あやめ社労士事務所 - 労務管理のツボをギュッと押す方法を考えます

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みなし労働時間制で残業代が未払いに?

みなし

「13時間ぶっ通し」でも残業代なし、自販機オペの「みなし労働」無効 労基署が勧告

ルートセールス社員とは、トラックで商品を運んで自動販売機に飲料の補充などをする職務。事業所の外で働くため、会社側が労働時間を把握できない場合に認められる「事業場外みなし労働時間制」が適用され、ルートセールス社員の1日あたり労働時間は7時間45分とみなされていた。時間外労働手当の支払いはなかったという。

ただ実態は、ルートセールス社員は携帯電話を持たされ常に業務指示を受ける環境だったことなどから、労基署は労働時間の算定が可能であると判断し、是正勧告したとみられる。

 


みなし労働とは、

正式には「事業場外みなし労働時間制」というものです。

 

労働基準法38条の2に、その内容が書かれています。


労働基準法 第38条の2

労働者が労働時間の全部又は一部について事業場外で業務に従事した場合において、労働時間を算定し難いときは、所定労働時間労働したものとみなす。ただし、当該業務を遂行するためには通常所定労働時間を超えて労働することが必要となる場合においては、当該業務に関しては、厚生労働省令で定めるところにより、当該業務の遂行に通常必要とされる時間労働したものとみなす。

 

事業場外みなし労働時間制を適用すると、

事前に決めた時間、働いたことになる効果があります。

労働時間による制約を弱めた裁量労働制に似ていますね。

 


5時間で仕事を終えても、所定労働時間である7時間45分働いたと扱われる。

10時間働いても、所定労働時間である7時間45分働いたと扱われる。

こういうザックリした扱いになるのが事業場外みなし労働時間制です。


5時間を7時間45分と扱えば、

これは短い労働時間を長く計算しているため、

労働者側には不利にならず、特に問題にはなりません。

 


問題になるのは、

みなされる所定労働時間よりも長く働いた場合です。

10時間を7時間45分として扱ったり、
13時間を7時間45分として扱ったりすれば、

これは「賃金未払い」なり「残業代未払い」と指摘されかねないんですね。

 

 

仕事をしていたのか、居眠りしていたのか、分からない。

自動販売機に飲み物を補充する仕事は、

トラックに缶やペットボトルの飲料を載せて、
自動販売機がある場所を回っていき、

ガランゴロンと音をたてながら飲み物を
自動販売機に入れていくもの。

 


トラックに乗って外を回っているため、


補充作業をしているのか、

それとも、

トラックを道路脇に停めて居眠りしているのか。


使用者としてはそこまで細かく管理していないでしょうし、
分からないはずです。

 

 

業務の指示を出せるなら労働時間を把握できる?

携帯電話を持たせて、業務の指示を出していたため、
労働時間を算定できると労働基準監督署は判定したようです。


確かに会社が用意して業務用の携帯電話を
持たせることはありますが、

それをもって労働時間を管理できるというのは、

人によっては納得いかないところでしょう。

 


「指示を受けられる = 労働時間を把握できる」
とは限らないですし、

もし会社が携帯電話を持たせていなかったら、
みなし労働時間制を適用できたのかというと、

 

その場合は、

「個人所有の携帯電話があるから、
それを使えば労働時間を把握できる」

という理屈を捏ねてくるはず。


今時、スマホなどの携帯電話を
持っていない人のほうが珍しいでしょう。

 


携帯電話を持っているなら、
労働時間を算定できるとなると、


みなし労働時間制を適用できる仕事がどれだけあるのか。

「現実的に使えない制度なのでは?」とも思えてきます。

 

 


みなし労働時間制と労働基準法は、お互いに水と油。

労働時間で仕事を評価するのが労働基準法。

 

そこに、

時間をザックリと扱う
「みなし労働時間制」を持ち込むのですから、

水に油を入れるようなもの
馴染まないのは当然です。

 

 

労働時間を正確に把握できないから
みなし労働時間制を利用しているのに、

「携帯電話を持っているから労働時間を算定できる」
言われてしまうと、

 

「じゃあ、みなし労働時間制を適用できる
職場って、どういう職場なの?」

そんな疑問が沸々と湧いてくるでしょう。

 


裁量労働制も同じようなものです。

労働時間による制約を弱めようとしている制度なのに、
労働時間の長さや残業について議論されてしまう。


労働基準法が「」ならば、

みなし労働時間制や裁量労働制は「」です。

 

 

「労働時間に対する賃金」と「仕事や成果に対する報酬」。

会社としては、

「トラックに乗って外を回っているのだから、
いつ仕事をしていて、いつ休憩をしているか分からない。
だから、事業場外みなし労働時間制を適用している」

と考えるはずです。


一方、

 

トラックで飲み物を補充している従業員は、

「実際に働いていた時間なのだから、
事前にみなされた時間(今回ならば、7時間45分)
を超えた部分に対しても、
給与を払うべきだろう」

と考えます。

 


時間を基準にして給与を払うことに慣れきってしまい、
仕事の中身や成果を評価してこなかった。

 

その結果、

本来支払うべき給与よりも少なくなることもあれば、

逆に、

本来支払うべき給与よりも多くなることもあります。


時間と給与を結びつけていると、
ユックリ仕事をする方が給与が多くなります。

 


