何のために三六協定は存在するのか

読売新聞に是正勧告 大阪本社と北陸支社、長時間労働で

 読売新聞大阪本社(大阪市)と同北陸支社(富山県高岡市)が社員に違法な長時間労働をさせたとして、昨年から今年にかけて、労働基準監督署から労働基準法違反で是正勧告を受けていたことがわかった。

 関係者によると、大阪本社は昨年7月、天満労基署(大阪市)から是正勧告を受けた。一部の社員に、労使が協定で定めて労基署に届け出た1カ月の時間外労働の上限を3時間超える83時間の時間外労働をさせたことや、社員と労働契約を結ぶときに労働条件を通知する書面を交付していなかったことが労基法違反にあたると指摘されたという。

 
三六協定で決めた時間外労働、つまり残業時間の上限時間をオーバーしていたというのが話の内容です。

まず、残業には2つの種類あります。1つは、決まった仕事の時間をオーバーした場合。もう1つは、法律で決まっている労働時間の上限をオーバーした場合です。

例えば、10時から15時までの勤務シフトで働いている人がいるとして、何らかの理由で15時17分まで仕事を延長したとします。この場合、15時をオーバーした17分は残業です。ただし、この場合は、割増賃金である残業代は出ません。17分相当の基本賃金は出ますけれども、25%の割増部分は無しです。これは前者の「決まった仕事の時間をオーバーした場合」に該当します。

一方、10時から19時までの勤務シフトで、休憩時間が1時間ある場合。予定通りに仕事が終われば労働時間は8時間ですが、何らかの理由で19時33分まで延長したとしましょう。この場合は、19時をオーバーした33分が残業になります。さらに、1日8時間を超えた分は「法定時間外労働」と言われ、割増賃金が付きます。つまり、33分相当の基本賃金、さらに25%割増の賃金も上乗せされるというわけです。このケースは「法律で決まっている労働時間の上限をオーバーした場合」に該当します。

法律で決めている労働時間をオーバーする場合は、予め労使協定である三六協定を締結して、何時間まで残業できるのかを決めておきます。

例えば、1日あたりでは2時間まで。1ヶ月あたりでは45時間まで、というように残業時間に上限を設定するのです。

協定で決めた残業時間数をオーバーすると、今回のように労働基準監督署から是正指導を受けてしまいます。


「三六協定を締結して、残業代をチャンと払えば、ナンボでも残業できるんやで」というのは誤解です。三六協定も残業代も必要ですが、協定で決めた残業時間数の上限を守ることも必要です。


あとは、労働条件を書面で提示していなかったという点も指導されていたようですが、働く条件は書面で残すのが義務になっています。

履歴書を持ってきてもらって、面接をして、「じゃあ、いつから勤務できる?」という雑な採用はもうできません。

書面の交付はフルタイム社員を採用する場合に限るものではなく、学生などのパートタイマーを採用する場合も労働条件を書面で出す必要があります。

 

 

 

山口正博 社会保険労務士事務所
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