用もかからなくなりますし、色々と利点はあります。

ただ、通勤する本人が利点を感じないと、自転車での通勤を促進するのは難しくなります。

健康に良い、満員電車に乗らなくていい、こういう点も利点ではありますが、「よし、自転車で通勤しよう」と決断するには弱いでしょう。

バスや電車は運賃がかかりますが、自転車通勤は運賃は必要無いものの、色々と費用はかかっています。

車両、消耗品交換などのメンテナンス、自転車を漕ぐ労力、雨の日に体が濡れる負担、暑い日に汗だくになる厄介さ、など自転車であってもタダで通勤できるわけではありません。

電車で通勤していると会社に申告して通勤手当が出ているのに、実際は自転車で通勤して電車には乗らない。こういう通勤手当の不正受給を防ぐ効果も期待できるのでは。

電車には通勤手当が出るけど、自転車で通勤すると通勤手当が出ない。だから電車で通勤していることにして通勤手当だけを受け取ろうとする。そういう不正が発生するとすれば、自転車で通勤した人にも通勤手当が出れば、不正も少なくなっていくのではないかと。 

 

歩くのも、自転車に乗るのも、費用が発生している

電車やバスに乗れば運賃を払いますけれども、運賃という形で金額がわかれば、確かに交通費としては支給しやすいのかもしれません。一方、歩いて職場に来たり、自転車に乗って職場に来ている人からすれば、歩いたり自転車に乗るのもタダじゃありませんからね。

歩けば自分の体が消耗しますし、エネルギーを使います。自転車も、車両を購入する費用がかかりますし、パンクすれば修理しなければいけません。ブレーキシューも減ってきますし、タイヤもすり減れば交換しなければいけないわけです。当然、故障すれば修理も必要でしょう。

歩いたり自転車に乗るのもタダではなくて、相応の費用がかかってるわけですから、それに対して補助を出すのはあってもしかるべきです。

今回は、自転車の通勤についてだけ書いてますけれども、徒歩での通勤だって補助があっても良さそうですよね。例えば、1回通勤するごとに100円とか。1か月で20日通勤すれば2000円になりますし、その費用をジムやスポーツクラブの会費に充当する、なんてこともできるわけです。ほら、健康的でしょ。

電車やバスだけでなく、徒歩や自転車で通勤する人たちに対して、どういう仕掛けをしていくのか。これも労務管理で考えていかなければいけないところでしょう。

 

 

 

 

通勤手当が出れば自転車で通勤する人は増える

「通勤手当も出ないのに、なんでシンドイ思いをして自転車で職場に行かなければいけないのか」

「電車やバスに乗れば、乗っているだけで目的地に運んでくれるし、夏は涼しく、冬は温かい。自転車を漕ぐ体力も要らない」

このように思ってしまえば、自転車で通勤しようと思う人は増えません。

しかし、通勤手当が出るとなると、話が変わってきます。

電車やバスなどの公共交通機関を利用しないと通勤手当は出ないと思っている方もいらっしゃるでしょうが、実は自転車での通勤に対しても税制上の非課税枠が用意されています。

No.2585 マイカー・自転車通勤者の通勤手当(国税庁)

職場から自宅まで近いという前提条件が必要ですが、片道2kmぐらいならば自転車での通勤ならば現実的なものです。

さすがに毎日、片道10kmなんて走っていられないし、真夏は汗だくになりますが、2kmからkmぐらいでしたら自転車で走れるでしょう。

自転車の平均時速を12km/hだとすると、片道3kmだと片道15分かかります。15分間、自転車を漕ぐ前提ですから、実際は一時停止や赤信号で停まります。となると、25分ぐらいはかかるでしょう。ゆっくり運転する人だと30分は見積もっておく必要があります。

