あやめ社労士事務所 - 労務管理のツボをギュッと押す方法を考えます

会社で起こる労務管理に関する悩みやトラブルを解決する方法を考えます

副業の雇用保険 複数の会社で働いている人の雇用保険はどうなるの?

マルチジョブ

週20時間以上で働いている人は、
雇用保険に加入しているかと思います。

 

1つの会社で働いているだけならば、
その会社を経由して雇用保険に入りますから、
それ以外に考えることはありません。

 


しかし、2つ以上の会社で同時に勤務している人の場合、

 

  1. どの会社で雇用保険に入るのか。
  2. どこの会社でも雇用保険には入らないのか。
  3. 二重に雇用保険に入る(保険料も2件分?)のか。

 

このように、いくつか疑問が出てきます。

 


例えば、

とある所に、浜田さんという人(架空の人物です)がいたとして、


この人は、

会社Aで、週17時間働いている。

さらに、

会社Bでも、週19時間働いている。

 


1週間の労働時間は合計で36時間ですが、


この浜田さんは雇用保険に加入しているのでしょうか。

 

それとも、

加入していないのでしょうか。

 

 

他の会社での労働時間は合算されない。

会社ごとの労働時間というのは、
会社ごとに区分されています。

 

そのため、

会社Aでは、週17時間働いている人と扱われます。

週20時間以上ではないため、
浜田さんは会社Aで雇用保険に入りません


また、

会社Bでは、週19時間働いている人と扱われます。

ここでも、週20時間以上に達していないため、
浜田さんは会社Bでも雇用保険に入りません

 


浜田さん本人は週36時間働いていますけれども、

 

職場が分散しているため、
雇用保険に入る条件を満たさないのですね。

 

 

マルチジョブホルダーも雇用保険に。

2つ以上の職場で働く人を、

「マルチジョブホルダー」

と言います。


世間的には「掛け持ち」と言われることもありますね。


フルタイムの仕事を2つ以上掛け持ちするのは難しいですが、

パートタイムの仕事ならば、2つ、3つと組み合わせることも可能です。


ただ、

職場が分散すると、

先ほどのように、雇用保険に入る条件を満たせなくなることもあります。


そのため、こういう働き方をする人も雇用保険に入れるようにできないか。

政府内でもその点を検討している状況です。

 

 

個人別ではなく、事業所別に公的保険に加入している。

雇用保険だけでなく、労災保険や社会保険も、

個人では加入しておらず、

事業所なり会社を経由して加入しています。


そのため、加入条件を判断する際も、

会社単位で加入するかどうかを判定されるため、


複数の職場での労働時間を合算すると週36時間になったとしても、

雇用保険に加入しない人が出てくるわけです。

 

雇用保険料は安いですから、

先ほどの例だと、

会社A、もしくは会社B、いずれかで雇用保険に入るというのもアリです。


会社Aでの勤務時間を、週17時間から仮に週22時間まで延ばせば、
会社Aを経由して雇用保険に入れます。

 

もちろん、会社Bの方で勤務時間を延ばして、雇用保険に入ることも可能です。

 

 

失業手当が少なくなる?

もし、会社Aで週22時間勤務に変えて、雇用保険に入ったとして、

その後、失業したとすると、失業手当の金額はどうなるか。


雇用保険に入っているのは、会社Aを経由してですから、
失業手当の額は会社Aでの収入が基準になります。


仮に、失業手当の額が、在職時の収入の7割だとすれば、

会社Aでの月収が15万円だとすると、

失業手当は約10万円です。

※実際はもう少し細かい計算があり、支給額にも上限がありますが、内容を簡単にするため、今回は考慮しないものとします。

 

 

ですが、

 

浜田さんは会社Bでも働いており、

こちらは週19時間で、月収13万円だとすれば、

本来は、その7割、約9万円も失業手当として支給されるべきです。

 

つまり、合計で約19万円ほどが失業手当となるのが妥当なところ。

 


しかし、雇用保険に加入しているのは会社Aの方ですから、

失業手当の額を決めるときに、会社Bでの収入は考慮されないのです。


在職中は合計で月収28万円(15 + 13 = 28万円)。

失業すると、失業手当は約10万円。


在職時に比べて、収入が7割ほど減ります。


二重に雇用保険に入ることはできないものですから、
会社Aと会社Bの収入は合算されず、

会社Aの収入だけで失業手当の額が決まります。


これもマルチジョブホルダーが直面する問題の1つです。

 

 

労災保険や社会保険でも同じような問題点がある。

2つ以上の会社で働いている人は、
労災保険に関しては、
どちらの会社でも加入していると扱われます。

 

