休暇を上手く利用すると、働く人は満足する


2017年10月1日から、労働時間等見直しガイドラインが変更され、休暇の扱い方、キッズウィークへの対応、子の看護休暇に関する部分に変化があります。

まず、子供や地域のお祭り、イベントに合わせて年次有給休暇を取れるようにガイドラインでは配慮を求めています。

 

イベントに合わせて休暇を取る


以前に書きましたが、運動会の日程に合わせて有給休暇を取れるようにする良いと提案しました。

運動会に行くなら計画有給休暇で。


特別な理由がなくても有給休暇は取れますけれども、やはり何らかの理由があったほうが有意義でしょう。

運動会が実施されるシーズンというと秋ですが、学校によっては春に実施するところもあります。子供を持つ親としては、我が子の運動会は見に行きたいもの。走ったり、綱を引っ張ったり、ダンスしたりと、普段は見れない色々な姿を見れるものですから、仕事で見に行けないのは悲しい。

運動会の実施日程は事前に分かりますので、その日程に合わせて有給休暇の取得日も合わせておけば、運動会を見に行ける本人は嬉しいでしょう。こういうところで職場に対する満足感が高まって、もっと仕事に打ち込むし、会社を辞めようという気も起こりにくくなります。

学校のイベントというと、運動会だけでなく、授業参観、入学式(入園式)、卒業式(卒園式)と親が関わる行事があります。こういう行事に休暇を合わせていくのもアリです。


秋というと各地でだんじりを曳くイベントがあり、10月は各地で賑やかな雰囲気になります。神無月とも言われ、神社で祭りがないから神無月と言われている説もありますが、あちらこちらで太鼓がドンドン、「エイサ!、ホイサ!」「ヨイ!、ヨイ!」と声を上げていますから、祭りがないという感じではありませんね。

だんじり祭りに参加する日に有給休暇を取れるようにする。そういう職場も社員から好かれるでしょう。例えば、京都では5月に葵祭、7月に祇園祭、10月に時代祭と祭りが多い町で、これらの祭りと同じ日程で有給休暇を取れるというのも良いでしょうね。

夏は花火大会。10月にはハロウィン。12月はクリスマス。イベントを探せばいくつもありますから、これらに有給休暇の日程を合わせていけば、休暇の消化が進みます。

 


 

職場の人が市議会議員に立候補


公民権行使への配慮もガイドラインに含まれています。公民権行使というと選挙での投票を思い浮かべますが、当日投票だけでなく期日前投票(投票日の2週間ぐらい前から)もできますから、仕事を休んで投票に行く必要はありません。

公民権には、投票する選挙権だけでなく、投票される側、つまり政治家に立候補する被選挙権も含まれています。市町村議会の議員に立候補するとか、都道府県議会議員や都道府県知事に立候補する、あとは衆議院議員や参議院議員に立候補する場合も公民権の行使になります。

例えば、同じ会社で働いている人が、来月の市議会議員選挙に立候補するとなると、選挙活動をしないといけなくなりますから、この場合に会社は配慮しないといけないわけです。駅前での演説のために仕事を休むこともあるでしょうし、辻立ちで市民と握手もするでしょうから、そういった活動のための時間を作れるようにする。

「公民権の行使 = 選挙で投票する」と思いがちですが、選挙に立候補して活動するのも公民権行使に含まれる点は知っておきたいところです。

 

 

 

キッズウィークは2018年4月から


キッズウィークというのは、長期の休みである夏休みや冬休みを減らして、他の時期に休みを回す施策のことです。一例としては、夏休みが40日あるとして、そのうち10日を6月に持っていき、さらに10日分を10月に持っていくというものです。あと、冬休みもありますが、こちらは2週間ほどしか期間がありませんし、クリスマスから正月明けまでですから、日数を減らして他の時期に持っていく余地はなさそうです。となると、キッズウィークの休みは夏休みから捻出する可能性が高いでしょう。

学校にクーラーが設置されて、夏の暑い時期でも快適に授業を受けられるようになったため、夏休みを短縮しても大丈夫だろうと考えたわけです。

私が小学生だった頃は、団扇代わりに下敷きでパタパタと顔を扇いで過ごしたものですが、今は夏の暑さがキツイんです。扇風機もクーラーも無く、下敷きパタパタでやり過ごせるものではなくなりました。

