book959(日付が変わる勤務シフトで有給休暇を使ったらどうなる?)

 

有給休暇をよくあるノーマルな形で使った場合、例えば、10:00から16:00までの勤務を有給休暇に切り替えたとすると、これは1日分の休暇で足りますよね。この点については、特に気になる点はありませんし、問題もありません。

では、月曜日の22:00から翌日(火曜日)の4:00で勤務シフトが入っている人が、この日に休暇を取ったとするとどうなるか。

「そりゃあ、さっきと同じように、1日分の有給休暇を取ったということでいいんじゃないの?」と思うかもしれませんが、先ほどと違うのは日付を跨いでいるという点です。

仮に、22時から翌日4時までを休暇だと考えてしまうと、必然的に2日分の休暇を利用したと考えないといけなくなります。

22時から0時まで、この時点で休暇1日分。さらに、0時から4時までの時点で休暇を1日分。合計で2日分ですよね。

労働基準法では、暦日で区切って処理をしているため、日付を跨がる場合は、1日ずつ分けて考えないといけないのです。

「じゃあ、月曜日は通常通りに出勤したとして、火曜日を休暇にすればどうなの? これならば1日分の休暇で足りるんじゃない?」

これは、つまりこういうことです。月曜日に全ての仕事が終わったとみなして、火曜日は休暇だと。しかし、この処理には無理があります。

まず、仕事は月曜日だけで完結しておらず、火曜日の4時まで続いています。月曜日は確かに出勤日ですが、火曜日を休暇にしたとするのは黒を白だと言うほど無理があります。さらに、火曜日は0時から4時まで勤務していますから、すでに休暇日ではありません。


「時間単位の有給休暇なら対応できるのでは?」と思う方もいらっしゃるでしょう。確かに、1日単位の休暇だと暦日により制限を受けますが、時間単位の休暇だと暦日による制限を受けずに処理できます。

しかし、時間単位有給休暇には利用できる日数に制限がありますし、管理する煩雑さもあって、今回のような場面に対処するために時間単位の休暇を運用するべきかというと、オススメできません。

http://www.growthwk.com/entry/2016/07/19/202546
book833(だから時間単位の有給休暇なんてヤメるべき)

なぜ時間単位で有給休暇を使うのを薦めないかは上のページを読んで下さい。


なお、有給休暇の利用に限って、暦日による制限を緩和し、24時間というレンジ内ならば1労働日と解釈して良いという例外が設けられています。

上記の例だと、22時から翌日4時までが勤務時間なので、この4時から継続する24時間、つまり4時から次の日の4時までの間を1日として考えて、この1日の時間内ならば1労働日として扱ってもいいというわけです。

原則だと、0時から0時までの暦日ですが、有給休暇の処理に限って暦日にとらわれない処理をしてもいい。そういう理屈のようです。

ただ、継続する24時間を1労働日として扱ったとして、有給休暇を取れば1日分で済みますけれども、休みは月曜日と火曜日になりますので、2日分の勤務が免除されるという点は先ほどと同じです。


暦日に基いて処理すれば、1回で2日分の有給休暇を消費します。一方、継続する24時間という基準で処理すれば、1回で1日分の有給休暇を消費します。違いはここだけです。

では、実務ではどちらの処理を選ぶかというと、前者です。

使用者に対して、さらに労働者に対しても分かりやすい処理でなければ不信感を招きますので、日をまたがる勤務シフトで有給休暇を使うならば、1回に2日分の有給休暇を割り当てます。この方法の方がシンプルですし、1回で2日分の有給休暇を使うので、給与も2日分出ます。さらに、休暇の消化スピードも2倍ですから、悪くない方法です。

 
さらに、少し変わった方法ですが、1度に2回分の有給休暇を利用しないように回避する方法もあります。

本来だと、22時から翌日4時が勤務時間ですが、有給休暇を取る日に限って、勤務時間を、例えば14時から20時という形で設定(日付を跨がないならば他の時間帯でもいい)し、その日に有給休暇を充てます。つまり、通常だと日付をまたぐ夜勤がメインですが、有給休暇を取得する場合に限って、あえてダミーの勤務シフト(有給休暇を充当するための仮シフトであって、14時から20時の時間帯では実際に出勤しない)を設定し、その日を有給休暇に変えるというものです。

この方法ならば、日をまたぐややこしい処理をしなくて済むし、分かりやすいでしょう。さらに、1回で利用するのは有給休暇1日分なので、この点でも良いです。



山口正博 社会保険労務士事務所
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