book955(分かりにくい労務管理で炎上する。)

 

https://www.j-cast.com/2017/07/06302613.html?p=all
ワタミの求人条件に「死ぬぞこれ」 会社広報に真意を聞くと...

大学新卒の基本給が20万2100円で、その中に月間127時間分の深夜みなし手当3万円が含まれ、「127時間を超えた時間外労働については追加支給」と書いている。127時間以上の残業の可能性がある、ネットで受け止められたのだ。


月間127時間分の深夜みなし手当30,000円
超過勤務手当:37,530円(時間外勤務30時間)
※127時間を超えた時間外労働については追加支給

このように書かれていると、確かに誤解を招くでしょうね。「127時間働いて30,000円しか支給しない」と誤解されても仕方ない表記のしかたです。

この127時間で30,000円という部分は、言うなれば「定額深夜手当」のようなものです。

16時から出勤して、24時まで働いたとすると、22時から24時は深夜労働なので、この2時間に定額深夜手当を充当するわけです。

また、定額であるため、深夜労働の時間数が127時間に満たない場合でも、一律に30,000円を支給するため、深夜勤務の時間が少ないほど時間あたりの手当額が増えます。

例えば、127時間の枠いっぱいまで深夜勤務をした場合は、30,000円 / 127時間 ≒ 236円。つまり深夜割増の時間あたりの単位は236円です。他方、深夜勤務の時間数が60時間だった場合は、30,000円 / 60時間 = 500円(時間あたりの深夜割増の単価)になります。

深夜割増(25%増と仮定する)の単価を1時間あたり236円だとすると、基本となる給与は944円です。

ちなみに、2017年7月時点での東京都の最低賃金は932円ですので、944円ですと、この水準を上回っています。また、最低賃金は東京都が最も高いので、932円を上回っていれば、全国どこでも最低賃金を上回っている状態になります。

http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/minimumichiran/
地域別最低賃金の全国一覧 |厚生労働省


「※127時間を超えた時間外労働については追加支給」という表記ではなく、「※127時間を超えた深夜労働については追加支給」と書くのが正しいのではないかと思います。

一方では、「127時間分の深夜みなし手当」と書いているにもかかわらず、他の部分では「127時間を超えた時間外労働については追加支給」と書かれており、内容が変わってしまっています。

深夜みなし手当(深夜割増賃金のこと)と時間外労働に対する割増賃金は別物ですから、キチンと分けて書かれていないために誤解を招いたのでしょうね。


労務管理では、何でも分りやすくするのが大事です。特に給与や残業に関する部分は不信感を招きやすい部分ですから、良かれと思ってやったことでも、相手に伝わらなければ、意図せぬ反応を招きます。

 

 

 

山口正博 社会保険労務士事務所
大阪府大東市灰塚6-3-24
E-mail : mail@ymsro.com

© 社会保険労務士 山口正博事務所