夏休みというと40日間のバカンスというイメージでしたが、キッズウィークが導入されると、まず夏休みから減らされるでしょうから、ちょっと寂しく感じます。

キッズウィークに合わせて親も休むように求めています。ただ、親も一緒に休む必要が有るのかどうかは疑問です。

現状の夏休みでも、親は普通に仕事をしていて、子供だけで遊ぶのが当然のようなものですし、夏休みだからといって親が仕事を休んでいるなんて聞いたことがありません。

親が仕事に行くから子供は学校に行っている。そういう関係ですから、子供が休みだからといって、ほいそれと連休を取れるわけではありません。

自宅の鍵を持って学校に行く、そういう子を「鍵っ子」と言うらしいです。鍵っ子などと聞くと、親が子育てをいい加減にしているようなイメージを抱かせますが、私が小学生だった頃はごく普通のことでした。私自身が鍵っ子でしたし、同級生でも鍵っ子はたくさんいました。

子供が帰ってくるのを家で待っていられる人ばかりではありませんし、親には親の都合なり自分の時間がありますから、もう小学校になった子供をずっと子守しているわけにはいかないのです。

キッズウィークだからといって、親も一緒に休むというのは、現実にはなかなか難しいところです。授業参観や運動会は単発の日程ですからいいとしても、仮に6月や10月に子供がキッズウィークで10連休になっても、一緒にいれるのは土日ぐらいではないかと思います。

ただ、休みを分散するという点には賛成です。夏休みを6月や10月に分散させれば、休みが少ない時期に長期休みが入るのですから、これは良いでしょう。言うなれば、ゴールデンウィークが何度もやってくるようなものです。子供目線ではキッズウィークは歓迎ですけれども、親目線だと事情は変わります。

 



有給休暇は働く人にとって最大の関心事の1つ


働く人が最も関心を持っているポイントと言っても過言ではない部分が年次有給休暇です。

給与を貰いながら休めるわけですから、そりゃあ興味を持つのも当然です。

  • 有給休暇を使いやすい会社か。
  • 使いたいときに有給休暇を使えるか。
  • 休暇の取得を拒まれないか。

 

どこで働くかを決める際に、これらは重要なポイントですが、求人段階で有給休暇について情報を出している会社はまず無いでしょう。

「有給休暇制度有り」みたいな文言を求人ポスターに表示している会社もあります。有給休暇の有無は会社単位で決められるものではなく、法律に基づく休暇ですから、有給休暇制度が有るのは当たり前です。ですから、「有給休暇制度有り」などと当たり前のことを書いても意味は無いのです。

例えば、有給休暇の消化実績を求人情報として掲載すれば、これは効果がありそうです。「半年間で有給休暇を取得した社員の割合は96%」とか、「年間の有給休暇取得日数は平均で10日」とか、「運動会や授業参観など、学校の行事に合わせて有給休暇を取れます」など。

数字を入れるとグッと感情に響きますね。子供がいる人には、学校の行事に連動させて休暇を取れるのもポイントが高いです。

もちろん、ウソの情報を書くのはダメです。実際のデータを示して、「あぁ、この会社は有給休暇を使いやすいんだな」と思ってもらう。仕事をする場所を探す人にとって関心の高い事柄は何なのか。有給休暇に関してユニークな仕組みを提示すれば、確実に食いついてくる人はいると思います。

 



入社から早い段階で有給休暇を使えるようにする方法


改定後のガイドラインでは、初めての年休を付与するまでの継続勤務期間を短縮するよう求めています。

現状では、6ヶ月間(これが初めての年休を付与するまでの継続勤務期間)の継続勤務で10日の有給休暇が付与されます。この半年の期間を短縮するとなると、例えば3ヶ月で5日、6ヶ月時点で5日、というように分散させる方法がありますね。

半年まで勤務せずとも、入社から3ヶ月の段階で先に5日分を付与して、残りの5日分を6か月時点に付与する。この方法だと、勤務期間と休暇日数が比例して対応していますから、導入は容易です。

有給休暇を前借りするような形、例えば入社時点で10日分の有給休暇を与えてしまうとなると、6ヶ月経過するまでに退職してしまった場合に困ります。使ってしまったものは取り返せませんし、有給休暇を取得した日の給与を返還せよというのも難しいところです。付与された休暇を在職中に使っているのですから、不当利得とは言いにくい。会社がそういう仕組みを用意した結果ならばなおさらです。

ゆえに、休暇の付与日を前倒しするならば、先程のように3ヶ月時点で5日、6か月時点で5日というように、期間と休暇日数を比例配分するのが妥当です。他にも、勤続2ヶ月の時点で3日、4か月時点で3日、6か月時点で残りの4日、というように分けるのも一案です。

