book954(何時間まで残業できるかを把握している人はどれぐらいいるのか。)

 

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残業というと、決まった時間を超えて仕事をすることを意味しますが、労務管理では残業は2種類あります。

例えば、10:00から15:00までが勤務シフトとして決まっていたところ、15:30まで仕事の時間が延びた場合。これは残業なのかというと、確かに一般的な意味では残業ですよね。決まった時間を超えて仕事をしているわけですから。

しかし、残業代(法定時間外労働に対する割増賃金のこと)が出る残業というのは、1日8時間を超えて仕事をした場合を意味します。上の例では仕事の時間は5時間30分ですので、残業代が出る残業ではないのですね。

仮に、10:00から19:30まで仕事をすれば(休憩が1時間あると仮定)、仕事の時間は8時間30分ですので、8時間を超えた30分は残業代が出る残業となります。


36協定では時間外労働が可能な時間数を決めますので、この労使協定を見れば1日あたり何時間まで残業できるのか。さらに、1ヶ月あたりだと何時間まで。1年あたりでは何時間。という時間数が決められています。

36協定は労使協定ですから、企業ごとにその内容は異なります。1日2時間まで残業ができる職場なのか、1日4時間までOKな職場なのか。それは個別に締結した協定を見ると分かります。


労働基準法106条では、36協定の内容を労働者に周知する義務があり、何時間まで残業が可能なのかを会社が知らせておかないといけないんです。

では、自分が働いている職場で適用されている36協定の内容を知っている人がどれだけいるのか。私の想像ですが、社員数が100人の会社で、労使協定で決めた、残業が可能な時間数を知っている人は10人もいないのではないかと。


労働時間関連の違反で多いのは、36協定で決めた時間数をオーバーするケースです。一例としては、1日2時間を上限に決めているところ、実際は1日5時間の残業をしていたというものです。

協定で決めた上限時間を知っていたのか、それとも知らずに過ごしていたのか。それは分かりませんが、36協定の中身が社内で共有されず、協定を締結しておけば、何時間でも残業はできるという誤解が生じているのではないかと思います。

労使協定をコピーしてファイルに綴じ、いつでも見れるようにしておく。これで周知はできますし、残業の上限時間数を給与明細に記載しておくとか、タイムカードの近くに掲示しておくとか、普段から残業は何時間までと分かるようにしておくのが良いですね。


残業に対する意識がなぜ緩いのか不思議に思うところですが、後ろめたさというか、ペナルティのようなものを感じにくいのが原因の1つではないでしょうか。

例えば、どこかに何らかの製品を作っている会社があって、今週中に発注者へ納品しないといけない製品があるとしましょう。今週中に納品しないといけないのに、翌週にズレ込んで納品したら何が起こるでしょうか。

「ええで、ええで、遅れてもええんやで」とニコニコしながら発注者は許してくれるでしょうか。おそらくそれはないはず。

「先週中に納品するって決めたやないか。今週に持ってこられても意味ないんやで」、「もう、アカン。あんたのところはアカン」という感じでカンカンに怒るでしょうね。

これと同じなんです。残業は。

納期までに仕事を終える。時間内に仕事を終える。この2つは同じです。

残業が多い会社に何かを注文したら、納期を破ってくるんじゃないかと疑われかねませんから、ホント、良いことはありませんね、残業には。

 

 

 

山口正博 社会保険労務士事務所
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