国民健康保険料が上がるが、影響を受けるのは上限値に貼り付いている人。

 


国保料上限4万円上げ=高所得者の負担増―厚労省

 厚生労働省は2018年度、自営業者らが加入する国民健康保険の保険料について、年間上限額を4万円引き上げ、現行の73万円から77万円に見直す方針を固めた。引き上げは2年ぶり。医療費の高騰を受け、各市町村は毎年保険料を引き上げている。年間上限額を高く設定することで、高所得者の保険料負担を増やし、中所得層の負担増を一定程度抑える狙いがある。



上限を振り切っている人に影響がある。


全体の保険料を上げるのではなく、保険料の上限額を引き上げるという点が変更どころです。

保険料率を10%から11%に上げるというような変更だと加入者全員に影響があります。しかし、保険料の上限額を引き上げるとなると、上限値に達している人に限定して影響が出ます。

今回は国民健康保険の保険料ですので、例として大阪市の国民健康保険を挙げます。


平成29年度の国民健康保険料 大阪市


平成29年度、大阪市の国民健康保険料は、医療部分の保険料が最大で年間54万円。さらに、後期高齢者支援部分が最大で年間19万円。この2つを合わせると年間で最大73万円になります。これを77万円に引き上げるというのが今回の変更点です。

なお、40歳以上の人は介護部分が上乗せされるので、年間で最大93万円になります。

年間73万円を1ヶ月あたりに換算すると約6.1万円。これが年間77万円になると、月あたりで約6.4万円になります。

 



社会保険料には上限があり、税金には上限がない。


国民健康保険料には上限があり、どれだけ収入が増えても、保険料は年間で77万円です。

例えば、年収1,000万円の人と年収5,000万円の人を比較すると、収入では5倍の差がありますが、国民健康保険料は同じです。収入に占める国保の保険料は、前者だと7.7%、後者は1.54%に下がります。

どちらの人も、国民健康保険料の最大額を上回っているため、最高限度額の77万円で保険料はストップします。



税金に上限は無いが社会保険料には上限がある。

以前にも書きましたが、社会保険料には上限があります。国民健康保険だけでなく、会社員が加入する協会けんぽ、さらに厚生年金の保険料も同様に上限があります。それゆえ、ある程度まで所得が増えると、社会保険料がフラット化します。

今回のように、保険料の上限を引き上げると、年間73万円で貼り付いていた人が77万円まで上がる余地が出ます。年間で4万円増えるわけですから、月あたりでは3千円ちょっとです。


所得に比例して増えるのが社会保険料ですが、無制限に増えるものではなく、上限があります。

年金や健康保険には受けられる利益に限度があります。収入が増えたからといって、病気しやすくなるとか、怪我をしやすくなるというものではありませんから、上限なしで保険料を集めるのは不合理というわけです。

一方、税金には上限がありません。税率20%というと、上限なしで20%です。

1,000万円で200万円。
1億円で2,000万円。
100億円で20億円。

上限なしのパーセンテージ。この点が社会保険と税金の違うところです。

 

 

山口正博 社会保険労務士事務所
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