book935(36協定で設定する残業の上限時間は何時間がいい?)

 

法定労働時間を超えて残業するには、36協定を締結して届け出る必要があります。協定では時間外労働の上限を設定するのですが、この設定時間をどうするかが考えどころです。

36協定を出せば、何時間でも残業できるというわけではなく、協定で決めた時間数までに制限されます。1日あたりでは何時間まで延長できるのか。1ヶ月あたりでは、1年あたりでは。期間ごとに延長できる時間(残業する時間)を決めるのが36協定の中身です。

法律で許容されている残業時間の限度は、月に45時間、年間で360時間なので、この範囲内で36協定での時間数を設定します。

毎月、ずっと45時間の残業を続けると、年間で540時間になり、360時間を超えてしまいます。

年間の上限を超えず、月間の上限も超えないようにするには、1ヶ月の残業時間は30時間までに設定します。仮に月30時間を12ヶ月続けたとしても360時間なので、法定ラインは超えません。

月30時間が上限とすると、1ヶ月に21日出勤するとして、1日あたりの残業は1時間強までが妥当な水準です。

36協定には1日あたりの延長時間も記入しますから、ここで1時間と書いておくと、月30時間を超えることはないでしょう。

1日あたりでは1時間まで。1ヶ月では30時間まで。1年間では360時間まで。この時間設定で36協定を締結して、実際の運用段階でも協定で決めた時間数を超えなければ、残業の時間管理に関しては問題ありません。

ただ、上記のように設定すると、上限による縛りがキツイですので、例えば1日あたりでは3時間に設定し、月30時間の上限を超えないように時間を管理していくのもアリです。



法定時間外労働がどれぐらい発生しているかどうかは会社ごとに違うので、36協定で設定する時間数もそれぞれ違います。

しかし、あえてこの時間数と言うならば、「1日あたりでは1時間まで。1ヶ月では30時間まで。1年間では360時間まで」という設定を私ならば示します。つまり、1日だと合計9時間労働まで可能ですし、1ヶ月だと、月に170時間がベースとすれば、そこに30時間が乗って、月200時間労働までとなる。

この時間数ならば、示した時間数の範囲内で残業している限り、36協定違反は起こりませんし、法律で決まった残業の上限も超えません。つまり、確実に安全なラインです。

さらに、どれだけ残業をして良いのかという基準が分かりやすいのも利点です。



http://www.sanno.ac.jp/research/fresh2017.html
2017年度新入社員の会社生活調査


上記の生活調査では、1ヶ月に30時間以上の残業を許容できない人が男性で62.7% 女性で79.8%とのこと。

じゃあ、残業そのものはイヤなのかというと、完全に残業なしを望む人は僅か2%程度です。つまり、ある程度の残業は許容しているのです。この「ある程度」がどれほどなのかが分かりにくいところですが、MAXで月30時間までは良いらしいとすれば、先ほどの1ヶ月30時間の設定は現実的です。

 

ありがちなトラブルとしては、36協定を締結して届け出ているけれども、協定で決めた時間数をオーバーしてしまい、労働基準監督署から指導を受けるケースです。

自分の会社が締結している36協定の内容を知っている方はどれだけいるのでしょうか。残業が可能な時間数を知っている方がどれだけいるか。おそらく社員の半分以上の方は知らないかと思います。

36協定というのは、締結して届け出たらそれで終わりというシロモノではなく、そこで決めた時間数の範囲内ならば残業が可能ですよ、という労使協定です。この決めた時間数を知らないまま、仕事をしていると、設定時間をオーバーしてしまうわけです。

協定で決めた上限時間数を忘れないようにするには、勤務時間を管理する台帳に上限時間数を書いておくとか、紙に残業の上限時間を印刷するなりしてタイムカードを置いている場所に掲示しておくなど、普段から目に入る場所に上限となる時間数を示しておくのが良いです。


36協定の中身であれ、残業の時間数を掲示するであれ、「分かりやすさ」がポイントです。

 

 

 

山口正博 社会保険労務士事務所
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