労働時間をキチンと把握して、残業代もキチンと支払う。結果、残業が減る。

 

労働時間を正確に把握した方が残業が減る


仕事の時間を正確に把握し、残業代も正しく支払うと、残業が減る。このような興味深い話が『過労死等に関する実態把握のための労働・社会面の調査研究事業報告書』によって分かりました。


http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000105655.html
過労死等防止対策に関する調査研究について


厚生労働省のウェブサイトに調査結果が掲載されています。全体版、分割版、概要版と3種類ありますが、ザッと結果を見たい場合は概要版に目を通すと良いでしょう。

http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11200000-Roudoukijunkyoku/0000174360.pdf
平成28年度厚生労働省委託 過労死等に関する実態把握のための労働・社会面の調査研究事業報告書 概要


例えば、労働時間を正確に把握していると、1週間あたり6.13時間もの残業が減るとのこと。正確に労働時間を把握していない場合を0時間として、6.13時間ですから、これは興味深い数字です。

正確に仕事の時間を把握すると、人件費が増えて会社は損をするようなイメージがありますが、チャンと時間を把握したほうが良さそうですね。

また、有給休暇の取得日数でも、労働時間を正確に把握していない場合を0とすると、それを正確に把握している場合は1.93日、休暇の取得日数が増えています。


残業手当の支払いでも、全額キチンと支払っている場合は、1週間あたりの残業が0.56時間(30分強ほど)減っています。一方、残業代が一部だけ支給されている場合は、週あたりの残業時間が1.36時間増えています。

有給休暇の取得日数と残業代支払いの関連でも、残業代を全額支給されていると、休暇の取得日数が年間で1.35日増えています。一方、一部支給だと、-0.02日なので、ほぼ変化なしです。


仕事の時間をキチンと把握し、残業手当もキチンと払うと、このような結果が出るのですね。


残業の手続きでも、本人が残業を申請する場合よりも、所属長(上長など)が指示した場合に残業を認めるようにすると、週あたりの残業時間が約24%減ります。つまり、簡単に残業ができてしまう環境だと残業が増えて、手続きがメンドクサイと残業が減るというわけです。


もちろん、調査では表面化していない労働の実態もあるでしょうし、実際は残業していても表には出ていないためカウントされていない。そういう面もあるでしょうが、キチンとした労務管理は、会社側にも労働者側にも程良いプレッシャーをかける効果があるのではないかと思います。

 



メンタルヘルスに影響を与える残業時間数は10時間が分岐点


週あたりの残業時間がメンタルヘルスに与える影響では、週10時間までの残業だと悪い影響は無く、10時間を超え始めるとメンタルヘルスに影響が出始め、週に30時間以上の残業が生じると急激にメンタルヘルスへの影響が悪化する傾向があります。

この結果から考えると、全く残業をやりたくないというわけではなく、週に10時間までならば残業してもいい、という心理が伝わってきます。

 

マジメな会社がトクをする社会に変わっていく

どんぶり勘定で時間を管理していると、残業が増える傾向がある。一方で、正確に時間を把握していれば残業が減る。これは嬉しい傾向です。

正しく労務管理すると会社は損をするかのようなイメージがありますけれども、会社がテキトーなことをすれば、働く側も同じようにテキトーなことをしたくなるものです。

いい加減なことをする会社が損をして、マジメな会社が得をする。そういう社会に変わっていって欲しいですね。

 

 

山口正博 社会保険労務士事務所
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