book939(長時間労働で過労に。どの会社での仕事が原因?)

 

1日8時間のフルタイム勤務だと難しいですが、パートタイムならば、1日に2箇所以上の会社で働くことも可能です。

例えば、ある日に、会社Aで8時間勤務し、そこでの仕事が終わった後に、会社Bへ行き、そこで4時間勤務したとしましょう。この場合、1日の労働時間は合計で12時間になります。なお、会社Aと会社Bは全くの別会社で、お互いに何らの関係も無い会社だとします。

8時間を超えると割増賃金が必要になるので、8時間を超えた4時間分は残業代が必要であるかのように思えますが、この場合は残業代は出ません。

労働基準法38条には、「労働時間は、事業場を異にする場合においても、労働時間に関する規定の適用については通算する」と書かれていますけれども、2つの会社が全くの別会社となると、勤務データも分かれますので、労働時間は8時間と4時間で別計算となります。

単独での計算だと、片方は8時間、もう片方は4時間ですので、1日8時間を超えません。そのため、割増賃金は無いわけです。

この点については、下記の内容に詳しく書いていますので、参照ください。

http://www.growthwk.com/entry/2017/06/03/172637
book919(副業している会社の勤務時間は通算される?)


1日に12時間仕事をしていると、さすがに疲れてきます。たまにはこれぐらい仕事に没頭してもいいのですけれども、毎日となるとやはりシンドイもの。

ある日は12時間、他の日は15時間、さらに別の日は10時間。このように長時間労働が連続してくると、その疲れから何らかの労災事故を起こしたり、通勤中に事故に遭ったり、あとは過労死という場合もあるでしょう。

2つの会社で勤務していて、過労で死亡した場合、どちらの会社が責任を負うのでしょう。


先ほどの例だと、会社Aで8時間勤務して、その後に会社Bで4時間勤務したわけですが、業務上の理由で働いている本人が過労で死亡したら、その原因は会社Aにあると考えるのか、それとも会社Bであると考えるのか。

業務上の理由で過労死したならば、労災保険から給付が出ますけれども、その場合も、会社A経由で労災保険を使うのか、それとも会社B経由で労災保険を使うのか。この点も問題です。

労災保険は労働者本人の収入に連動して給付額が変わりますので、会社Aで月収40万円、会社Bで月収18万円だとすると、労災保険を使うならば会社Aを経由する方が保険給付が多くなります。



あとは、通勤災害でも似たような問題が生じます。

「自宅 →(通勤a)→ 会社A →(通勤b)→ 会社B →(通勤c) → 自宅」

仮に、上記のような経路で移動した場合、どの場所で通勤災害が発生するかで労災の給付内容が変わります。

もし、通勤aの時点で通勤災害が発生すると、会社Aへの通勤途中ですから、会社A経由で労災保険を利用します。

一方、通勤bと通勤cの時点で通勤災害が発生した場合は、会社B経由で労災保険を使うことになりますので、月収18万円をベースにして労災の給付が決まってしまいます。本人の収入は月58万円(40 + 18 = 58)ですが、労災の補償は月収18万円が基準になってしまうわけです。

 

2つ以上の会社で勤務すると、労働時間の通算、残業代、さらには労災保険の適用、あとは社会保険の加入関連で考えるべき問題が出てきます。

 

 

 

山口正博 社会保険労務士事務所
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