あやめ社労士事務所 - 労務管理のツボをギュッと押す方法を考えます

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働き方改革とは。職場がどう変化するのか。

働き方改革

ナントカ学園の公文書だとか、
偉い役人さんのセクハラだとか、

そういう話で国会の法案審議は止まっていますけれども、

警察や検察にそういう類の話は任せておいて、

国会では法案の審議を進めてもらいたいもの。


さて、

テレビで時折、耳にする

「働き方改革」

という言葉。


長時間労働過労死に注目が集まり、
その対応策として出てきたのが
働き方改革。


仕事のやり方を変えたり、
残業を減らしたり、

これは働き方改革、それも働き方改革と、
何だかインフレ気味ですが、

2018年4月時点で、法律案が作られており、
審議のために国会に上程されています。


「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案」
という名称が正式なもので、

通称では、「働き方改革関連法案」と言われています。

 

「働き方改革」の実現に向けて(厚生労働省)

 

 

働き方改革の主な内容は?

主だった内容としては4つ。

  1. 時間外労働の制限。
  2. フレックスタイム制度の制限緩和。
  3. 1年に5日は有給休暇を取得。
  4. 勤務間インターバル。


他にも改正点がありますが、
今回はこの4点だけ採り上げます。

 

 

最大の目玉は、残業に対する制限。

4つの中で最も注目を集めているのがココと言ってもいいぐらい。

それは、「時間外労働に対する上限設定」


以前も、時間外労働には「限度時間」というものがあって、
残業できる時間数はココまでですよ、
と数字で示されていました。

 

しかし、なぜか、どういうわけか、不思議なことに、
限度時間が守られにくく、
好き放題に残業していたのが今までの実態。


時間外労働の限度に関する基準


法律ではないため、気軽に破られていたのでしょうけれども、

「赤信号皆で渡れば怖くない」という感覚なんでしょうか。

 

 

基本事項の確認ですが、

まず、時間外労働を実施するには、36協定の締結が必要です。

これが、通称「サブロク協定」です。



36協定というのは労使協定で、

残業(法定時間外労働のこと)は
1日に何時間まで。
1ヶ月では何時間まで。

と決めるものです。


1日8時間を超えて仕事をしてもらうには、
この36協定が必須で、これを締結せずに残業すると、
法律に違反します。


1日9時間労働とか、1日10時間労働となる場合は、

事前に

『時間外・休日労働に関する協定届(36協定)』

を締結しておく必要があります。

 

時間外・休日労働に関する協定届(36協定)(東京労働局)

東京労働局のウェブサイトにサンプルや書式があります。

興味のある方はご参照ください。

 

ちなみに、

1日5時間勤務のところを6時間に変えたり、
1日7時間勤務のところを8時間に変えても、

これは時間外労働にはなりません

残業は残業なんですけれども、
この場合は、「法的には残業じゃない」のです。


8時間を超えた部分は時間外労働なのですが、
1日8時間以内で残業した場合は、
法律では時間外労働になりません。

そのため、上記のように、
5時間勤務を6時間勤務に変更しても、
それは36協定の対象外です。


36協定を締結したら、
その後は残業ができるようになりますが、

「残業代を払えばナンボでも残業できるでぇ〜」
とは思わないでください。

おカネさえ払えば何でもやっていいわけではなく、
限度があります。


割増賃金である残業代を払うのは大事ですけれども、

「36協定で決めた時間外労働の上限」

を超えないようにするのも大事です。

 


例えば、

時間外労働が可能な時間数を

1日に2時間まで。
1ヶ月では30時間まで。

と決めたとします。


このように
『時間外・休日労働に関する協定届(36協定)』
で決めた場合は、

1日に働ける時間は、最大で10時間までです。

基本となる時間を1日8時間とすると、
そこに2時間まで残業できますから、
合計で10時間。


また、

1ヶ月の勤務時間を170時間だとすると、
残業できるのは30時間までなので、
合計で月に200時間まで就業可能です。


【36協定で残業できる時間には上限がある】

この点はとても大事です。

 

 

時間外労働(残業)は月に45時間まで。

働き方改革関連法案では、

時間外労働は

1ヶ月に45時間まで
1年間で360時間まで

と上限を設定しています。


以前だと、法律ではない基準で決められていたものを
これからは法律で決める、というわけです。


以前からある限度時間の基準と時間数は同じです。

時間外労働の限度に関する基準


原則は、

1ヶ月に45時間まで
1年間で360時間まで

ですが、


「臨時的な特別な事情がある場合」だと、

単月で100時間未満まで
1年間で720時間まで

時間を延ばせるようになっています。


ただし、

時間を延長できるのは、1年に6ヶ月まで。

つまり、

12ヶ月を12回だとすると、

単月で100時間未満まで
1年間で720時間まで

に延長できるのは、年に6回までということ。


これが多いのか、少ないのかは、人によって評価が変わります。

ただ、時間数で上限を設定して、
それを法律で決めたとなれば、

以前よりは良くなっていると評価できます。

 

 

36協定で決める時間外労働の時間数を何時間にする?