勤続6ヶ月に達するまでに退職されても不都合が無いようにするのがコツです。

 

さらに、年次有給休暇の最大付与日数に達するまでの継続勤務期間を短縮するようにという要求もガイドラインに含まれています。

年次有給休暇の最小付与日数は10日で、最大付与日数は20日です。入社から6か月時点では10日ですが、勤続年数が増えていくと、付与日数も11日、12日、14日と増えます。勤続6年6ヶ月となると、付与される休暇日数は20日になります。

「年次有給休暇の最大付与日数に達するまでの継続勤務期間を短縮する」というのは、現状では6年6ヶ月で20日のところ、例えば5年6ヶ月で付与日数が20日に達するというものです。

一例としては、4年6ヶ月以上勤務した人は、一律に付与日数を20日にするというのも1つの方法です。


勤続6ヶ月:10日
1年6ヶ月:11日
2年6ヶ月:12日
3年6ヶ月:14日
4年6ヶ月:16日
5年6ヶ月:18日
6年6ヶ月:20日

継続勤務期間と年次有給休暇の付与日数の関係は、現状ではこの通りです。


これを、

勤続6ヶ月:10日
1年6ヶ月:11日
2年6ヶ月:12日
3年6ヶ月:14日
4年6ヶ月:20日

とするわけです。

5年6ヶ月と6年6ヶ月のメニューを廃止して、4年6ヶ月時点で上限の20日に達する。


あくまでこれは一例ですが、期間を前倒しして上限日数に達するようにする方法だと、仕組みが分かりやすいので社内での説明が容易です。

 

 


子供が熱を出して学校を休んだときに取れる休暇


休暇というと年次有給休暇がまず頭に思い浮かびますけれども、子供を看護するための休暇も法律で用意されています。

子の看護休暇」というもので、育児介護休業法の16条に書かれています。1年に5日まで利用できる休暇です。

子供がインフルエンザで学校を休んでいる。怪我をしたので病院に連れて行く。入院している子供の世話をする。こういう場面で取得できるのが子の看護休暇です。ちなみに、子供は小学校に入るまでが対象ですので、保育園や幼稚園、認定こども園などに入っている子供を想定してください。例えば、小学2年の娘が熱を出したという場合は、子の看護休暇の対象ではありません。

知らない人も多いはずで、有給休暇は知っているけど、そういう休暇制度があるとは知らない。初めて知った。そういう方もいらっしゃるでしょう。

会社ごとに決める休暇ではなく、公的に用意されている休暇制度なので、申し出は拒めません。申し出を受けたら、「ウチにはそんな休暇ないよ」と答えないようにしたいところです。

日数は1年に5日まで。年次有給休暇とは違い、無休でもいい休暇で、会社としては対応しやすいものです。

子の看護休暇は、入社から6ヶ月未満の人を対象外にできますが、この期間を短縮するようにガイドラインでは要求しています。

この要求への対応としては、先ほどの有給休暇の扱いと同じような方法を用います。6ヶ月の勤続期間で5日分の子の看護休暇を取れるならば、例えば勤続3ヶ月時点で3日、6か月時点で2日(合計で5日分に)、というように時期を分散して子の看護休暇を使えるようにします。


小学校に入る前の子供がいる女性には関心が高いところでしょうから、女性を採用したい会社はこういうところを求人でアピールすると良いでしょう。

「小学校に入る前のお子さんが病気で学校を休んだときは、会社を休めます」という文言を求人情報に入れておけば、女性の方を重点的に集めたい会社には効果があると思います。

当然ですが、子供に合わせて会社を休めると求人情報に書いたからには、その通りにしないといけません。入社した後に、実際は休めないというのは求人詐欺です。

小さい子供がいると、仕事をしたくても、嫌がられるんじゃないかという抵抗感があって、働けない女性も多々いらっしゃるはずです。そういう人をあえて採用するのも良いのではないでしょうか。

子供に合わせて働ける職場など探してもなかなか無いですから、「小学校に入る前のお子さんが病気で学校を休んだときは、会社を休めます」と求人情報に書かれていたら興味を持つでしょう。その後、実際に仕事を始めて、子供を理由に休めると、職場に魅力を感じて、その後も長く働いてくれる可能性が高まります。

人材不足などと言われていますけれども、ちょっとした工夫で人は集まりますし、そのための費用や手間もさほどではありません。

 

 

山口正博 社会保険労務士事務所
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