book942(あなたはキャンセル料を払わないドタキャン客を許しますか?)

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バイト出勤1時間前に「やっぱり休みで」と店から指示…給料を請求できる?


シフトが入っていたのに、当日になって電話がかかってきて、「今日は休みでいいわ」と言われる。

学生のアルバイトではありそうな話ですね。


では、一方的に休みにされて、そのまま終わるのかというとそうではありません。

「雨が降ってお客さんが少ないから今日は休んで」
「今日はお客さんの入りが少ないから、早く上がって」
「台風だから今日は休みでいいよ」

これを書いているのが6月ですから、まさに梅雨時期。雨だからナンダカンダと言われて休みにされちゃう。そういう方もいらっしゃるのでは。



会社としては、休みにしたり、早退させれば、給与が要らないと思ってしまいがちですが、休ませても給与は必要になります。

「えっ? 仕事をしていないのに給与が必要なの?」と思うでしょうが、必要なんです。

ノーワーク・ノーペイという原則は確かにありますけれども、使用者側の判断で一方的にシフトを休みにしたり、あらかじめ決めた終業時間まで仕事をさせずに早退させると、働いていない部分も含めて当日の給与を支払わないといけなくなります。



ただし、お店が壊れて営業できなくなった場合は別です。例えば、洪水で店が流されたとか、暴風で店舗が壊れたとか、落雷で停電して営業できないとか。このように物理的に営業できなくなれば、それは不可抗力なので、使用者には責任はありません。

けれども、雨でお客さんが少ないとか、台風で雨風が強くて暇だとか、そういう理由で社員を休ませると、それは使用者の責任になるのです。雨でも台風でも、営業そのものが可能であれば、契約で決めたとおりに仕事をしてもらわないといけないのです。



例えば、ある会社に対して、部品を100万個発注すると契約で決めておきながら、後から「以前の注文量は多かったので、60万個にして」とその会社に伝えたらどうなるか。おそらく、違約金を請求されます。

契約で100万個を買うと約束したのですから、相手側はチャンと買ってくれるという前提で生産します。それを途中で60万個まで減らしてと言われたら、残りの40万個は余ってしまいます。これを相手側の責任にするわけにはいきませんから、その損失は発注者が負担すると契約であらかじめ決めておくのです。

決めたことを履行せずに途中で変えてしまうと、相手からの信頼を損ねて、その後の取引条件が悪化します。支払時期を短くされたり、発注量に上限を設定されたり、場合によっては今後の取引はお断りということだってあります。

そういうもんです。商売というのは。

40万個キャンセルされても、「いいですよ。いいですよ。ナンボでも減らしますよ」と受け入れる受注者はおそらくいないのではないかと思います。



他にも、旅館やホテルでもキャンセル料が設定されていますよね。10日前までは支払い代金の0%。7日前までは20%。5日前までは50%。3日前までだと80%。当日キャンセルは100%。このようにキャンセル料を設定しているものです。これも部品発注や労務管理と同じです。

もし、あなたが旅館の経営者だとして、当日になって連絡も無しに宿泊をキャンセルされ、代金は1円も支払われない。これに対して平気な気分でいられるかどうか。当日になって勤務シフトを一方的に休みにされるのはこれと同じです。キャンセル料を踏み倒して、平気な顔をしている人と同じですよね。やっていることは。



あらかじめ約束した内容(雇用契約、部品供給契約、宿泊契約)に基づいてお互いに行動するのですから、当事者の片方の都合で変更やキャンセルをすれば、それ相応の補償が必要になるのは当然です。


使用者側の都合で、勤務シフトを休みにしたり、途中で早退させたりした場合に支払う休業手当は、違約金やキャンセル料と同じなのです。

雇用契約であれ部品供給契約であれ、さらに旅館の宿泊契約であれ、契約の当事者は対等ですから、一方が有利になるような扱いはできないのですね。

 

 

山口正博 社会保険労務士事務所
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