あの残業、なかったことに。それ、無理です。

 

「今日は残業になっちゃったけど、明日の勤務シフトは時間を短くするよ」

こういう対応、ありますよね。時間が長くなったので、他の日の時間を短くして、帳尻を合わせる。なるほど、合理的です。

具体的に書くと、こういう感じ。

(予定)
火曜日:10:00 - 17:00
水曜日:10:00 - 17:00

※話を簡単にするため、ここでは休憩時間は省いて考えます。

予定では、火曜日は7時間、水曜日も7時間。そういう勤務シフトでした。



ところが、実際の勤務は、

火曜日:10:00 - 19:00
水曜日:10:00 - 15:00

となりました。

火曜日の時間が2時間長くなり、その代わりに水曜日が2時間短くなりました。2日間通しての時間は予定と同じ14時間ですけれども、時間の配分が変わっているんですね。

帳尻を合わせるという点では、他の日と勤務時間をやりくりするのは良いのです。しかし、火曜日の勤務時間が2時間増えるとなると、合計で9時間勤務になります。そこで問題になるのが残業の処理です。

「火曜日は2時間長くなったけど、翌日の水曜日は2時間短くするわけだから、火曜日は実質的に7時間勤務だろう。だったら、残業はなかったことにできるんじゃないか?」このように考える人もいます。振替勤務の考え方を応用したような処理です。

確かに、火曜日の2時間を補填するために、水曜日を2時間だけ短縮したのだから、2日間を通してならば、火曜日の勤務時間は7時間であると言えなくもないです。

しかし、実務では、火曜日は1時間の残業が発生したと扱います。1日8時間の上限を1時間超えたので、その1時間は割増賃金である残業代が必要です。翌日、水曜日の時間を短くしても、火曜日の残業がなかったことにはできないのですね。


もし、火曜日に、10時から18時まで、つまり17時から1時間だけ延長し、翌日の水曜日の時間を1時間短縮する。これならば火曜日は残業にならないですし、振替の処理としても問題ないところです。

ただ、8時間を超えてしまうと、もうその時点で残業が確定してしまうので、先ほどのように19時まで働いて、翌日は2時間短縮するという処理方法だと、残業を回避できなくなります。


後から勤務時間を短くして、残業をなかったことにはできない。この点は知っておいて欲しいところです。

 

 

山口正博 社会保険労務士事務所
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