雇用保険ではいずれか1つの会社でないと
入れませんが、

労災保険は違います。

 


なぜならば、

労災保険は会社が加入するもので、

従業員は保険料を払う必要は無く、

自動的に全員が加入している状態になっています。

 

フルタイム社員、パートタイム社員、学生
などの区分に関わらず、全員が半ば自動的に
労災保険に入っています。

 


ですから、

2つの会社で、どちら側でも労災保険に入ることが可能なんですね。


労災に加入するところは良いのですが、

労災事故(もしくは通勤災害)が起こった時が問題です。

 

 

先ほどの例のように、

浜田さんに登場してもらい、

 

会社Aでは週22時間勤務(月収15万円)、
会社Bでは週19時間勤務(月収13万円)、

 

になっているとしましょう。

 


この前提条件の下、
会社Aで仕事中に怪我をして労災保険を使うことになったとします。

 

その場合、

労災の給付内容は、

会社Aでの収入が基準になります。


そこで、怪我で会社を休むことになり、
労災保険の休業補償給付を受け取るようになったとしましょう。

休業補償給付は、労災が原因となった怪我や病気で休んだ時に、
収入の6割を給付する制度です。


浜田さんの収入は、合計で月収28万円です。

となると、この6割、約17万円ほどが
休業補償給付として支給されるべきところです。

 

しかし、労災事故が起こったのは会社Aです。

そのため、休業補償給付は、
会社Aでの収入が基準になり、

月収15万円の6割、9万円が給付されることになるのです。


このように、
雇用保険の失業手当と同じことが労災保険でも起こります。

 

労災事故が起こった会社側の収入が基準になってしまうため、
本来支給されるべき水準よりも低い給付になってしまうんですね。


これもマルチジョブホルダーの問題点です。

 

 

「1人の人間に職場は1つ」という前提。

 雇用保険、労災保険、

 

さらに社会保険でも、

職場を分散すると、

 

週36時間勤務であっても、
会社経由で社会保険に入らない人が出てきます。

 


公的な制度は、

「1人の人間は1つの仕事だけやっていて、
職場も1つしか無い」

という前提で設計されています。


そのため、

複数の職場で働く人に制度が対応できず、

不具合が発生するのです。

 

パートタイムでの仕事を2つ以上掛け持ちしている人には、
今回の問題点を是非知っておいて頂きたいですね。

 

 

雇用保険も社会保険?

人によっては、公的な保険制度を全てひっくるめて「社会保険」と言っている方がいらっしゃいます。つまり、「雇用保険も社会保険に含まれている」と考えているようです。

公的な制度は複雑ですから、シンプルにまとめて表現したいという気持ちは分かります。

確かに、「社会保険」と言うと、公的な保険制度を総称する呼び方と思っている方も多いですから、雇用保険も健康保険も厚生年金も、すべて社会保険という一言に集約されてしまうのでしょうね。

しかし、実際には、雇用保険は社会保険ではなく、労働保険というカテゴリーに含まれます。

 


労働保険と社会保険で分けると分かる。

公的な保険制度は、大きく分けると、労働保険と社会保険に分かれます。


労働保険とは、労災保険、雇用保険、労働基準法が主なものです。

一方、社会保険とは、健康保険(協会版も国保版も同じ)、国民年金、介護保険、厚生年金、児童手当、老人保健、生活保護などが主なものです。


労災保険は会社が一括で取り扱いますから、会社で働く人が意識するのは、雇用保険が労働保険であるということで、他方で、健康保険と年金、介護が社会保険ということです。

 

労災保険だけに入っている会社があったり、労災保険と雇用保険だけに入っている会社もあったり、労働保険だけでなく社会保険にも入っている会社もあったり、様々です。


全部一緒に混ぜて社会保険と言わずに、労働保険と社会保険に分けると、理解しやすくなります。

 

 

社会保険と雇用保険はなにが違う?内容と加入条件の違い

 

 

副業の所得税と社会保険料を1分でシミュレーション

会社員として働きながら、休みの日には副業。

そういう働き方をする人も増えているかと思いますが、
副業で発生する税金について考えたことはあるでしょうか。

収入を得るとなれば、納税もするわけですが、

自分の副業では確定申告が必要なのかどうか
所得税の納税額はいくらになるのか

これらをイメージできるでしょうか。


確定申告には、
白色申告と青色申告がありますが、
青色申告をした場合に、どれだけ得するか。


こういったことを考える機会はそう多くないのでは。


そういう方のために、
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確定申告のシーズンが近づいている時期なら、
一度、計算してみてはいかがでしょうか。

 

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