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3月は退職の季節 退職した後の健康保険をどうする?

退職後の健康保険

 

1年で最も退職する人が多くなるのが3月。

 

退職するとなれば、
雇用保険や社会保険での手続きが必要になりますし、

 

「退職した後の健康保険をどうしようか」
と考える人が多くなるのもこの時期です。

 

 

退職後の健康保険は3通り

在職中の会社で入っている健康保険からは
脱退(被保険者資格を喪失)しますから、


会社経由で入っている健康保険はもう使えなくなります。なお退職日までは健康保険証を利用できます。

 

その後は、

  1. 今までの健康保険を任意で継続する
  2. 国民健康保険に入る
  3. 家族の健康保険に被扶養者として入れてもらう

この3通りの選択肢があります。

加入先 協会けんぽの任意継続 国民健康保険 家族の健康保険に被扶養者で入る
手続き先 居住地の都道府県の協会健保支部。郵送で手続きできます 居住地の市区町村役場 家族の勤務先を経由
加入条件 退職日までに被保険者期間が継続して2ヶ月以上あること
退職日の翌日から20日以内に任意継続の申請書類を提出すること
居住地の市区町村役場に問い合わせて確認 被扶養者の認定基準になる年収130万円未満(認定対象者が60歳以上または障害厚生年金を受けられる程度の障害者の場合は180万円未満)になっていること
保険料 在職時の2倍(上限額あり)
保険料は2年間変更なし
被扶養者の保険料はなし
前年の所得、加入する世帯の人数等により決定
保険料の見直しは毎年行われます
被扶養者の保険料負担はなし
利用時の自己負担はあります


まず、1の選択肢、今の健康保険を任意継続する場合は、

退職後、住んでいる都道府県にある健康保険協会に手続きします。

 

都道府県ごとに健康保険協会という機関が設置されており、
健康保険の手続きはそこで行います。

 

お手持ちのスマホを使って、

「健康保険協会 大阪」
「健康保険協会 鳥取」
「健康保険協会 宮城」

というワードで検索すれば、
都道府県ごとの健康保険協会のウェブサイトを見つけられます。

 

任意継続の手続きは頻繁に発生するものですから、
ウェブサイトでも大きく掲載されています。

 


健康保険を任意継続するには、

退職日の翌日から20日以内に手続きする必要があります。退職日までは在職時の健康保険証を使えるので、退職日の翌日から任意継続被保険者になる手続きができます。

退職したら、在職時の健康保険料を2倍にした保険料をメモして、居住地の市区町村役場で国民健康保険に入った場合の保険料を見積もってもらいましょう。任意継続の健康保険料、国民健康保険料、両方を比較してどちらに入るか決めます。

 

この手続きは本人が自分で行うもので、

会社に在籍していたときのように、
会社に全部お任せというわけにはいきません。

退職すると、この手の手続きは自分でやらないといけなくなります。


ちなみに、健康保険を任意継続するには、
退職するまでに最低でも2ヶ月は健康保険に加入している必要があります。「退職日までに被保険者期間が継続して2ヶ月以上あること」という条件がありますので。

 

あと、気になる保険料ですが、

在職時は、

会社が半分を支払って、
残り半分を本人が支払う形でしたが、

もう会社には在籍していませんから、
保険料は全部、本人が支払います


ただし、健康保険を任意継続した場合の保険料には上限があります

毎月の健康保険料は、おおよそ月額30,000円ほどが上限になります。
※都道府県ごとに健康保険料は違いますが、保険料が10%であると仮定した場合です。

任意継続被保険者の標準報酬月額の上限には上限があり、令和5年度 2023年度は標準報酬月額の上限は30万円ですので、健康保険料を10%とすると月額30,000円が上限になると概算できます。

 

そのため、在職時に健康保険料が、例えば月70,000円(会社が35,000円、本人が35,000円)の人だと、任意継続被保険者になると保険料が2倍で月額70,000円になるところですが、保険料上限を超えていますから、在職時よりも少し保険料が少なくなります