36協定は労使協定ですから、
その中身は使用者側と労働者側で
協議して決めます。


過去の勤務実態から必要な時間数を想定し、

単に上限イッパイの月45時間とするのではなく、

月にどれぐらい時間外労働が発生しているか
で判断すると良いでしょう。


もし、毎月10時間前後は時間外労働が発生しているならば、

少し余裕を持って月20時間にするとか。


月45時間でも、時間外労働としては長すぎるぐらいですから、
36協定では、なるべく短めの上限時間に設定したいところです。


毎月の勤務日数が21日だとすれば、

1日あたり2時間ほど時間外労働ができる計算になるため、

平均で毎日10時間労働になります。


1日10時間労働といっても、
一時も休まず10時間、

ミッチリと仕事をしているわけではなく、
仕事の密度にはバラつきがあります。


残業になりそうならば、

翌日以降に仕事を持ち越すなり、
翌月に回すなり、
他の人と交代で取り組むなり、
人を増やして、ワークシェアリングするなり、

時間を減らす方法はあります。


「月45時間、年間360時間まで、これ以上はどんな理由でもダメ」
という線引きにしてもいいのではと私は思いますが、

例外的に臨時的に上限を超えてもいい、
という抜け道が残っているのが気になります。

 

 

遅刻を怒って、残業を怒らない不思議。

無限に時間を使えるわけではありませんし、

仕事に締め切りがあるのと同じように
働く時間にも締め切りがあります。


今週中に納品しないといけない商品を、

残業する感覚で時間を引き延ばし、

来週に納品したらどうなるか。


もう次からの注文は無いでしょう。


残業を許すならば、納品も来週にしてしまってもいいのか。

そう言われれば、「いや、それはダメだ」と全員が言い返すでしょう。

「では、納品を今週中に間に合わせるならば、残業も許さないんですね?」

と言われれば、「それとそれは話が違う」と言い訳する。


時間に間に合わせる(納期までに)ために、時間に遅れても(残業する)いい。

これ、ホント、矛盾ですよね。

 

遅刻すると、烈火の如く怒る人がいます。

しかし、

残業して、烈火の如く怒る人に会ったことがありません。


決まった時間を破っている点は同じなのに、
片方は非難され、もう片方は黙認される。

 

 

フレックスタイム制度の変更点。

フレックスタイム制度では、清算期間の上限が変わります。

以前は、清算期間は1ヶ月まででしたが、今後は3ヶ月まで設定できるようになります。


清算期間とは何かというと、

もし、フレックスタイムの清算期間を1ヶ月に設定すると、

1ヶ月の間で労働時間をやりくりできるようになります


例えば、

1ヶ月の所定労働時間が170時間だとすると、

この170時間の枠内で時間を配分できます。

火曜日は5時間勤務
水曜日は9時間勤務
木曜日は10時間勤務

というように、

勤務時間にバラつきが出ても、
その段階では割増賃金を計算せず、

給与を計算する時点で、
170時間を超えたかどうかを判定し、

残業代である割増賃金を計算できるのです。



フレックスタイム制度を導入していなければ、

水曜日は1時間の時間外労働。
木曜日は2時間の時間外労働。

になって、割増賃金が必要ですが、

フレックスタイム制度だと、
給与の締め日の段階で精算しますから、

水曜日や木曜日の段階では時間外労働かどうかは判断できないのです。

 

精算期間が3ヶ月に延びると、

時間外労働の精算も3ヶ月ごとになるのですが、

1週あたり50時間を超えた時間に対しては、
割増賃金を支払うようになる予定です。

3ヶ月待ってから精算するものの、
1週50時間を超えた週は、その時点で割増賃金が発生します。

精算期間が延びると、ルーズに労働時間が管理されやすいため、
1ヶ月よりも長く精算期間を設定する場合は、
制限が強くなるわけです。

 

 

1年に5日は確実に有給休暇を取れないといけない。

年に10日以上の有給休暇が付与される労働者が対象で、
付与された有給休暇のうち5日を確実に消化させないといけないというもの。


使用者側が「時季を指定して」と注文がありますが、

労働者側の希望日程で有給休暇を年に5日以上取得できているならば、
使用者側で時季を指定する必要はありません。

なかなか有給休暇を使わない人がいて、
年に5日も使わないのではないかと判断できたら、
その人には使用者側で時季を指定して、
年に5日は確実に有給休暇を消化させます。


毎月、1日は有給休暇を入れるようにすれば、
1年に12日は消化しますから、
5日のノルマは簡単にクリアできます。

ゴールデンウィークやお盆、年末年始に
有給休暇を入れ込んで、
一気に消化してしまうのも一案です。


年に5日以上は確実に有給休暇を取れている職場ならば、
今回の制度変更で何かする必要はありません。

今まで通りで大丈夫です。

しかし、そうではない職場では、
有給休暇を年に最低でも5日は取れるように
勤務シフトを調整する必要があります。

 

 

勤務間インターバルへの対応は容易。

勤務間インターバルとは、

仕事が終わってから、次の出勤まで、
どれぐらいの時間的間隔を空けているか、
という内容です。


例えば、


火曜日に、
仕事が19時に終わったしましょう。

翌日、水曜日も出勤だとして、
朝は早くとも何時から出勤できるか。

勤務インターバルでは、
「11時間空ける」ように法律で決まる予定ですから、


19時に仕事が終わって、その11時間後、

水曜日の午前6時が最も早い始業時間になります。


夜遅くまで仕事をして、翌日朝早く仕事を始めると、
休息する時間がありませんから、

その時間を確保するために、
勤務間インターバルを設けたのです。


【仕事が終わったら、次の出勤まで最低でも11時間は空けておく】

これだけですから、他の制度変更よりも対応は容易です。 

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