book936(有給休暇の使い方は法律で決まっていない。)

 

https://lmedia.jp/2017/06/21/80050/
体調不良による当日の有給申請は認めない…使用を縛るのは問題ない?



有給休暇は法律で決まっている休暇制度ですが、端から端まで細かくルールが決まっているものではなく、休暇を付与する条件や日数については法律で決めています。しかし、休暇の使い方については特に注文は無く、当事者間の裁量に委ねられているのが現状です。

そのため、休暇の使い方でスッタモンダして、「この場合はどうするの?」と悩んだりするわけです。

風邪などの体調不良のときに、有給休暇を休んだ日に充当するのはありがちですが、このような形でも休暇も色々と物議を醸します。



病欠で休んだら給与が出ないので、有給休暇で収入を補填できるから便利。こういう考え方もあります。

他方、欠勤するのだから、その日はもう出勤しないので、有給休暇を使えない。このような判断をする人もいます。出勤する日を休みに変えるのが有給休暇なので、すでに欠勤すると決まっている日を休暇に変える余地はないという理屈です。「労働義務がない日に有給休暇を取ることはできない」と言う方もいらっしゃいます。こういう人は頭は良いんですけども、なんというか堅いというか、「遊び」が無いんですね。



有給休暇の使い方を最も緩く設定するならば、法定休日以外の日ならば有給休暇を使えます。法定休日を有給休暇に変えてしまうと、労働基準法35条違反ですので、この点を回避すれば、どの日であっても有給休暇を使えてしまいます。

体調不良になって、当日に有給休暇を使うように求めて、それを認めるかどうかは会社次第です。

病欠のときに有給休暇を普段から使っているような会社だと、当日であってもスンナリと休暇に変更できます。しかし、そういう休暇の使い方をしていない会社だと、拒否される可能性は高いです。会社が10あれば、10通りの結果があります。

仮に、病欠当日に休暇を使えなかったとしても、他の日に休暇を使えるならば不満は感じないでしょうし、病気で休んだ日が1日だけならば給与への影響も軽微です。


当日いきなり休暇を使うと言われてしまうと、会社側が時季変更権を行使する余地がないため、会社と労働者とのバランスが崩れます(労働者側が有利なため)。そうなると、休暇の取得を拒否する方へ流れが強まります。


他には、いずれににせよ休むのだから、有給休暇を充当しても差し支えないとも考えられます。有給休暇を使わせなければ出勤するのかというとそうでもないですからね。



有給休暇の使い方は法律で決めるものではなく、当事者の自由ですから、「こう判断すれば間違いない」という基準はありません。ただ、判断するコツとしては、当事者の一方(会社側もしくは労働者側)が有利になるような判断をするのではなく、お互いに妥協できそうな着地点を狙います。

今回のケースならば、欠勤した当日に有給休暇は認めないとしても、その代わりに次の木曜日は休暇にしようか、という代替案を提示すれば、本人としても納得しやすいでしょう。これも一種の時季変更権の行使ですね。

一方的な解決策は失敗しやすい。これが労務管理の実務なんですね。



就業規則で、有給休暇の使い方についてルールを決めるのも大事です。普段から「このようにします」という基準があれば、休暇を使う方も動き方が分かります。

休暇を取得するときは事前に申請しないといけないのか。事前というと、何日前までなのか。さらに、仮に7日前と設定したならば、その日数は長いんじゃないかとか。事後申請は一切ダメなのか、それとも認める余地を残すのか。病気や怪我で休む場合も有給休暇を使えるのかどうか。

有給休暇の使い方にはあえてルールを設定せず、休暇を使い切ってくれればそれでいい。という対応もアリです。日数の消化だけを目的にして、どう使うかは現場にお任せする。ただし、日数を消化できなかった場合は、管理する立場の人に何らかのペナルティを課す。この方法ならば、休暇を消化することだけに集中できますから、申請方法の類で頭を悩ますことはありません。



 

 

山口正博 社会保険労務士事務所
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