有給休暇の買い取りは無法地帯

 

有給休暇が時効になったから休暇を買い取ってほしい。もうすぐ退職するから残った有給休暇を買い取ってほしい。

本来は売り買いする対象ではないのですが、時効で消滅した有給休暇や退職時に残った有給休暇の場合は例外的に買い取りは可能です。

ただし、有給休暇の買い取りについては、法律で決まりがありませんし、就業規則で買い取りについてルールを決めているなんてこともないでしょう。


時効で消滅した有給休暇を買い取れと言われても、そもそも消滅したものをどうやって買い取るのかという問題があります。無くなったものは買えない。当たり前の話ですが、時効になった休暇を買い取るという理屈はなかなか難しい話です。かといって、時効になる前には買い取りできません。

また、買い取るとしても、その単価をどう設定するのかも問題です。極端な話、1日1円で買い取っても差し支えないのですから、10日分の有給休暇で10円などと言われてしまいます。

退職時に残った有給休暇も同様です。退職した後は有給休暇も消滅しますから、買い取るものがありません。


有給休暇を買い取るという発想自体が間違いで、在職中に休暇を全て消化すればこのようなことを考えなくていいのです。

月に1日もしくは2日。コンスタントに使っていれば有給休暇はなくなります。付与日数は最大でも年に20日ですから、月に2日ずつ使っていれば年に24日ですので、1年待たずに全て消化します。


もし、時効になる有給休暇があるならば、用途を限定して再利用できるようにするのも1つの手です。例えば、傷病時に利用できる有給休暇として積み立てておく。通常の有給休暇が全部なくなって、傷病のために仕事を休むときに傷病用の有給休暇(過去に時効消滅した休暇を積み立てたもの)を利用できるようにする。

時効にならないのが望ましいですが、どうしても休暇が残った場合へのフォローとして、用途を限定した有給休暇として使っていくのも選択肢の1つです。


退職時に残った有給休暇は、在籍したまま有給休暇だけを消化することで処理できます。例えば、休暇が12日残っているならば、退職日を12日遅らせて、休暇だけを集中的に消化し、残日数が無くなった時点で退職とすればいいのです。

有給休暇を買い取るルールは法律では決められませんし、就業規則でも決められません。そのため、1日分の休暇を1円で買い取るなどという無茶苦茶な扱いですら通りかねません。だから、有給休暇を買い取るという考えは間違いです。

 

 

山口正博 社会保険労務士事務所
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