ゆっくり運転して30分で3km。2kmだと20分。通勤時間としてはそう長いものではありません。

片道2キロメートル以上だと、月に4,200円までは非課税で通勤手当を支給できます。なお、距離に応じて非課税の枠は大きくなります。

ちなみに、電車での通勤だと1ヶ月に15万円もの非課税枠があり、新幹線での通勤も想定してのことですが、ここまで優遇すると自転車で通勤するなんてバカバカしくなります。

通勤ラッシュの原因の1つは、電車に対する税制上の優遇が厚すぎる点にあるのではないかと思っています。

仮に、自転車で自宅から職場まで行き来するとして、毎月4,200円を交通費として支給されたらどうなるでしょうか。年間だと50,400円になります。

自転車で通勤して、年間50,400円の交通費が支給されたら。どうでしょう、「自転車で通勤しようか」と思い始めるのではないでしょうか。

 


インセンティブがなければ人は動かない

「健康にいいですよ」、「満員電車に乗らなくて済みますよ」というだけでは自転車で通勤しませんが、「1年で50,400円の交通費が出ますよ」となれば動く人は出てきます。

言葉だけでは人は動きにくいですが、お金が絡んでくると人は動き出します。

仮に、1回の自転車通勤で200円の通勤手当を出すとして、月に21回出勤すれば4,200円。これならば非課税枠の範囲内です。週5日出勤の方だと、月に21回ぐらいの出勤日数になるはずです。

月に4,200円だと、年に50,400円。2年に1回、自転車を買い換えるとすれば、100,800円の購入補助が付くようなものです。

ただ、2年も乗れば、パンク修理はするでしょうし、タイヤやブレーキシューも交換するはずです。それゆえ、車両代以外にも費用はある程度かかります。

シティサイクルだと、1台30,000円も出せばかなりいいものが手に入ります。2年で乗れなくなるほど品質が低いものは少なく、4年なり5年は乗れるものが手に入るでしょう。

 

スポーツタイプの自転車だと1台10万円ぐらい(高いものだと100万円を超えるものも)するでしょうが、通勤手当を自転車を購入する際の補助として利用すれば、随分と費用負担が軽くなります。

 

ポケットマネーで高級自転車を買うのは抵抗感がありますが、通勤手当で購入費の一部を補助してもらえるとなれば、「じゃあ、自転車で通勤するか」と気持ちが変わるのでは。

このようなメリットがあれば自転車で通勤しようかと思う人も出てきます。電車やバスで通勤しても、通勤手当はすべて運賃に消えますから後に残りません。体を目的地に運んでもらえば、それで終わりです。

手当も出ないのに、単に健康を目的に自転車で通勤する人がどれだけいるでしょうか。自転車好きの人ならば分かりますが、それ以外の人は違う選択をするはずです。

自転車通勤もタダではありませんから、何の見返りもなしに電車やバスから自転車での通勤に変える人は多くないでしょう。

「通勤手当が出るかどうか」ここが自転車通勤が普及するかどうかの境目です。

税制上の非課税枠を1キロメートル以上から設定すれば、自転車通勤に対して手当を出しやすくなります。

例えば、

1キロメートル以上5キロメートル未満:2,900円
2キロメートル以上10キロメートル未満:4,200円

このように、もう1段階メニューを追加すれば、自転車通勤にも適用しやすいでしょう。


住宅手当も組み合わせて自転車通勤を増やす

職場から近い場所に住んでいる人に住宅手当を出すようにして、さらに自転車通勤に通勤手当も出せば、遠いところから通勤する人は減ります。

月に15万円もの非課税枠を作ってしまうと、もっと遠くから通勤しても大丈夫だと思ってしまい、通勤ラッシュは解消できません。

職場の近くに住めば、住宅手当が出て、さらに自転車で通勤すれば通勤手当も出る。自転車を買い換える費用も少なくなり、常にキレイな自転車に乗れる。

自分がどれだけ得をするか。人が行動を起こすかどうかの出発点はここです。

 

 

 

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