独身税はすでに存在する。

 

独身者に課税する「独身税」なるものが話題ですが、似た話題は時折、発生しています。

2015年の2月には「子無し税」というものが話題になって、これは今回の独身税とほぼ同じものです。


子供がいない人は巧妙に損をするようになっている。(Tue.20150224)

子供がいないのだから、経済的負担が少ない。だから、子供がいる人よりも多く負担するべき。言いたいところは概ねこれと同じです。



独身税は本当に悪なのか、本当に取られるのか少しまじめに考えてみる

子無し税にせよ、独身税にせよ、ネットでバズるために作り出したネタでしょうが、扱いやすい話題であるため食いつく人もいます。



かほく市ママ課の「独身税提案」報道 市は「事実でない」と否定、苦情に困惑

その後、独身税など提案していないと火消し処理が施され、これでお開きという雰囲気です。


確かに、子供がいれば時間やお金がかかりますから、独身者に比べて、不利と言えば不利です。既婚で、子供が2人もいれば、「独身の奴らは気楽でいいよな。子供の世話をしないでいいし、経済的にも余裕があるし、何だかムカつくな」と。こんな気持ちになるのも分かります。

だから、「独身者に税金を払わせよ」と言いたくなるわけです。


しかし、独身税なり子無し税が無くても、現状でも独身者はすでに不利な扱いを受けています。

例えば、児童手当。中学生までの子供に対して毎月15,000円から5,000円の給付があります。さらに、義務教育の費用も税金から支出されているので、これも子供がいない人から子供がいる人へ所得が再分配されています。

また、税金面では、扶養控除があります。子供がいれば扶養枠を利用して税負担が軽減されますので、これも子供がいる家庭への恩典です。

さらに、健康保険の被扶養者制度もあります。被扶養者だと毎月の健康保険料は0円ですので、これも子供がいる家庭に有利な仕組みです。

あとは、産休時や育休時の社会保険料免除(保険料は免除だが、事務処理では保険料を支払ったものと扱われる)もあります。子供がいなければ当然ながら免除はありませんから、これも独身者には不利な仕組みとなっています。

家族なり子供がいる家庭が優遇される仕組みは充実しており、独身者から所得が再分配される仕組みがすでに構築されています(課税 ≒ 所得再分配)。このような経済的ペナルティは、実質的に独身者に対する課税と考えられますし、もしくは子無し税と考えてもいいでしょう。


「独身者に税金を」というのは、既婚者の独身者に対する卑屈な感情が発露した形だと思います。

子供がいて家庭をもつ人がどれほど優遇されているか。これを知れば、子無し税や独身税を設けるべきとは思えなくなります。

 

 

山口正博 社会保険労務士事務所
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