納期を守るために残業するという不思議。

 


「今月末までに、注文を受けた製品を1万個、完成させて納品しなければいけない」

何かモノを作っている会社だと、こういう状況に遭遇します。モノと一口に言っても、色々あります。車や電話機、家、扇風機など、最終製品を納品する場合があれば、車のブレーキやエアコン、エアバッグを作る、窓ガラスだけを作っている、扇風機のモーターを作っている、そういう会社なり企業も存在するでしょう。

発注先から注文を受けたものを、約束通りに作って、期日までに納品する。商売ではごく普通なことですし、当たり前なことでもあります。

注文を受けたということは、契約も締結しているわけですから、その約束を破ってしまうと、再度注文してもらえなくなる。そういうリスクがあるわけです。今月末までにと約束したのに、翌月10日になって、「すんませ〜ん、遅くなりましてぇ〜」と半笑いで品物を持っていけばどうなるか。その後は、推して知るべしです。

本業の商売ではキチンと納期を守るんですね。ほとんどの人が。

では、自らの職場なり会社の中ではどうなのか。

「今月末までに1万個だぞ。間に合わせるぞ。いいな」と発破をかける。間に合わなければ、今後の取り引きができなくなるのですから、真剣です。

では、そういう職場では何が起こるか。納期に間に合わせるために、仕事の時間を延長して対応するわけです。

確かに、注文が多いのは結構なことですし、商売も繁盛しているのですから、いつもよりも時間を投入して仕事をするのは理にかなっています。

ただ、残業をして納期に間に合わせるという対応法に不思議な感覚を覚えます。どういうことかというと、「納期に間に合わせる」というのは、つまり時間を守るということ。今月末までにというリミットがあるので、それに間に合うように生産していく。一方、残業をするということは、時間を破る行為です。

つまりは、時間を守る(今月末という納期がある)ために、時間を破っている(決まった時間を超えて仕事をしている)。そういうヘンな状況なのですね。

残業しているということは、納期を守っていないということ。納期を守るということは、指定した日時までに仕事を終えているということ。つまり、納期を守るならば、時間も守っているはず。そう考えるのが理論的ですし、一貫性があります。

もちろん、注文が多くて儲かっているので、割増賃金もチャンと支払って、36協定で決めた時間を超えない範囲で残業をしているならば、何かイチャモンを付けられるところはありません。

残業時間の上限を決めるのが36協定。

ですが、時間を守るために、時間を破るという変な感覚は残りますね。

 

 

山口正博 社会保険労務士事務所
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