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有給休暇の買い取りは無法地帯 在職中に使い切るように工夫するのが正攻法

有給休暇買い取り

退職までに年休を使い切れないならオカネに変えちゃえ?

企業が社員の有給休暇を買い取れるように、政府が制度を変更しようと検討しているみたいです。

有給休暇買い取り解禁すれば取得日ゼロの人は年収37万円増も

解雇特区のときのように、噂が先行して、詳細が不明なので、詳しいことは分かりませんが、有給休暇を買い取れる仕組みを作ることで、収入を増やすのが目的とのこと。

とはいえ、具体的に決まっていないことを、アレコレと言っても仕方がないのですけれども、もし実現するとしたら、どういう条件で有給休暇を買い取るのか。この点には興味があります。

有給休暇を利用しにくい職場で働いている人からすれば、「使えない休暇ならば、いっそのこと現金化できたほうがいいじゃないか」と思うこともあるでしょうから、そういう要望に基いて提案された施策なのかもしれない。

確かに、有給休暇は金銭換算できますから、買い取ろうと思えば、それは可能です。

ただ、有給休暇の制度は、収入を減らさずリフレッシュするために休暇を取得するのが主眼です。にもかかわらず、実際に休暇を取得せずに、換金してしまうのは、制度の趣旨には合わないとも思えます。

使えない有給休暇は企業が買い取れるようにするべきか。それとも、現金化せずに、あくまで休暇として使うようにするべきか。

悩ましいところです。

年次有給休暇を普段から使える職場ならば買い取る必要はないはず

有給休暇は権利としてあっても、実際には使えない状態にあり、それがずーっと続いている会社もいっぱいあります。

それなりに知名度が高くて、規模の大きい企業ならば、チャンと有給休暇を利用できる傾向がありますが、そうではない中小規模、もしくは零細規模の企業となると、キチンと有給休暇を利用出来る状況にはなっていないところもあるでしょう。

だから、有給休暇を利用しきれない場合には、それに対して金銭補償させようとしているのでしょうね。

確か2年ほど前に、会計の分野で、「有給休暇引当金」という概念を作り、有給休暇を金銭換算して会計的に把握していく流れができたようなできなかったような記憶があります。

有給休暇を金銭換算できるならば、買い取ることもできるのでしょうから、有給休暇を買い取るという考えはヘンなものではありません。

有給休暇の買い取りに対して反対する人は、おそらく少ないのではないかと思います。使えず消滅してしまう休暇ならば、現金に変わるほうがマシと思うでしょうから、あえて反対することもないはず。

では、もし有給休暇を買い取るとしたら、どういう仕組みになるか。

休暇を付与されて、その直後から買い取れるのか。それとも、一定の期間を経過しないと買い取れないのか。

買い取り単価は、おそらく平均賃金や社会保険の標準報酬月額などを利用して算定するのでしょうから、さほど考える部分はないはず。

問題は、どの時点から買い取るかという点。

ちなみに、有給休暇の時効は2年だから、2年に達する前に買取るようにしないといけないので、「時効消滅したあとに買い取ればいいじゃないか」という案は現実的ではないでしょう。

かといって、休暇を付与された直後から買い取れるとなると、休暇を普通に利用する機会がなくなりますから、有給休暇を「使う期間」と「買い取る期間」をズラすのが現実的です。

例えば、休暇を付与されて、1年6ヶ月の時点まではそれを買い取れないようにして、休暇を使うことだけできるようにする。そして、1年6ヶ月経過後、2年に達するまでの期間。ここを買取可能期間(この期間中も通常どおりに休暇を使うこともできる)に設定にする。さらに、2年に達するまでに消化しきれない部分は、時効に達するまでに全部買い取る。

上記のようにすれば、「休暇を使う場面」と「休暇を買い取る場面」を分けられます。

いつでも買い取れるような状態だと、有給休暇の仕組みを設ける意味がなくなり、単に現金化するための権利となってしまう可能性があります。だから、1年6ヶ月を経過するまでは、買い取れないようにして、普通に休暇を利用してもらう。その後、残りの6ヶ月で買い取り処理をする。

こうすれば、有給休暇制度の趣旨を維持しつつ、休暇の買い取りもできるようになります。

普段から有給休暇を使えるようにしておけば、こんなことを考える必要もないのですけれども。

どうしても休暇を使えないならば、買い取りもやむを得ないのではないかと思います。

年次有給休暇1日分を1円で買い取り?

有給休暇が時効になったから休暇を買い取ってほしい。もうすぐ退職するから残った有給休暇を買い取ってほしい。

本来は売り買いする対象ではないのですが、時効で消滅した有給休暇や退職時に残った有給休暇の場合は例外的に買い取りは可能です。

ただし、有給休暇の買い取りについては、法律で決まりがありませんし、就業規則で買い取りについてルールを決めているなんてこともないでしょう。


時効で消滅した有給休暇を買い取れと言われても、そもそも消滅したものをどうやって買い取るのかという問題があります。無くなったものは買えない。当たり前の話ですが、時効になった休暇を買い取るという理屈はなかなか難しい話です。かといって、時効になる前には買い取りできません。

また、買い取るとしても、その単価をどう設定するのかも問題です。極端な話、1日1円で買い取っても差し支えないのですから、10日分の有給休暇で10円などと言われてしまいます。

退職時に残った有給休暇も同様です。退職した後は有給休暇も消滅しますから、買い取るものがありません。


有給休暇を買い取るという発想自体が間違いで、在職中に休暇を全て消化すればこのようなことを考えなくていいのです。

月に1日もしくは2日。コンスタントに使っていれば有給休暇はなくなります。付与日数は最大でも年に20日ですから、月に2日ずつ使っていれば年に24日ですので、1年待たずに全て消化します。


もし、時効になる有給休暇があるならば、用途を限定して再利用できるようにするのも1つの手です。例えば、傷病時に利用できる有給休暇として積み立てておく。通常の有給休暇が全部なくなって、傷病のために仕事を休むときに傷病用の有給休暇(過去に時効消滅した休暇を積み立てたもの)を利用できるようにする。

時効にならないのが望ましいですが、どうしても休暇が残った場合へのフォローとして、用途を限定した有給休暇として使っていくのも選択肢の1つです。


退職時に残った有給休暇は、在籍したまま有給休暇だけを消化することで処理できます。例えば、休暇が12日残っているならば、退職日を12日遅らせて、休暇だけを集中的に消化し、残日数が無くなった時点で退職とすればいいのです。

有給休暇を買い取るルールは法律では決められませんし、就業規則でも決められません。そのため、1日分の休暇を1円で買い取るなどという無茶苦茶な扱いですら通りかねません。だから、有給休暇を買い取るという考えは間違いです。

年次有給休暇の管理にまつわる疑問と正しい対応例
働いてる人にとって年次有給休暇は関心を集めますから、労務管理でも疑問や問題が生じやすいところですよね。労務管理でもトラブルになりやすいのが年次有給休暇の取扱いです。ならば年次有給休暇についてキッチリしている職場にすれば、働いている人たちからの評価も上がっていくでしょうね。
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