本来ならば、

よりスムーズに、
自動販売機に商品をたくさん補充して、
決まった時間内に帰ってくる

そういう人にたくさん給与を払うべきです。


しかし、

労働時間と給与が連動していると、

作業をゆっくりやれば、
給与が増えて、割増賃金も出る。

 

 

この不具合を解消するには、


「労働時間に対する賃金」

「仕事や成果に対する報酬」

を分けないといけません。

 

 

時間だけでなく、仕事も評価する。

「労働時間に対する賃金」と「仕事や成果に対する報酬」
を分けるには、

まず、労働時間に対する賃金、さらに割増賃金も
キチンと払う。

 


みなし労働時間制だから、

事前に決めた7時間45分しか労働時間として認めないのではなく、

実際に仕事をした時間ならば、

7時間45分を超えた時間も計算に含める。


ただし、時間に対する賃金は低めに設定しておく。

 


13時間働いたといっても、

13時間休みなく、飲み物を補充していたとは限らないですから、

 

車を道路脇に停めて、
飲み物を飲みながらスマホをいじっていた時間も
計上されているかもしれませんし、

車の中でお昼ごはんを食べていた時間も
含まれているかもしれませんし、

喫煙者ならば、車を停めて一服していた時間も
入っているかもしれません。

 


ただ、仕事をしていない時間を一方的に間引いて、

13時間の労働時間を「7時間45分だ」

変えてしまうと、それは賃金未払いになる可能性があります。


それゆえ、

携帯電話などを利用して、
ある程度までは労働時間を把握できるでしょうから、

 

その把握できた時間に関しては労働時間として認め、
その時間に対する賃金は支払う。


ここまでが「労働時間に対する賃金」です。

 

 

次は、「仕事や成果に対する報酬」です。

 

例えば、自販機1台あたりの補充を完了するごとに500円。

1台補充すれば500円。
10台補充すれば5,000円。

 

このように、やった仕事に対する報酬を出します。

これは労働時間に対する賃金とは別です。

 


1時間あたりの給与が仮に1,200円だとして、

8時間で、20台補充したとすれば、

時間に対する賃金は、9,600円。
さらに、仕事に対する報酬は、20台×500円 = 10,000円。

合計で、当日の給与は、19,600円です。

 

 

この数字は一例ですが、

時間に対する給与を少なめに設定し、
やった仕事に対する報酬を高く設定すれば、

なるべく短い時間で仕事を終らせる方が得だと思えます。

 

もし、

6時間で25台を補充すれば、

時間に対する賃金は、7,200円。
仕事に対する報酬は、25台×500円 = 12,500円。

合計で、19,700円。


8時間で仕事を終わらせた人と
6時間で仕事を終わらせた人の
給与はほぼ同じです。

 

さらに、

時間あたりの補充台数が多い人ならば、
単価をアップさせればいいでしょう。

1台500円を800円にするとか。

 

先ほどの例で、
6時間で仕事を終らせる人の単価をアップさせると、

時間に対する賃金は、7,200円。
仕事に対する報酬は、25台×800円 = 20,000円。

合計で27,200円。

 

一方、
時間あたりの補充台数が少ないなら
単価を下げるのもアリです。


1日あたりの補充台数。
1週間あたり、1ヶ月あたりなど。

目標値を決めて、単価を変えていく。

 


ただ、

自動販売機に入る飲み物の量は機種ごとに違うでしょうから、
台数だけで判断するのは不十分かもしれません。


しかし、
労働時間以外のインセンティブが無いと
今回のようなトラブルが起こります。

 

 

労働時間に対する評価は低め。仕事に対する評価は高め。

時間に対する給与は最低賃金を少し上回る程度にしておき、
そこに仕事の報酬を上乗せする。

つまり、2層式の給与にするんですね。


もし、13時間の労働時間になったら
5時間分の割増賃金はチャンと払う。

13時間を7時間45分に圧縮したりはしない。


ただし、

労働時間が長いと、
仕事の報酬単価が下がる。

こういう仕組みも面白いでしょうね。

 


働く時間を減らしつつ、
たくさん商品を補充していく。

 

その結果、

残業が減り、
働く人の給与も増える。


「いかに残業代などの人件費をケチるか」

そういう経営もありますけれども、


「いかにヤル気を出してもらえるか」

を考えて、仕組みを作るのも労務管理です。

 

解決方法としては、

「労働時間に対する賃金」と「仕事や成果に対する報酬」
を分けて

労働時間に対する賃金は低めに、
仕事や成果に対する報酬は高めにする。


これが妥当なところではないかと思います。

 

 

電子マネーオンリーの自動販売機。

電子マネーに対応した自動販売機が増えてきましたが、

電子マネーしか使えない自動販売機はまだ見たことがありません。

 


決済方法を電子マネーに限定すると、

  1. 現金を回収しなくていい(強盗に遭う可能性を下げる)。
  2. 自販機荒らしに遭いにくい(飲み物だけを盗む人は稀)。
  3. 現金差異が発生しない(紛失や業務上横領を防止)。

などの利点があります。

 

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現金で買えなくなるというデメリットはありますが、

電子マネーを持っている人は増えていますし、

電子マネーのみ対応した自販機が登場しても不思議ではありません。


現金を扱わないとなれば、
これで仕事が1つ減ります。


自販機ビジネスの主な作業は、

「商品管理」「現金管理」ですから、

現金管理が無くなれば、

商品管理に集中できます。

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