在職時の本人負担:35,000円
任意継続した場合の本人負担:約30,000円


健康保険料が月70,000円となると、月収は70万円ぐらいの人になるはずです。



他方、在職時の月収が30万円の人だと、

在職時の健康保険料は、
本人負担が15,000円ほどです。


この人が退職して、健康保険を任意継続すると、
保険料は約30,000円ほどになりますから、
在職時よりも保険料は増えます。在職時の2倍ですので。


退職後に健康保険を任意継続すると、
毎月の保険料は最大で30,000円程になると思っておいてください。収入が多かった方は国民健康保険よりも任意継続を選択したほうが保険料が低くなる可能性が高いです。

また、任意継続の健康保険料は原則として2年間変更が無いため、この点でも国民健康保険よりも有利です。例外として、保険料率が変わると健康保険料も変わります。

国民健康保険は前年の所得や加入する世帯の人数で決まりますので、保険料が毎年変わります。

 


「報酬月額」というのは、いわゆる月収のことです。

「標準報酬月額」とは、報酬月額から決められた数字です。
一定の報酬月額レンジを平準化して出したものが標準報酬月額です。
報酬月額の平均値みたいなものですね。

この標準報酬月額に保険料率を掛けると、健康保険料を算出できます。


会社には標準報酬月額が健康保険協会から通知されています。

退職する人に標準報酬月額を伝えてあげると、
退職後に健康保険を任意継続すれば保険料がいくらになるかを自分で調べられます。

 

 

高額療養費制度を利用している方は任意継続の方が良い場合も

入院して手術を受ける場合に利用する際に使われる

「高額療養費制度」

ですが、

 

数年に1回という頻度ではなく、
もっと多頻度で制度を利用している場合、

「多数回該当」という扱いになり、

さらに自己負担が減るようになっています。


例えば、10年に1回ぐらいで手術を受ければ、
自己負担は10万円のところ、

頻繁に高額療養費制度を利用すると、
自己負担が5万円になるようなイメージです。

この負担額はあくまで仮定のものですが、


健康保険には

「多数該当高額療養費」という

通常の高額療養費制度とは別のメニューがあります。


高額療養費制度を使った月数が年に3月以上ある場合、
4月目以降の自己負担額がさらに少なくなるというものです。

高額の負担がすでに年3月以上ある場合の4月目以降(多数該当高額療養費)全国健康保険協会

健康保険を任意継続すると、この多数該当のカウント数を引き継げるため、
在職時から高額療養費制度を利用していた方は、
任意継続する方が医療費を抑えられます。

 

 

ちなみに、退職後に、入院や手術をする場合は、

「限度額適用認定証」

を申請して、それを病院の窓口に提出すると、
病院側で高額療養費制度の処理を済ませてくれます。

 
立て替え払いして、後から高額療養費を請求しなくて済みますから、
入院、手術を予定している方は

事前に限度額適用認定証を申請すると良いでしょう。

 

入院するとなると、病院から入院の準備に関する書面や用意するもの(パジャマやスリッパ)を、入院の2週間前ぐらいから案内されるかと思います。

 

この案内を受けてから、限度額適用認定証を申請すれば、
4日ほどで認定証が届きます。

 

もちろん、入院前でも認定証を申請できます。

 

 

国民健康保険の窓口は市町村

任意継続の健康保険は健康保険協会で手続きしますが、
国民健康保険の手続きは市町村、市役所や町役場になります。

会社都合で解雇されたときは、国民健康保険料を軽減する制度もありますから、
国民健康保険に入る場合は市町村の窓口で相談するといいでしょう。

 

 

被扶養者だと社会保険料は無し

家族の健康保険にくっついて加入するのが被扶養者制度です。

 

扶養で健康保険に入ると、

「家族の健康保険料が増えるんじゃないか?」

と思う方もいらっしゃるでしょうが、

 

被扶養者の保険料はありませんし、
家族を扶養に入れたからと言って自分の健康保険料が上がることもありません

 

ただし、医療機関で診察や治療を受けた場合は、
被扶養者であっても自己負担(3割負担など)はあります。


被扶養者になるには、

  • 年収130万円未満で、
  • 健康保険に入っている家族の年収の1/2未満

という条件があります。

 

ただし、この条件はあくまで形式的なもので、

世帯の生計実態を勘案して、
上記の条件に当てはまらない場合でも
被扶養者となる場合もあります。


被扶養者とは? (全国健康保険協会)
 

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